すべてのおすすめ
俺?
俺はぼろぼろになってあの街から追放されたんだ
え、泣いてやしないよ
この泥があるからこそ蓮の花も咲くらしいから、大丈夫だよ
こころの問題じゃない
脳の問題だ
....
あっ
風の軋む音がします
※
母となれなかった女の子供が母となる
子を宿せば母になれる
そんな容易いものではなくて
幼子の抱く古びた操り人形のように
いつのまに ....
それは 透明な砂だった
すこし おおきな石は ふたつあわせて叩くと 火花が散った
そんな 透明な砂の上に
あなたの フィンがあった
瑠璃の穴を飛ぶ鳥のように
泳いだ証の あなた ....
本当の名前なんて
一度も書いてあったことがない名刺を
感じ良く差し出す空っぽな指先
本当に行きたい場所へ
一度も連れていってくれたことがない
少しくたびれた空っぽな向う脛
どん ....
わたしが死んだら
なるべく生き物がたくさんいるところへ
なるべくそのままの状態で
置いておいてください
土にかえったり
誰かの一部になったりして
わたしはわたしの
いのちを分解したい ....
きっと
鋭角にはねかえったであろう
熱を
うっかりと飲み込む
お腹に、沈んだ
あらゆる隙間から
姿を変え形を変え向かってくる
じかに目を合わせないように
うつむいたまぶたの
....
ことばの世界から遠ざかってしまったのは
見ようとしても見えなかったものが
見たくないのに見えてきてしまって
見えるものだけが正しいと思ってしまったからだった
気がついたときにはもう
粘着質な ....
シルバー
とてもながい時が過ぎた
とてもほんとうとは思えないくらいの
シルバー、
それでもまだそこにいてくれる?
シルバー
みんなが言う
あたしがすっかり変わったって
シルバー ....
院長夫婦に預けられてぼくは病院に住んでいた
病室がぼくの部屋だった
おっとりして真面目ないい子だとおばさんはよくぼくをほめてくれた
その夏、病院に大量の小虫が発生した
ちょうど ....
今日も街には
愛のうたがあふれ
恋人たちは
夜のホテルへ急ぐ
阿部さんの提唱した美しい国は
愛国の印刷物を過剰に生産し
鳩山さんの友愛も
この国を
みごとに迷走させ
隣のねー ....
あめはうそだよ
むこうはどうせ晴れている
公園にそなえつけた船でもこいで
地平線にぶざまなきせきを残す
なるほど
もやは信じてもいいのか
それはもう間を隠してくれるから
いきいきとしてし ....
最近、世界どう?
パッとしないヨネ
変わらずの毎日
というか
ダダ漏れの日々
終わったゲームを続けてるみたいな
反現実の海
酔いが覚めないまま歩き続けるのが日課
....
風俗街へ行ったならば
サリーの店へ行き
どんな種類の店なのか
見てきて欲しい
風俗街は楽しいところ
懐さえ温かければ
今はちょっぴり厳しいから
いくらぐらいか調べて欲しい
サリーという ....
真夜中のいたずら電話
死ぬほど嬉しかった
たった今 僕は
孤独から解放されたのだから
奪いたかったのは
肉体ではなかった
きみの内側にひそむ
薄暗く丸いものでもなかった
それは概念だった
女だった
ぼくが
命をかけて奪い ....
鯨は賢いから
殺してはいけないのだと
海の向こうでは騒ぎが続いている
賢くないわたしは
きっと殺されてしまうから
その前に沈んでしまおう
深く、深く
肺が潰れてしまうところまで
....
ピアノたんたかたん
ぼくはひけないしうたえない
楽譜もよめないまま
ここまできちゃったのです
のぼりつめたの?
おちぶれたの?
ここがどこだかわかってる?ふりをして
とおくをみつ ....
。キオスクの脇をくぐり抜け、SKSNに乗りこむんだ。
重い体を動かして、軽い心に近づける。
溶けてく景色は、ゆるやかに刻むリズムに歩調をあわせる。
溶けてく心は、西に向かって先に行く。
ス ....
宇宙の年齢から考えると
三日徹夜しようと
二日も続けられなくても
五十年没頭しようと
なにもしなくても時間をかけても
おなじことなのだ
おなじ一瞬のことなのだ
....
恋すると 自分に言い訳が多くなる
恋すると 今日が終わってほしくなくなる
恋すると 明日が待ちどおしくなる
恋すると 涙がでる
恋すると 恋って字にどきっとする
恋すると
こ と い ....
夏
あぢ
なんか、快晴ではない
曇っていて
空気がじめっていて
あぢ
あぢい
君と別れるとさ
俺はもう
切なくて
切なくて
なんか、夏祭りらしいんだけども
俺、見学も参 ....
日盛り
頭上に覆いかぶさるのは
この上なく濃厚な夏の青空
ひとしきり蝉時雨
百日紅の花が揺れ
――あの庭にも 百日紅がありました
と どこかから誰かの声
しばし足元に目を落と ....
日本海にしずむ
落陽は
おおきくて美しい
と、ラジオでだれかが言った
*
かつて
五島灘にしずむ
落陽を
―― オレンジ色のおおきな
....
なんだかうまくいかないね
もうダメなんじゃないかなって夜の向こう
ひっそりと聴こえてくる雨の音が
全部電子音になって
それが全部メロディーになって
歌声に ....
{画像=110806230826.jpg}
ホームに止まった電車の窓越しに見える
同じく所在なく立つ隣人を想う
二本の平行した線路上に交わる事なく
二人は未来永劫交差することは無い ....
奈々子さんが亡くなった。交通事故死らしい。
奈々子さんは、人懐っこく暖かい笑顔が印象的な清楚系の美人さんだった。
彼女は兄の友人で、私が最も好意を抱いていた女性であっただけに
彼女の死は ....
逃げ場をなくした熱気が
重く澱んでいる夜の底で
線香花火に火をつけると
涼やかな光の飛沫が
覚めやらぬ地面にほとばしる
しつこく素肌に絡みつく
湿り気を含んだ風の端に
弾き出され ....
きみは、
自分勝手なきみは、
いつもわたしのかばんに荷物をつめこむ
わたしは、
わたしを形成するものたちは、
いつも肩身狭そうにちぢこまっている
よるは、
くろい色したよるは ....
デイサービスに初出勤の日
助手で乗った送迎車の窓外に
前の職場の老人ホームを去る時
手を握りあったお婆さんが散歩道で
杖をつき、せっせと坂を上っていた
( 僕も、新たな日々の坂 ....
誰かに手紙を差し出したい
秘めた恋心を
白い便箋の罫線の間にそっと忍ばせて
誰かに手紙を差し出したい
今朝咲いた朝顔の欠伸が
黒いインクの文字から聴こえてくるように
誰かに手紙を差 ....
1 2 3 4