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腰が大きく曲がった
近所のおばあちゃんが通るたび
あの中には何が入っているの?
と、母に質問して
そんなこと聞いてはいけません
と、言われた
大人はいつだって
ほしい答えをくれやし ....
じゅうたんをほどいてゆく
いろとりどりの糸があらわれる
つむがれていた星々の
ものがたりがきえていった
糸をほどく
きぬの生まれでた
まゆにもどってゆく
蛾のはいた
むすびめのない ....
寝室の窓の外で
また今夜も
切れかかった街灯が
青白い点滅を繰り返す
この世に未練があるのか
ただ惚けてしまったのか
それとも
死二ユク前のあがきなのだろうか
今夜も
わたしの静 ....
冬の肌は
こわれもの
夕餉の火を落とし
手にたっぷりと
クリームを塗る
ひび割れから
そっとしみこむように
日常というものは
重力がある限り
何処に行ったとしても
そう変わ ....
ねえ
ひとつぶのわだかまりもなく
こんなにさらさらで
どんなかたちにもなって
どんなかたちにもならなくて
よく晴れた日は
誰にも盗られないように
丁寧に埋めた
昨日の美しい心を
ぴか ....
きょうという日に
きょうという火が
ともされる
約束したわけでもないのに
東の空に
明るく
温かい
平等な
きょうが
どこから生まれてくるのか
ボクは
みつけた
旅の途中で ....
取り出したばかりの粘土は
幾通りもの生を含んで
ぐにゃり
柔らかく在る
指で押せば
くぼみが現れ
手のひらで転がせば
丸を成す
いびつな複雑さは
魅力的である代わりにとてももろい ....
ただの壁だと思っていた面に
白い花が
ちらほらと咲き始めた
家と道
内と外
隣人と自分
向こうとこちら
静けさと騒音
過ぎ去った時間とやってくる時間
何かと何かを隔てるための境目 ....
非常階段には
扉があって
内と外が隔てられている
内のものかといえば
そうでも非ず
外のものかというえば
そうでも非ず
非常のために作られた階段
日常では使われない
避難通路
....
ペットボトルのごみの日
中身(心)はもうとうになくて
キャップ(顔)やら
包装(洋服)やらを
捨て去ったら
みな
潔い裸になった
とても清々しいごみの日には
カラスさえも
素通りする ....
MRIに写った骨に
ほんの少しの ヒビ在り
しばし見入る
ヒビは歌わない
ましてや笑わない
責めたりしないし
冗談も言わない
財布の心配もしない
後悔もしない
原因があって
結 ....
君の胸の音を聴いている
瞳を閉じれば浮かんでくる
電車がゆく
車輪の音は確かなリズムを刻む
無機質でいて
それはなぜか温かい
からだじゅうに
張り巡らされた
赤い線路を
休むこと ....
かつて
そこにあった川は
幸せが
そっと残酷に
空へ蒸発していくように
今はもうない
砂漠の砂の中で
生き延びた
いっぴきの魚が
乾いた瞳で
夜空を見上げている
流れ星がひと ....
露天風呂に
注がれる湯を見ていた
細い竹筒を通って
それは 私のいる場所へと
落ちてくる
水面に触れるだけで
透明だった湯は
たちどころに白く濁る
真暗闇なのに
ほのかに明 ....
いきぎれ
しそうな予感は
いきている
最中には 何度かあるものだ
あかぎれ
とは 苦しさの温度が別物で
薬草を塗っても
それは
しずまらない
いきぎれ
とは もしかしたら
生 ....
椅子になってみようと思って
椅子にはなれなかった
三秒で挫折した
たゆまぬ努力なしに
椅子は存在しえない
私の大腿四頭筋は悲鳴を上げ
痙攣を始める
あまねくすべての椅子は
慈悲とい ....
おしまいを
覚えさせたのは あたし
おしまいですか?
そんならしかたないですね、と
ちらり 上目づかいで見上げたって
もう おしまいだよ
これは
さいごのおしまい
おしまいがなかっ ....
土踏まずの深い足裏で
たわわに熟した葡萄を踏みつぶす
たちどころに
赤紫の液体が
{ルビ箍=たが}で締められた
大きなたらいの中でほとばしる
秋の森は
少年と少女の息遣いで色づき
どこ ....
想像してみて。
この柔らかな死体が
何を思って生きていたかを
たとえば
生きている理由とか
翼の意味を考えただろうか
空を飛ぶ機能が失われたそれは
時折はばたく真似事をするだけの
使い ....
【乾期】
鉢植えが日ごとうらぶれていく
朝顔はもう咲かないだろう
ふたたび未来をつなげる種だけを残して
それでいいじゃないかと
乾いていく
ほんの少し私も そこで
足踏みしている
....
みみたぶは
いつも冷えている
熱い鍋肌にうっかり触ってしまった
わたしの指を冷やすために
みみたぶは
きっと知っている
それがうっかりではなくて
わざと、であったかもしれないことを
知 ....
