サンクチュアリでの夜の、
もっぷ
首都高に陽は沈み
滞りのなく済んだきょう
帰り道にも屈託のなく
靴を脱ぎ捨てようなんて思わずに
橋を渡ることができた
今は部屋にくつろいでいる
五畳のわたしの聖域は
しっかりと夜の帳に守られて
オーガンジーの向こう側の
憧憬が少しだけ
ほんの少しだけ気になるのだけれど
眠りに落ちてしまえばすべて善し
アナログの音色の満ちる60Wの枕許には
いくつかのお守りが並んでいて
今夜は誰を抱きしめる?
眠りひつじがふたつ
眠りうさぎがひとつ
そしてあなたの
骨
の入ったロケットペンダント
木枯らしの窓を叩く冬の
一日はやわらかく閉じようとしている
逆らうまい
決して逆らうまい
老い
へのこの道のり
、そんなことを思いながら
さぁ明日も生きよう
眠りひつじのラムネと名づけた彼を抱きしめながら
いつもの祈りを奉げる頃には
見えない宙で星がひとつ瞬いた
ような気がした