すべてのおすすめ
梅雨明けを待てずに
空は青に切り開かれて
ホウセンカの種が飛び散る
新しいサンダルが
小指を破って
滲んだ痛みは懐かしい夏
種の行方を見つめ
きみがいない、
そんなことをふと思 ....
背中が守られている
抱擁でなく
囁きでなく
いつも見えない後ろが
守られて温かい
そんな気がしている
口元が護られている
くちづけでなく
言い付けでなく
冷たい言葉が洩れない ....
不意に訪れる眩暈のなかで
わたしの奥から
声 でも うた でもない 音 がする
無意識に産み落とした空のタマゴは
曇りの日に次々と孵化し
電子の情報に
右脳と神経を肥大させては
....
風が雨を含んで
空色は薄墨模様
少し、
あと少しと待っていたら
わたし
咲きそびれたらしい
今から夏を追いかけて
間に合わぬなら
誰に囁くこともなく
この秋雨に
紅を濃くして
きっぱりと ....
時計はもう帰る時間
もう少しと言ってよいのか
帰ろうと言った方がよいのか
曖昧な夕暮れに
曖昧なフタリが戸惑う
飛行機雲がくっきりと
空色を二つに割って
藍が半分