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とても静かな川に
三羽の白鳥がおりてくるのを
土手に座って眺めていた
冬は
遠くまで澄んでいて
羽ばたきの音も
波紋の微かなひろがりも
すぐ傍らに ....
三月の
まだ、少し肌寒い日
人々のざわめきが
どこか他人事のように響く朝
駅へと続く道を僕が
いつも通りに歩いていると
巨大なエスカレーターが
青空に ....
ついさっきの
出来事のよう
ばか、
しね、
どっかいけ、
泥水のような言葉の
あてのない応酬
道端で
ながい雨にぬれ ....
縄文土器を
保健室に忘れてしまい
取りに戻った
夏の日
熱く
熱く光は燃え
廊下を歩く人たちも
ブラスバンドの行進曲も
そう仕向 ....
あなたを
埋めてしまわなくては
なりません、突然の雨に
暴風に、雷に
あなたが苛まれないために
土深く埋めてしまわなくてはなりません
スコップに土をすくい、 ....
田園は
青空の下で完結している
黄金の海の中
細い糸のように老いた
一人の農夫が稲を刈っているのを
私が妨げようとするとき
もう ....
けさ、風は
すこしだけ冷たい
すこしだけ
生きているのが痛い
けさ、僕は
すこしだけ嬉しい
すこしだけ
きみのことを思い出せたから
....
まむれくし。
と、
きみが発話し、
鋏をいれたばかりの
あたらしい、
きみの
栗色をした髪と
まむれくし。
と、
震えた空 ....
宇宙が
じっとこちらを見つめる夜
惹かれあいたがっている
わたしよりもきっと
歯磨き粉のほうがさびしい
わたしはあなたを愛しています
日は沈み夜が街をつつみます
空を飛んでいた鳥たちは
どこへ消えていったのでしょうか
わたしはあなたを愛しています
なぜならあなた ....
私はあなたのママじゃないの
と、
言っていた君の
うるんだ、真冬の
瞳に映ることはもう
かなうことはないと、何度
知らされていても、もう
....
冬の浜辺の
一本の髪の毛を
さびしさ
と、読んだあなたの
ほんとうの名や
構成物などを
とんと知らぬぼくを、
つぎの光が
....
{引用= 夕暮れ近くになると
老いた女がアスファルトに
一つの箱を置きにくる
ただの箱だ
ダンボールでできた、薄暗いだけの
小さな箱
それを置くと女はきび ....
{引用= 精液が夜に喪い、形のようなものを、
鮮やかさに押し込めるために、闇を乳白
にしてゆく、スローに叩かれるエンター
キー、ポットで黙るコーヒー、まだ幼い、
少 ....
秋のひかりが
きみだけを手に載せ
小さな声でうたっている
{引用= どんぐりころころ
どんぐりちゃん
あなたまるで
使いおわった命みたいね
どんぐりころこ ....
そこに
動かないものがあったので
蓋を開き
白い花弁や
視線や
高層ビルなどを
挿してみた
動かないものは
動かない
闇を ....
{引用= 銀色のスーツを身に纏った男が浜辺でギターの
死体を検分している。場違いなセンチメントが、
五十六種類ほど波間に明滅しているが、男は勿論
意に介さない。鉄の壁。ク ....
きこえる
ひかりがきこえる
波打ち際に
わたしは耳を置いてきてしまった
遠い日の
あなたが歯をみせて笑ってる
くりかえし
....
硬いひざにきみの
頭をのせて
ひとつ、
ふたつ、
みっつ、
よっつ、
いつつ、
歳をとるように静かに
きみはまどろんでしまう
....
胸に抱いた
ちいさな逸脱を
きみは、
そっと足もとにこぼして
かなしげな
落ち葉のように重ね
どこか、
もっとかなしげなところへ
....
きみの喉に
さっきから{ルビ痞=つか}えているものがある
注意深く
確かめるんだ
そうでなければそれは
ただのつまらないジョーク
いいかい
....
世界にはたくさんの場所があり
たくさんの営みがおこなわれている
その日、僕が
することを選んだのは
床屋に行き
髪を切ってもらうこと
ひどく ....
僕の中に小さな女の子がいる
無垢な目に鋭さを湛え
頭には白い花のかんむり
僕の中に女の子がいる
僕は彼女に恋をしている
それは君じゃない
君 ....
{引用=――Morrisseyに}
音楽の
無遠慮な激情のあと
きみの足もとで
タンバリンが死んでいる
コンビニ前の
喫煙所で
マイルドセブンを吸う
雨がふっている
さっきまで
ついさっきまで
ここには猫がいた
片耳の潰れた
グレーの猫
....
そんなに簡単に
悲しむなんて
駄目だよ
ぼくが許さない
レモネードがはじける
モリッシーが嗤う
あまりに
ぶきような
きょうの日 ....
(嘘つき)
と
だれかに言われ
ぼくは
眼を醒ました
八月の
朝、はやく
遠くから
なにか
まぶしいものの流れが
こ ....
約束なら
平気でそむいてきたし
きみの愛も
ぼくは貶めてきた
それは今更、
謝るつもりもない
反省もしないけれど
詩
....
はてしない夢をこえて
この胸にまだ残っている
昨夜の
君のささやきが
今朝、僕の
ちいさな力に変わる
心も
川の流れも
....
{引用= ある日
ひとつの
比喩が語られ
取り戻せない距離を
旅立ち
細長く
何処までも
鏡として連なり
映し
流れ
響き
....
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