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冬の温かい陽だまりの中で
背中を丸めて眠っている
猫になりたい
どれだけ着込んでも
どれだけ暖房を強くしても
寒さを凌ぐ方法をぼくはまだ知らない
寒いのは冬だからじゃない
寒いのは一人だからじゃない
氷点下を感じているのは
身体ではなくぼくの心
....
大抵の事は
いつか笑い話になる事である
但しそうはならない事があるのは
常々肝に命じておかなければならない
よく気にくわないものがあれば
重いとかウザいとか
軽々しく口にする阿呆がいるが
生きていく上で
大抵のことは
重くてウザいものだ
それを覚えておかないと
いつかバチがあたるよ
....
止まない雨はない という嘘
明けない夜はない という嘘
努力は嘘をつかない という嘘
それらを嘘だと疑いもせず
気づくことすらもないとても幸福な人々と
地を這い嘘だと見抜き生きたまま死ん ....
おんなが笑っている
高笑いでもなく微笑みでもなく
氷雨に打たれ空を見上げ
おんなが笑っている
おんなの頬を伝うのは
雨粒だろうか涙だろうか
痩せたおんなだった
背の高いおんなだっ ....
10代
ぼくはとても淋しかった
20代
ぼくは燃え上がっていた
30代
ぼくは舞い上がっていた
40代
ぼくは打ち拉がれていた
50代
ぼくはなにもかも失った
60代
ぼくに ....
『Hotel California』がリリースされた頃
ぼくがパンク・ロックの帝王と呼んでいた
ジョン・ライドンは《SEX PISTOLS》の最後のライブで
捨て台詞の様に脱退宣言として『Roc ....
すべての仕事を終えてしまうと
ぼくは無職同然かのようになる
次に仕事の依頼が来る当てもないのに
電話かメールが明日は来ると想い込む
ついこの前もレギュラーの仕事が打ち切られた
何故か ....
月が消え去った
その予兆はあったのに
みな新月の日だと想っていた
しかし 何日待っても
満月も
上弦の月も
下弦の月も
三日月も
夜空に現れなかった
月面の裏に存在したモノリ ....
去っていったものは
はじめから出逢ったことのないものと
想えばいいこと
背をむけたものは
はじめから背だけを見せていたと
想えばいいこと
そしてぼくは幼い頃に戻るだけ
独りぼっち ....
仏教 神道に於いて
おんなは不浄だと
言われるが
それはおとこが不浄の眼で
おんなをそう見ている為であり
おんなそのものが
不浄ではない
故に不浄であるのは
....
ずっと考えつづけてきた
この街にやってきてもう何年になるだろう
親しい知人も隣人もたくさんできたし
顔馴染みの飲み屋もいくつかできた
でも時々その飲み屋であのひとのことを聞く
その噂 ....
7年前の皐月の深夜だった
寝返りが打てないと眼が醒めた
左半身がまったく動かない
何かがおかしいと
右半身で左半身を転がし
ベッドから転げ落ちる
電話まで這っていきながら
救急車 ....
ひとには
負け戦と分かっていても
戦わなければならない
時がある