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私が不治といわれる病気になった時
学校のことや
子供会のことなんか
代わって引き受けてくれたママ友に
「いろいろごめんね」と謝ったら
事情を知っている彼女は言った
「そんなこと、気にし ....
数え切れない
手に負えないくらいの
幾千枚の白いはなびらが
ほとんどいっせいに
枝という枝を離れて
舞い踊る
まるで蝶のように
儚げであるのだけれど
或る意志を持って ....
わたしが
とても小さなこどもだった頃
なにも知らない
知らないということが許されていて
それが
どんなにか幸せだったかということさえも
知らなかった
笑うたび頬に
くぼみを作っていた頃 ....
外葉をめくったら
白い小さな亀がい
て、脱皮直後の未
防備ゆえのその純
真な甲羅にしばし
じいっと魅入る、
命あるものはみな
平等にそんな生ま
れたてがあった。
....
たとえば今日を定休日とする
たとえば雨と雪のあわいで
だれにもならない日と決める
それを
許せる自分になってみる
易しそうで
なぜかとても難しい
イワアノキユトメア
な ....
あなたのみらいのために祈らせてください
そう語りかける女の瞳は
目の前の現実であるわたくしではなく
どこか遠い国を見ているようでした
ミライは
いつの間にか
ミイラにすり変わってい ....
キミが放っておくから
ボクはすっかり錆びちまって
ダッシュボードの上は
白い埃が積もってるけど
ベイべー、雪合戦するほどじゃない
底意地の悪い奴は
どこの世界にもいるのさ
ヤワな雪玉に見 ....
誰もがあなたを甘やかすから
気づけばすっかりぜい肉がつき
顔の周りの
柔らかな毛をつまんでみる
味気ないドッグフードだけ食べて
長く生きるのと
体には良くないけれど
美味しいものを食べて ....
ほどよく乾いた小枝や
抜け落ちた羽根や
通り過ぎていった月日の
さまざまを
ちりばめておく
もうそこは
きみのねぐら以外のナニモノでもない
広い宇宙のなかで
ただひとつだけ
選ん ....
ねえ、知ってる?
氷河期はまだ終わっていないって
たとえば
冷凍庫の扉を
誰かが開けて
昼飯は冷凍パスタかそれともピザか
焼きおにぎりも捨てがたい
うーん、どうしようと
うっかり長 ....
等間隔で並んだハードル
一定のリズムで走り抜けながら
傍から見れば軽々と
それを飛び越えていく
到底私には太刀打ちできないと思わせる
人生が凝縮されたような
すばらしく難しい競技
もちろ ....
ひとつだけ私の肩に舞い降りて小鳥になるよ今日は雨降り
こんなにたくさんの雨粒があるのなら
ひとつくらい雨粒になってしまう魔法に
かかっている小鳥がいるのかもしれないと
思 ....
子供のころ
とりかえっこが大好きだった
友達の靴はわたしには窮屈だったし
弟の枕は乳臭かったけれど
自分以外の人を感じる楽しいゲームだった
とりかえっこのあとには
必ずとりかえっこが返され ....
テーブルクロスが
一瞬にして失せたけれど
食卓の上に置かれた
皿やグラスは
微動だにしなかったので
私たちは
それについて話すこともせず
もちろん
見つめ合うこともせず
そのまま
....
丸ごとの白菜は
野菜というよりは
赤子のような
生きている重量があって
大切な預かり物のように
抱きかかえれば
ここは冬の入り口
ひと皮むくごとに葉は
正しく小さくなる
まるで
....
黄と橙色は
とてもよく似ていて
それはおそらく
同じ季節を生きているからだ、と
ふと思う
遠い山並みを眺めれば
それは混色されて
日び
上書きされていく
油絵のようだ
厚塗りされた ....
今、空の底にいます
屈折した光に包まれて
案外うまく歩けています
地図を読むことは
相変わらず苦手だけれど
磁石を温めて
風を読むことが出来れば
目的地にはいずれ
たどりつくかもしれま ....
スーパーマーケットで、安寧芋という名前の芋を買ってきた。鹿児島の種子島の特産品らしい。
よく出回っている鳴門金時芋より少し高いけれど、トースターで焼くと黄金色の身は柔らかく溶けるようで、それだけでも ....
美味しそうなものに向かうと
全身全霊、前のめりでピンと張る
いつも一緒かと思いきや
左右別々に、動いてもみせる
音を拾います
そこから
ここまでの
世界を知るための複雑な情報であ ....
かつてキッチン(というよりは台所)は裸電球で照らされた寒い島だった
幼い私は台所のことを「だいどこ」と呼んで入り浸っていた
窓からは川へ下る坂道と隣家
(といっても音なんか聞こえないくらいには離 ....
きのこから
かすかに放たれる
木の薫り
ふかふかのおがくずに
そっと置かれた
誠実なお守りが
息をしている
きのこ
は
木の子
木の子ども
木は森の子ども
森は山の ....
