木立からうまれた
 馬たちは渓谷の水を
 跳ねて
 氷の粒のような
 白い息を吐いていた
 
 やさしさからうぶ声を
 晩秋の空にあげた
 手のひらの沈黙を
 コートのポケ ....
花のなかの蜘蛛が
雨を見ている
花を踏んでも 花は花のまま
垂直や そうでない水を受け入れている


自制の効かぬ音
道の途中の日時計
色褪せた鍵
水たまりの頬

 ....
首都高に陽は沈み
滞りのなく済んだきょう
帰り道にも屈託のなく
靴を脱ぎ捨てようなんて思わずに
橋を渡ることができた

今は部屋にくつろいでいる
五畳のわたしの聖域は
しっかりと夜の帳 ....
風が色を脱いで
凪と転生したのでようやく
息をつける嵐のあとの
藍色の雨のなか

隣に誰の無く
歩く傘を持つ手がそ
っとふるえるのは
これは

弱さじゃないよ
、と聞くものも無く ....
凍らせたノイズとけ始めている お前の名前は悲しみなのだと
その女は言った

あれは夏の夜
目眩のするような
焦れったい熱を知った
本能を知った
美しさと、醜さを知った

嫌悪と、不安
少しの嫉妬
鞄の中身 ....
  今宵、風の
  滑るような冷気の端に
  一本の象牙が生えていて



  きみは両手で
  そっと包みこむ
  通り雨の過ぎたあと
  かなしさの残る街の片隅
  電 ....
地平線に落ちた
あの日の余韻

過ぎ去った愛を
とどめる方法
運命が泣く

うその神さま
涙を抱いて
優しい暗闇でいて

盗まれた呼吸
放たれた星々に
捧げる呪文
どうか、 ....
君は少年のような頬と
薄い胸をしていた

感情が高まった時に
鋭く視線をさまよわせては
まるで炎を吐くように絶叫するんだ

震える肩からは
幾筋かの血が流れ
世界を汚していった

 ....
夕べに
生まれた
小さな泡が
今日に
命の鼓動を始め
明日に
いつつの指を得て泳ぐ

空に
生まれた
小さな塵が
今日に
光の鼓動を始め
明日に
いつつの指を得て泳ぐ

 ....
わたしが物語をかたりはじめるたびにこの街には長い雨がおとずれ
る、いっそここが翡翠色の海ならばわたしたち鱗をもつ魚で、感傷
じみた肺呼吸をやめられるのですか、浸水した教会の礼拝堂で素足
のままし ....
 書きたかった
ずっときみのことが

心臓が血液を押し上げるように
月が魚を狂わせるように

まるで澄まし顔の
 未開の詩よ
ことばの装いと枷とはわたしのもの

やがて旅人でしかい ....
ふとい指を
なめて
それを
アイラブユーの代わりにする

のみこめない薄い空気が
くるしくて
くるしくて
デパートの惣菜も
銀行の光も
万年筆の繊細な書き味も
わからない
わか ....
恋を知らないということだけがわたしの羽根 生業にfortune-tellerを選んだ男が
明日滅びると知る街で
子供たちに幸せな未来を語る
紙芝居のカードをめくる

朝食のクッキーを食べながら
ライフセーバーハウスに行くと
私の ....
 
 
澄み渡った世界の気配がする
赤い朝顔を買ってきたはずなのに
青い花が咲いた月曜日
今日はたしか
君の誕生日だったと思う
 
 
      あなたの詩ください
      あなたの生きている詩ください
      死んでいる詩でもいいから
      わたし、外側からぶち当てられて
      その作用でしか動けません ....
砂浜に埋めてきたものは
なんでしょう

恋を謳った 小さな貝殻
光なくして落ちた 星の骸
流れ着いた 白い骨
異国の文字が書かれた さびぬれた空き缶

最後に埋められるものは
なんで ....
              夜空にグラスかかげれば
              茄子紺のよる揺らいでる
              氷の隙間で三日月泳ぎ
              する ....
音楽は再生機から
言葉は私
私以外の音楽から
穴から そこらかしこから

あなたは雲が解体していく様子を
繰り返される波の間で見ている
男の衰弱した手先のような雲の運動を
あなたは ....
庭の木から飛び去った蝶が遠い外国のビルを倒した
思惑はTVの中できりきり回る
顔のない人たちがこっちを指さして笑うんだ

誰も気づかないうちに背後に忍び寄る真っ白い影
国土を狙った死神が鎌を振りかざし ....
 
