秋刀魚の魂
そらの珊瑚

今日の昼ごはんに
ピザを焼いた

冷蔵庫の片隅で
あやうく忘れられそうになっていた
正月から持ち越しのハムを
細かく切って載せてみる

魚焼きグリルを予熱する
五分ののちに
三日前の秋刀魚の匂いが
漂ってくる

ああ、おまえたち
まだそこにいたのかい

実態がなくなったのちも
そこに い続けるものたちよ
なぜ そこにとどまり続ける

さまよえるものは
見えないだけで
きっと いる

今日の昼ごはんは
秋刀魚の魂を宿した
少々焼きすぎたピザ



自由詩 秋刀魚の魂 Copyright そらの珊瑚 2012-01-14 13:42:00
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