すべてのおすすめ
あなたのはく息は
わたしのよりも
ちゃんと白いね
あなたの手のひらは
ぶ厚くて温かく
冬が
さむいのだとわかる
うしろから抱き込まれると
まるい刃物に刺される心地が
した ....
薔薇のような汗をかいている
痩せた熊が
水底に沈んでゆく
両の眼を開けたまま
だだっぴろい冬は
晴れた日の砂漠のようにきらめき
しろい女は
しろい男の唇に
海より ....
ぼくたちはインクの川をまたいで指を切る
彼女たちは木にぶら下がっている
裸で
ぼくたちは空を見上げている
お互いの青い
髪の毛を手にぶら下げている
暗闇がぼくたちの間をよぎっている
....
ここをもう少し南に歩くと大きな柿の木が見えてくる
手入れなんてされていなくてばさばさの大きな木が見えてくる
まだかけ算が苦手な時に、そこの汚い倉庫みたいな家には
ガラクタばっかり集めているお ....
そんな事実まみれの話をしないで。
朝、光のふりそそぐ首都圏に溶けだしたチョコレートのせいで、つ
づいていく肥満児の行進。破綻した都市計画が描くメープルシロッ
プ、キャラメ ....
試験管を試験官の尻に差し込みフラスコをステテコに押し込んで足のところを縛ります
塩酸を凄惨に撒き散らし人体模型を靭帯がもげるまで捻じ伏せます
BTB溶液をBLTバーガに流し込み胃液で溶かします
....
きみのだいじなピアノがあって
叩けば壊れる鍵盤と、たたかなければ止まる音楽
調律したての
うつくしい音色が始まり粒になって外に雪が降る
夕焼けが結晶にぶちあたりながら
きらき ....
朝六時。さっきまで雨がふっていたのに。
すべらかに陽がとけて。車をはしらせる。
海岸。
ごつごつした岩の突端まで、青いダニみたいに跳ねて。
釣り糸をなげる。
(塔の物見に ....
スライム営業スマイル
契約取るため勇者を襲う
スライム営業スマイル
成績悪けりゃ笑顔も引き攣る
スライム営業スマイル
休憩中は
スマイルなしの真顔スライム
点滴にロマネ・コンティ入れてよ
つれていって戦地、立ち向かわせて敵前、
ここは地という宣告のもと飛び降りようとしている
ふたつの目がほんとうは空を凝視している
きみのもっているぜんぶの切れ味をわたしに集中させて ....
スライスチーズを1がじがじ
ねこちゃんみたいなお耳になった
上からもいちど1がじがじ
Tシャツの襟くびみたいになった
両はじおのおの1がじがじ
ヨセミテのお山みたいの2個できた ....
観覧車があるところを飛び渡っていると
大気圏を越すような速さになっていった
ある惑星の文明の話を聞いて
自分の描く空は記号だらけになった
届かなくて引っ掻いた
金色の生え際に月が似合うよ ....
*
短詩が感覚的に合う。一切の説明は不要。そこにある存在を描写し配置することで無を表現できる。もともとそういうふうに存在を見ているのだから。読者の思い込みに付き合う気はないが、思い込みの底に届 ....
(春の午後)
日曜日と自転車一台をここに置いておきます。
あとはお任せします。
(シーン3 路上)
「・・・・・」
「・・・・・・」
月明かり 猫二匹
....
回る 回る 回る廻る 廻る廻る廻る転る
転る転る転る 回る 回る 登る 登る の
ぼ る 降る 降る 降る降る降る降る降る
回る 廻る 転る 転る転る 回るまわるま
....
ライオンは王なんかじゃない
だれかがつくった王冠は
きつくかぶせられてぬげることはない
王は滅びそうになりながらも王でいる
しかばねをみられぬように食いながら
雌に牛耳られ
仔にぶ ....
女の子って何で出来てるか知っている?制服だって成分みたい。それはもう無添加で透明で遺伝子組み換えでない。学校とか、専攻とか、教室とかでかわっちゃう未来。中庭で創作ダンスをしていた普通科の子たちは、なに ....
B・A・N・!
銃口からアルファベットが
弾けて、飛んだ。
はためく万国旗のあいだを突き抜けて
BとNは、きれぎれの雲、そのすきまに挟まり
Aは鋭い先端で、空を直進していた一羽の鳥を
グラ ....
毎日がつまんないと絶望しなきゃなんないからちょっぴりの
事件とウイスキーが必要。つまりはミステリー小説的なうる
おい。地元ではそこそこ名の知れたしがない一族経営の会社
でルーティン・ワークをなに ....
くだり坂を転がりながら
ミートボールたちは言いあっている
きみの家を焼いたとしても、そうだな
つめたいパスタはおいしくないね
依然として玉ねぎは
玉ねぎをやめようとしない ....
殴打する中空に指を二本立てたら銀河の果てまですべてはピースだから、水中眼鏡かけて、太陽の目を潰して、苦くて冷めきったブラックコーヒーで夜を水没させる肉体労働をしようよ。喫水線がシンデレラの膝下にとど ....
121020
告別式ではπを投げてはいけません
解けない謎を投げかけては可哀相
隣家の三毛猫が言うから
ジャムパンはどうかしらと思う
あんパ ....
「ねえ、こい、と、あい、って何が違うと思う?」
「こ、と、あ、が違うと思う!」
「そうじゃなくて、意味だよ、意味」
「えーっとね、こいは魚で、あいは英語かな」
「そうでもなくて…、えーっと…、 ....
私の指はとても不器用で
目の前にあるものを掴むのに時間がかかる
だから誰かがサッと掠め盗っていってしまったり
のんびりしすぎて消えてしまったりする
ビルの谷間に逆立ちで歩いている
理想郷 ....
木々の緑を水面に映す静かな湖のほとり
子どもたちが乗るボートが1艘
桟橋の近くのサンドイッチ屋に到着しました
「いらっしゃい、みんなおなか減った?」
女店主が言うと
「減った。」 ....
うちこわしの時がきた
半径 ところどころ
直径 つきのわ くま
飲み込んだ夜 ゆれ
ツマンダ ページ 落ち
ふてくされて おひまなうぶ
せとものに つまようじ
焼かれていたよな
....
前衛的という言葉でのりきる
蒼然古色霜夜の廃城
その回廊を音もなく飛び歩く
惨劇の後の静寂は、ひたと夜闇に寄り添って
風ばかり、眠れる草木をあやしている
石は変わらず乾いてそこに在る
お前は
どのストーンヘンジか ....
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