ケーキを焼いて
中学生の娘の誕生日を祝う
ろうそくの灯に照らされて
もうひとりの女の子が浮かび上がる
娘と同じ誕生日を持つ子
遠い国に拉致されて
連れ去られたまま
いまだ帰ってこられ ....
叢でひっそりと
台風が去ったあとの
サファイアブルーの空を
見上げてます
小鳥よ、小鳥
わたしを一緒に連れてって
くちばしが
わたしをついばむ日を
待っています
翼を持たない ....
記憶の糸をほどく
風景や音や肌触り
縫い合わされていた
いくつもの欠片が
ふたたび熱を取り戻して差し出される
思い出は語られたがっているのだろうか
子供の頃ひと夏を過ごした祖父母の家
....
わたしが
命をもらった日から
吸って吐いて
繰り返されてきた
呼吸の仕組み
その息は
かじかんだあなたの指を少し温め
その息は
幼子の風車を廻し
その息は
ケーキに灯されたろう ....
底から
蒸発した
温かい水が
蓋裏で
冷たい水になる
ほんの少し
傾けただけで
それは
ふたたびのしずくとなって
ほとばしる
涙の成り立ちを
まぶたの裏で描きながら
わ ....
母の手作りする洋服は
大体において
あらかじめ寸法が大きかった
未来が足されていたから
子どもはすぐ大きくなっちゃうからって
それは言い訳というより
有無を言わせない印籠のように掲げられた ....
まちがいだと
笑わないでください
季節を
取り違えた
ばかな花だと
笑わないでください
きょうだいたちが
眠っているのを
ただ静かに見守るためだけに
秋に咲いた
一輪の紫陽 ....
ある満月の晩、女友達が私の家にやってきた。シャンパンを片手に。何かのお祝い? と尋ねたら「まあ、そんなようなもの」とほほ笑んだ。酔っぱらうと虚言癖のある彼女は「やっとわかったの。わたしは王女さまだった ....
日々の習慣こそ愛おしい
扉を開けてただいま、と言う
杖は手摺に立て掛ける
靴を脱いで右端に寄せる
一人前の惣菜を冷蔵庫に入れる
白い手拭いを
四つ折りにして
赤い糸で等間隔で縫う ....
イナエさんのそらの珊瑚さんおすすめリスト
(215)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
たからもの
-
そらの珊 ...
自由詩
23
14-1-8
機織り
-
そらの珊 ...
自由詩
17*
14-1-2
死二ゾコナイ
-
そらの珊 ...
自由詩
17*
13-12-27
こわれもの
-
そらの珊 ...
自由詩
22
13-12-24
猫のダイヤモンド
-
そらの珊 ...
自由詩
14
13-12-19
猫のさがしもの
-
そらの珊 ...
自由詩
22
13-12-18
【終わりと始まりと】詩サークル「群青」12月の課題「終」への ...
-
そらの珊 ...
自由詩
21
13-12-10
垣根
-
そらの珊 ...
自由詩
20*
13-12-4
【非常階段】_詩サークル「群青」11月の課題「非」への提出作 ...
-
そらの珊 ...
自由詩
20
13-11-30
とうめいな容れ物が収集を待っている
-
そらの珊 ...
自由詩
26
13-11-17
ヒビいった
-
そらの珊 ...
自由詩
15*
13-11-15
真夜中の耳
-
そらの珊 ...
自由詩
17
13-11-14
砂の中の魚
-
そらの珊 ...
自由詩
14
13-11-11
白骨の湯
-
そらの珊 ...
自由詩
11
13-11-9
いきぎれ
-
そらの珊 ...
自由詩
11
13-11-6
あまねくすべての椅子に捧げる
-
そらの珊 ...
自由詩
23
13-11-4
【おしまい】_詩人サークル「群青」10月の課題「無」から
-
そらの珊 ...
自由詩
14*
13-11-2
葡萄酒
-
そらの珊 ...
自由詩
20*
13-11-1
鶏供養
-
そらの珊 ...
自由詩
24
13-10-29
秋の待ち伏せ(ツイッター#pw秋組参加作品)Ⅱ
-
そらの珊 ...
自由詩
19*
13-10-28
みみたぶ
-
そらの珊 ...
自由詩
17
13-10-23
十月五日(土)天気_雨
-
そらの珊 ...
自由詩
15
13-10-19
じゅずさんご
-
そらの珊 ...
自由詩
12
13-10-17
ありがとうの言葉とともに
-
そらの珊 ...
自由詩
18*
13-10-16
ためいき
-
そらの珊 ...
自由詩
18*
13-10-14
十月の扉
-
そらの珊 ...
自由詩
18*
13-10-9
ぶかぶか【詩サークル「群青」九月のお題「音」から】
-
そらの珊 ...
自由詩
22*
13-10-2
シークレット_ガーデン
-
そらの珊 ...
自由詩
12*
13-10-1
王国
-
そらの珊 ...
自由詩
11*
13-9-15
運針/千人針
-
そらの珊 ...
自由詩
16*
13-8-15
1
2
3
4
5
6
7
8
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