穴から
nia


音楽は再生機から
言葉は私
私以外の音楽から
穴から そこらかしこから

あなたは雲が解体していく様子を
繰り返される波の間で見ている
男の衰弱した手先のような雲の運動を
あなたは硝子グラスを傾けて
すべる水を眺めている
あなたの計算され尽くした衰弱を私は嫌う
哄笑と音楽的な麻薬こそが私だけが取り戻す

植物のような女が豊かな髪をひっつめ口元をなぞっている
開かれた口腔から 時間が吐き出されているように
しかし沈み込んだ 幾重にも重ねられたかさぶた
留まった 天へはさほど 穴倉にこそあったのだろう


自由詩 穴から Copyright nia 2011-10-01 00:09:57
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