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何もかも
原則的に敵だから
僕は今日も肩で風を切って歩く
すると思いもかけない温かい風が吹いてきて
僕にあいさつするものだから
戸惑いながらもあいさつを返すと
風は微笑みながら ....
全ての生命が鉱物のようにまどろんでいる
太陽は新しく昇ったばかりの新人で
世界の照らし方がわからない
ぎこちない光を浴びながら
水のように低くしたたかに歩道を歩く
私はすべてを根拠付 ....
音楽は風景である
あるいは夢であり映像である
メロディーに従って稜線は描かれ
和音に従って街並みは形成される
音楽が鳴りはじめれば何もかも存在をはじめ
音楽が鳴りやめば何もかも存 ....
あなたは私という平原を流れていく一筋の川
涼しい亀裂を走らせながら光として流れていく
あなたの源流はもう去ってしまったし
あなたの流れ着く海はもう干上がってしまったので
あなたは存 ....
全ての季節から見放され
太陽からも見放され
夜中に夜空を眺めていると
夜空に輝く三日月は広い闇の中で一人ぼっち
圧倒的な闇の大群に孤軍奮闘するまばゆい光
月よ、お前も苦しいのだろう、 ....
線香をあげるとき
仏壇に飾られたあなたの遺影の中で
あなたは結晶化していた
あなたは若いままでもう歳をとらない
あなたはいかなる光も言葉も感情も透過する
温かく透明な結晶だ

あ ....
      ――M.S.へ

あなたは私という小さなひずんだ円形を、余すことなく包みこむ大きな完璧な円形だった。ふたつの円の中心は、二人の性格の針によって異なる点を指していたが、私が囲っていな ....
一人の人間の中には収まらない
大きな悲しみがある
あるいは地球の地表を覆い
あるいは宇宙をすべて満たす
大きな悲しみがある
だがこの悲しみは
僕という一人の人間から生まれたのだ ....
優れているということ
それは一つの棘であるということ
鋭く探し当てどんどん前進していき
多くの人の自尊心を刺してしまう危険な棘であるということ

優れているということ
それは自 ....
輝くものと輝かないものが出会って
互いに氷として融け合った一年だった

ほんとうのことはすべて
偉大な虚構から滑り落ちた一年だった

どこまで伸びていくか分からない
指先を丁 ....
 実在論とは、世界に物質などが実際に存在し、それに触発されて意識などが生じるとする考え方である。観念論とは、存在するものは意識に与えられたもののみとして、それを超えた実在を要求しない。
 ....
余白だらけの夜に
私の存在は余白だらけ
余白を埋めるように侵入してくる街並みは
全て雨のように回避される
夜空の闇はひたすら淡く
道行く人もひたすら遠く
私は過去の袋小路に迷い ....
起きた時喪失を感じる。夢を遡り昨日を遡り、どんどん過去へと逃げていく私の心の半分。私は朝起きるたび心が半分になる。そして、過去へと遡って行った心は決して帰ってこず、その代わり消え去った思い .... 私は仕事をしている。仕事場は道路の真ん中であり、仕事をしているとすぐにクラクションが鳴り車が渋滞し警察がやって来るので、しょっちゅう仕事場を変えなければならない。私は仕事をしている。仕事着 ....  現代詩において恋愛詩は避けられる傾向にある。その一つの理由は、現代詩の不可逆的な洗練の先にある書法が、恋愛を解体する傾向にあるからだろう。素朴過ぎて日常的に発される言葉は詩である必要がない。 .... 夜の速い渦の中で、私は突然の出会いに見舞われたかのように混乱している。電車のホームに鳴り響く様々な声のあらゆる細部に巻き込まれて、夜空高く昇っていくかのごとく混乱している。これだけの複雑な .... 僕は工場で量産された個性のない品物
僕自身のアイデンティティが欲しくて今日も走る
持ち主が僕をどう扱うか
どんな所を走っていくかによって
僕の個性は少しずつ作り上げられていくから
 ....
雨の日に、僕は雨粒の音を数えている。僕が数えられるよりももっと速く雨粒は降ってくるし、遠くの雨粒の音はよく聞こえない。それでも僕は雨粒の音を数えている。自分の感性の平原、その静寂に一番響く .... 夜の街路で、街灯もない道を私はさまよっていた。正義はいつでも鋼鉄でできている。それは鋼鉄の壁かもしれないし、鋼鉄の刃かもしれない。私は自らの著作の記述で異教徒を激怒させ、異教徒に追われてい .... 全ての色彩から、全ての音響から、全ての芳香から見放され、僕はこの空の沙漠で下界に着地するすべを知らなかった。僕は太陽として余分すぎる存在であり、意味もなく光を放ちとても醜いので、いっそのこと夜 ....  光冨郁埜の詩集『豺』は、大雑把にいうと二つの原理と二つの空間から成り立っている。二つの原理とは傷と愛であり、二つの空間とは体験と虚構である。
 人間誰しも生きていれば心に傷を負うものである。傷は外 ....
あなたの中を流れやまない
液化した鋼鉄の重さと鋭さが
かつて組織の微細な織り目をうまく満たせなかった
あなたは組織の糸を切ったり駄目にしてしまったり
組織の織り目の綾に鋼鉄の流れを ....
すべてのものを等しくするために
雪は降り積もった
道路も畑も建物も樹も
すべて等しく白の諧調に集束する
想像もつかないほど遠くにある白さが
具体化した永遠のようにすべてを覆い
 ....
この道は海へ続くという
海へ至り海のいちばん深いところで尽きるという
僕は道端において山脈が途切れる村をまなざし
もう後には引き返せないと強く心に刻む
そのとき確かに海はいくつもあった ....
僕とあなたの間にある空間には
いつの頃からか水が流れるようになった
水はときには破裂し
ときには甘い味を伝える
あなたの視線が空間を貫くと
空間は一気に線に凝縮され
眩く僕のことも ....
 自己中心的なだけの詩には限界があります。つまり、一人称原理で成立している詩には、中心が卑近な己だけであることから生じる限界があります。詩の世界を広げるためには、他者との交渉や世の中との交 .... 悪は一つの矛盾した実り
弱くふるえている果肉を守るために
幾重にも重なった硬い果皮

