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雨時計とは雨のふる街をさす
誰もが知らないふりをしたことだが
秒針は環状線のアシンメトリーに似ていた
夜、神話としての男と女が踊り出すと
点と線をむすぶようなあいまいさで
ビニール傘 ....
不自由な直線で描かれた雨に
うたれている
肉体
つまりきみは
一歩も動かないまま
ふるえてある
姿という姿はめくられ
白紙というには色褪せたページが
きみの瞳のなか ....
かえらぬ人々の
かつてかえっていった道を
あるく
うらぶれた街のシャッターには
等高線のかげがかかる
どこよりも遠い落日にてらされて
石室めいて閉ざされた家々の
木立のな ....
どこからも遠い、ここへ
千々の風に吹かれてたつあなた
雲のようにおおくの面影をうつす
あなたへと伸ばされる
わたしの影、暴きたてられた白き砂、
ああ今ここに在らざるひとよ
空はぽっ ....
海よりもとおい海の
浜辺には声の真空があり
水と石だけがきざまれて在る
列島の等高線をきりおとして
おんなたちは口々に
あれが星の曲率なのだとささやく
だがひとえに言ってしまえ ....
墓石のあわいを這いまわった風に
肉体という温度をおもいだす
血という言葉はなまじろい蛇のように
とぐろを巻いて しめつけようとしている
線香の煙を青空の雲とうかべれば
どこへと行く そこ ....