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そっとしておいて

軽やかなジャンプ

手をつないでゆっくり

静かなダンス

浮きあがる心は

淡く光る

しっとりと濡れた街は

柔らかなマシュマロのような

つつ ....
列車の暖かいシートに座ると

向こう側のガラスの奥には

半透明な私が少し微笑んでいて

疲れて座っている

暗闇にうっすらと光り浮いている私は

ゼラチン質のように柔らかで他人の ....
エプロンをつけたおじさんのような
がらがら声のおばさんのような
二人組が立ち止まり
暑いのか涼しいのかさっぱりわからないねえと
言っている横を

私はTシャツ一枚で通り過ぎていくのだが
 ....
帰ってごはんを食べたら
すぐ寝てしまい
足がつって起きる
しばらく悶えて
無性にアイスが食べたくなって
夜道を自転車で走るのがとても心地が良い

新鮮な空気がヒタヒタと肌を潤す
そうい ....
今日は一日天気で

日の照る中ティーシャツで過ごしたので

夜寝る前になっても

背中に暖かい温もりまだ残っていて

身体のストレッチをしていくと

太陽の温もりがゆっくり手足まで ....
雨が降って少し止む

鮮やかなレインコートを着た子供が歩いている

雲が流れて優しい鳥の声

コンクリートの脇っちょから咲く

可憐な透明オレンジ色の雑草は

遠くの国からハローハ ....
山奥の沢
大きな石の上に寝転がっていると

こんぽろりん
こんぽろりん

遠くの方から小さな
木琴の音色が聴こえてくる
私は少し調子の外れた
しかし心地の良いその音に導かれるように
 ....
ストローで空気を吸うと

喉までスースーストロベリー

仄かに染まる肌の色

ストローで空気を吐けば

夢は膨らむスースーストロベリー

シャボン玉のように浮かんで

空まで高 ....
バスの中はおばあさんだらけだ

おじいさんは何処に行ったのだろうか

小さな小さなおばあさんは飴玉みたいな瞳で

少し高い場所から外を眺めている

歩く人を通り過ごし

自転車の人 ....
窓をあけると風が気持ちいい

晴れてはいないけれど清々しい

鮮やかなコンクリートには

空の模様が映しだされている

どこからか子供の声

くるくる舞っている

駆けだしてい ....
ボタンがとれたシャツやズボンがある
もう何年もそのままほったらかし
衣替えの季節になると
そういえばといって結局ほったらかし

ただ今日はなんだかムズムズして
針に糸を通す
ボタンをつけ ....
ひるがえる感覚

春の風に吹かれて

私の感覚はうらおもてひるがえる

凹凸感のある手触りが気持ちがいい

どこか遠くまで飛んで行けばいい

ひるがえりパタパタと

私の感覚は ....
小学生の頃だろうか
小さな空き地で野球ごっこをしたあと
寝転がって
雲をじいっと眺めていると
ゆっくりとゆっくりと動いているように見えた

初め自分自身が
どこかに流されて行くのではない ....
地面はまだ雪が積もったままだけれど

雪の下からは水の流れる音が聴こえてきて

清らかな春の囁きが

頭の中を流れていくようで心地良い

上を見上げれば木の枝には

春の芽がびっし ....
駅のホーム
立ち食いそば屋で
かき揚げそばをすすりながら
おにぎりをほおばる

小学生の高学年
夏休みなどに入ると
私はひとりで新幹線に四時間ほど乗り
田舎に帰省していた
とても酔う ....
小学生ぐらいの子供に

軽くおっちゃんと呼ばれる

私は年齢的にも充分おっちゃんの部類に入るのだが

おっちゃんは元々から

そうプラモデルのように

細部に至るまで

おっち ....
週に二、三回ほど通る道の豆腐屋さん

ほんのときたま買って帰る

綺麗な水の中でひっそり漂う豆腐や