善であることは実ることを拒絶すること
果肉が傷ついても
それに耐え続ける強さがあるというこ ....
はじめ名刺は刃のように
私を私から切り離した
名刺の上には私の生首が乗っていて
所属や肩書など嘘ばかりべらべらしゃべる
私は生身の人間だ
そんな機関にはまだ身を任せていないし
 ....
人間の行為を肯定するために幸せは捏造されました。仕事、ギャンブル、放浪、それが幸せであれば許される、そんな風に幸せでもないことが幸せ扱いされましたが、当の幸せ自体は空っぽの何でもありでしかなか .... 家族は血のつながりであり、歴史のつながりであり、土地のつながりであり、愛情のつながりである。家族を泉として、そこからつながりが徐々に遠くへと流れ着いていく。血のつながりは遠い祖先の瑞々しい表情にまで脈 ....
アラガイsさんの葉leafさんおすすめリスト(211)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
- 葉leaf自由詩515-4-16
- 葉leaf自由詩815-4-14
音楽- 葉leaf自由詩115-4-12
あなた- 葉leaf自由詩415-4-8
孤独な月- 葉leaf自由詩215-3-27
結晶- 葉leaf自由詩315-3-25
異動- 葉leaf自由詩215-3-23
悲しみ- 葉leaf自由詩215-3-22
優れている- 葉leaf自由詩415-3-21
一年- 葉leaf自由詩615-3-20
詩における実在論と観念論- 葉leaf散文(批評 ...215-2-27
夜の町で- 葉leaf自由詩215-2-25
起きたとき- 葉leaf自由詩715-2-17
仕事- 葉leaf自由詩215-2-14
恋愛詩の在り方- 葉leaf散文(批評 ...415-2-11
複雑な夜- 葉leaf自由詩315-2-11
自動車の歌- 葉leaf自由詩415-2-8
雨の日- 葉leaf自由詩6+15-1-29
- 葉leaf自由詩515-1-24
成人- 葉leaf自由詩315-1-14
愛と孤独の彼方へ- 葉leaf散文(批評 ...1*14-12-25
孤独な人- 葉leaf自由詩314-12-21
- 葉leaf自由詩314-12-19
- 葉leaf自由詩1+14-12-14
空間- 葉leaf自由詩114-12-13
詩の一つの可能性- 葉leaf散文(批評 ...314-12-11
実り- 葉leaf自由詩214-12-9
名刺- 葉leaf自由詩314-12-7
幸福論- 葉leaf自由詩214-12-6
- 葉leaf自由詩114-12-5

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