まるいあかりって
ぼくの檻を揺り起こすぐらいのやさしさしかない
だってほら 一枚ガラスの向こう側はもう寝静まっている

やわらかなひかりに背を向ける
それは 朝も 昼だっておなじこと
 ....
空いた
椅子の上には
ゆうぐれが降っていて

絵描きになれない風たちは
せめてもの代わりに
言葉を混ぜて
去っていく


取り残された場所に
おそらく施錠は
必要ない
 ....
街も人もびしょ濡れで
だれもきみにかまうもんか

いいから
こっちに来なよ
台風の夜を歩く

俺の傘を貸してやる

孤独を決意した高潔なたましいが

大風をうけて傘にひきずられている

おまえは俺を裏切らない


なつかしい体温のそんなかで

俺の傷 ....
冷蔵庫の炭酸水を飲みながら、太陽をみちづれにして水時計の中身が落ちていくのを見つめていた。むらさき色の部屋が暗くなるまで、シンセサイザーの上でダンスを踊っても、凝り固まった意識が頭蓋骨に当たる反響音で .... 海月に刺された女の子が、ひらひらと漂着する砂浜で、ささやき合っていた熟年カップルは、あらわれてはきえていく波の前で石像になっている。
白い波と青い波を残したまま、海は水平線で折り返し、遥か頭上をずっ ....
{引用=

老いたつま先に、かなでられる季節もあるのなら渇い
たくちびるもかけた肋骨もみなとおりすぎた景色とお
もえばこそ、おろした瞼のうらにも砂ははりつき、水
晶体を舐めるように蜥蜴が這う ....
{引用=

はじらうようにふる雨粒をうすむらさきの傘がやわら
かにうけとめているこの余白は、とおいおもいでの川
をくだるかなしい船、あるいはきりそろえられたまえ
がみ、陽のくれるほうがくをむ ....
今日もまたブルーに沈む
青い視界には曇りがない
itsukiさんのおすすめリスト(32)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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サンクチュアリでの夜の、- もっぷ自由詩1012-12-11
夜ひとつ- もっぷ自由詩512-12-10
凍らせたノイズとけ始めている- 北大路京 ...自由詩312-12-10
悲しみよ、こんにちは- 青井とり自由詩212-12-10
象牙- 草野春心自由詩412-12-9
呪文- 早春自由詩1*12-12-6
パティ・スミスのように- 梅昆布茶自由詩1212-12-5
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ピエタ- 紅月自由詩412-9-6
未開の詩よ- ただのみ ...自由詩23*12-9-2
十九歳- アオゾラ ...自由詩8*12-3-29
飛ぶからだ- かなりや自由詩312-3-5
運命のフォーチューン、幸せのフォーチューン- mizunomadoka自由詩112-3-5
age12- たもつ自由詩912-3-5
あなたの詩ください- 理来自由詩9*12-1-14
埋葬- そらの珊 ...自由詩10*12-1-12
月逃げて- 石田とわ自由詩8*12-1-12
穴から- nia自由詩211-10-1
終わる世界のサイエンスフィクション- くろみつ ...自由詩6*11-9-30
水の檻- 四帰自由詩411-9-8
埃まみれ- 千波 一 ...自由詩20*11-9-8
- はるな自由詩411-9-3
まわしげり- 吉岡ペペ ...自由詩211-9-2
冷透- 魚屋スイ ...自由詩511-9-2
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