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その海は
私の海とつながっている
嵐がくれば
たちまちぷつりと切れてしまいかねない
一本の麻のロープの
あやうさで
私の心とつながっている

その海は
もはや この地のどこにもない
 ....
ファスナーがいつも従順だと思ったら
それは思い込み もしくは 先入観みたいなもので
生地を喰うことがある
貞淑だった人妻が 
何を思ったか豹変し 
畏れをしらぬ 厄介なうえ 世にも面倒な 小 ....
少女が恋した相手は{ルビ舟人=ふなびと}だった
{ルビ陸=おか}で生きてはいけない
それが舟人

祖先をたどれば
互いに 海で生まれた小さな泡同志だが
海を捨てたものたちは{ルビ陸人=おか ....
  古骨をそっとかしげる わっちの手
  包むは惚れたお方の手
  初雪でありんす、あたたかい

  北風を待つ渡り鳥
  いつか別れの袖ふるを知り
  もちぃっと一緒にいておくんなまし
 ....
今日の昼ごはんに
ピザを焼いた

冷蔵庫の片隅で
あやうく忘れられそうになっていた
正月から持ち越しのハムを
細かく切って載せてみる

魚焼きグリルを予熱する
五分ののちに
三日前 ....
流れ着いた言葉たちは
ただ静かに 集う

そこは
言葉の渚
私はじっと佇んでいた

寄る辺ない 潮騒
波打ち際の 白い泡
寒くなれ
痛いほど寒くなれ
凍れば凍るほど
僕は強くなる
霜柱

一晩かかって
地面を持ち上げる
どうしてそんなことを
するのかって
そんなこと聞かれても
実際のところ
わから ....
{画像=120107114152.jpg}

春になっても
その球根は芽が出なかった
「おばあちゃん、これ、フリョーヒンだね」

知ってるよ
フリョーヒンは時々現れるんだ
僕が働い ....
去年
義母が急逝した

晩年
持病で苦しんでいて
会えば
病気の苦しさばかりで
死にたいけど死ねないのよね、と言われると
そんなこと言わないでと
答えながら
鬱屈した気持ちになった ....
さあ、
詩を書こうと思ってひねり出す言葉と
太陽を浴びて
じわりと体温があがり
沸騰はしなけれど
静かに蒸発してくものを
理科室にあるような
ガラスで出来た清潔なフラスコに
再度集めて ....
私は
鏡の中で火傷の痕を
そっと
指先で確かめる
年月を経て
それは大分薄くなって
セピアに変色した
フォトグラフを連想させる
右頬に
てん、てん、てんと
程よい距離を置いて存在す ....
君が唄う愛のうた
もう
歌詞さえ忘れてしまったけれど
確かに
君は唄っていた

窓辺のひだまりに置いた
鳥かごの中で
無邪気に
金糸雀が{ルビ囀る=さえず}ように

石造りの ....
針葉樹が生い茂る
森の奥深く
みづうみがあった
風もなく
濃緑(こみどり)をたたえた湖面は

同時に
境界


そこに映る景色は
さかさま
あたかも
そこに
もうひとつ ....
小さなガラス壜の中は海
群青のさざなみでゆらめく

海をコレクションする女は
孤独であるけれども
絶望的に孤独ではなかった
本当の海まで
もはや歩いていくことは不可能
この部屋から出る ....
折り紙
あなたは何を折りますか?
折り鶴
空へ飛ばしませんか?

紙を折れば線がつく
たとえば人生が一枚の紙であったなら
線の数を讃え合いましょう

紙を広げれば最初からやり直せる
 ....
乾 加津也さんのそらの珊瑚さんおすすめリスト(105)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
海と海- そらの珊 ...自由詩9*12-1-25
我が愛しき小娘(ガーリッシュ)- そらの珊 ...自由詩8*12-1-20
ひなぎく- そらの珊 ...自由詩11*12-1-18
古骨情歌- そらの珊 ...自由詩7*12-1-14
秋刀魚の魂- そらの珊 ...自由詩8*12-1-14
渚にて- そらの珊 ...自由詩8*12-1-11
冬の道- そらの珊 ...自由詩10*12-1-10
百年球根- そらの珊 ...自由詩11*12-1-7
薄墨の絆- そらの珊 ...自由詩24*12-1-1
一枚の布のように- そらの珊 ...自由詩9*11-12-24
しょっぱい宝石- そらの珊 ...自由詩9*11-12-21
愛のうた- そらの珊 ...自由詩11*11-12-18
みづうみ- そらの珊 ...自由詩10*11-12-7
てのひらの海- そらの珊 ...自由詩8*11-12-3
折り紙- そらの珊 ...自由詩11*11-11-30

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