右折を待つ
ウインカーが
正しくその意思を刻み始めれば
心臓の鼓動と
いつか同調する
反復
同化
ト切れぬ
直進の車
既視
夕日
影法師
見送ることに
慣れて ....
ドラッグストアの棚に並んだ
石鹸の類い
これでもない
あれでもない
おそらくどこにもないのだろう
探している香りは
高電圧のくしゃみのように
蒸発してしまって
世界のどこにも、ない ....
動くものなら
食べてしまうその本能を
罪ではないと
あなたがいう
あわただしい
交尾のあと
わたしが捕まえるより早く
どうか逃げおおせてください
大きな腹を抱え
一晩かかって ....
細い髪の毛は実にからまりやすく
しじゅう梳かしてあげないと
やけっぱちになった団子になる
しこりになったそれ
まるで永遠に解くことのできない
知恵の輪みたいで
まるで
宇宙だねと
....
もうそろそろだと
祖母は言う
おかいこさんのからだが透けはじめると
そのうち糸をはきだして
楕円のおうちで
別者に生まれ変わるのだと
その不思議な虫は
一日中
桑の葉を食べている ....
秋風のなかに
ほんのわずかに残された
夏の粒子が
午過ぎには
この洗濯物を乾かすだろう
通夜、葬儀の放送が
朝のスピーカーから流れて
犬が遠吠えを繰り返す
香典の額を算段して
....
新米を握る母の手は
燃え始めたかえでのように色づき
かぐわしい湯気を蹴散らしながら
踊ってみせる
熱いうちに握らないと
美味しくないのよと
まつわりつく子に言いながら
端をほんのわず ....
大切な約束をしたことを
いいかげんなわたしは
いつのまにか
忘れてしまった
むきだしのアセチレンランプの猥雑さざめく夜市
腹を見せて死んだ金魚は
臭う間も与えられずに すばやく棄てられる
....
君は
覚えたての「こんにちは」を
わたしがこぐ自転車の前に付けた補助椅子から
道行く人はもちろん
畑仕事をしている人にも
隔てなく投げかける
たいていの人は
一瞬驚いたような顔をする ....
イナエさんのそらの珊瑚さんおすすめリスト
(215)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
明日は我が身
-
そらの珊 ...
自由詩
17*
15-2-16
墓所にて
-
そらの珊 ...
自由詩
22
15-2-13
雨上がりのステップ
-
そらの珊 ...
自由詩
16
15-2-6
夢見るキャベツ
-
そらの珊 ...
自由詩
19+
15-1-31
アメトユキノアワイ
-
そらの珊 ...
自由詩
13*
15-1-26
巴里、骸骨寺で
-
そらの珊 ...
自由詩
17+*
15-1-17
コール_アンド_レスポンス
-
そらの珊 ...
自由詩
21*
15-1-15
犬と鳥と猫と
-
そらの珊 ...
自由詩
12*
15-1-13
おかえりなさい
-
そらの珊 ...
自由詩
22*
15-1-8
冷凍金魚はいつか解凍される日を待っている
-
そらの珊 ...
自由詩
16*
14-12-26
十二月の疼痛
-
そらの珊 ...
自由詩
14*
14-12-24
あなたは誰ですか
-
そらの珊 ...
短歌
15*
14-12-11
とりかえっこ
-
そらの珊 ...
自由詩
12
14-12-8
魔法使いになりたかった
-
そらの珊 ...
自由詩
15
14-12-5
白菜白書
-
そらの珊 ...
自由詩
20*
14-12-4
秋のフレイム
-
そらの珊 ...
自由詩
20*
14-11-28
この手の先にある空の果て
-
そらの珊 ...
自由詩
21*
14-11-17
夜更けの紙相撲_霜月あるいは食物月(おしものづき)
-
そらの珊 ...
散文(批評 ...
15*
14-11-15
饒舌な耳
-
そらの珊 ...
自由詩
16
14-11-5
キッチン
-
そらの珊 ...
自由詩
15
14-11-2
PORTE-BONHEUR_【詩サークル群青十月のお題「山」 ...
-
そらの珊 ...
自由詩
14
14-10-29
家路
-
そらの珊 ...
自由詩
17*
14-10-22
かりそめ
-
そらの珊 ...
自由詩
16
14-10-18
じょろうぐも_【詩人サークル「群青」_九月のお題「悩」への提 ...
-
そらの珊 ...
自由詩
14*
14-10-16
台風を待つ朝に
-
そらの珊 ...
自由詩
16*
14-10-13
偏愛
-
そらの珊 ...
自由詩
23
14-10-8
まえぶれ
-
そらの珊 ...
自由詩
22
14-10-4
秋の抽斗
-
そらの珊 ...
自由詩
18
14-9-28
あかい花
-
そらの珊 ...
自由詩
25
14-9-26
こんにちは。
-
そらの珊 ...
自由詩
21
14-9-20
1
2
3
4
5
6
7
8
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