甘くてじゅわっと口の中で広がるお揚げさん

グレープフルーツぐらいに大きくて

 ....
茹でてふやけて

むいて食べる

ほっこほこの里芋にっころ

喉がころころ鳴っており

何かおるのかな

うっすら朝もやけのなか

鳥の声と緑の香りがする畑の中から

里芋 ....
川沿いを歩いていると
色鮮やかな
もげた螺旋階段がくるりと横たわっていた

私は危ういバランスを保ちながら
登ってみると
先に透明色の螺旋階段が伸びている

そうっとゆっくり
どっこ ....
静かにそうっと放っておいて

小さなカタマリは

片隅で

少しだけ浮く

なぜ浮くのかしら

小さなタマシイは

わたしの耳の裏で

そっと囁く

いいことかしらと
 ....
この前山の道で見かけたカラスの死体は

ポトリと落ちていて

なんだかとても温かくて幸せそうな死体であった

私はカラスを不吉や気味が悪いというよりは

小生意気な賢い奴であり

 ....
たりたりたりと

私の何か少し足りていない

ミリデシリットル分の

たりたりたりが

足早に私のうしろをついてきて

影に交じりながら

陽をよけて

たりたりたりと
 ....
おばちゃんは小気味よくステップを踏む

一秒たりとも無駄にせず

牛乳や豚肉、キャベツや卵を

カゴからカゴへ

手をかざすかのようにバーコードを読み取り

お会計を済ましていく
 ....
そこには空き地が広がっていた

小さな空き地ではあったけれど

空の眺めは最高だった

スピスパスパパ

スピスパスパパ

近くの町工場の音が

雲の流れが幼い私を

ベル ....
お爺さんが訪ねてきた

孫に会いに私を訪ねてきた
しかしお爺ちゃんっ子だった
私の祖父はもうだいぶ前に死んでいる

今自分がどこに住んでいるかも伝えないなんて
随分ひどい話だなぁと
当 ....
百円で買った文庫本

アメリカのとある古い短編小説

マウンテンパーカーの前ポケに

ちょうどだからと出かけるときに文庫本

雨がぱらぱら

結局ざぁざぁ

一日降って傘をさし ....
もみあげの
はしっこをつまんで
ちょりちょりならす

くしょんと晴れる
寒いんだか暖かいんだか
どっちなんだか

そろそろひょっこり
蕾がふっくら
はにかみはにかみ

耳たぶを ....
一匹のからすが

あおあお鳴いている

小さな子供が歩きながら

あおあお
あおあお

声に出して真似している

雑木林の中から
鈍く光った黒いマントが見え隠れする

前を ....
一つあれば十分なのだが
二つ三つあれば
何かあったときに
安心だから揃えてしまい

ただただ
綺麗に使わず
とって置いてあるだけなのだが

虚飾に満ちた
幸福感にじわっと
武者震 ....
私は小学生の高学年頃
毎日日記をつけていた
それは思い出や覚え書きを残すためではなく
日記をつけ続けることに固執していたからである
そして書いていることは
何かの情景描写や感情表現では全くな ....
salcoさんの灰泥軽茶さんおすすめリスト(43)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
そっとしておいて- 灰泥軽茶自由詩613-12-25
もうひとりの私はゼラチン質のようだ- 灰泥軽茶自由詩1213-12-21
秋のはじまり- 灰泥軽茶自由詩1413-10-11
夜風とアイス- 灰泥軽茶自由詩813-7-14
太陽の温もり- 灰泥軽茶自由詩6*13-5-14
ナガミヒナゲシ- 灰泥軽茶自由詩8*13-5-11
山女の木琴- 灰泥軽茶自由詩9*13-4-29
ストロベリーストロー- 灰泥軽茶自由詩4*13-4-26
バスに揺られて- 灰泥軽茶自由詩9*13-4-23
はるのこえ- 灰泥軽茶自由詩6*13-4-7
ボタンをつける- 灰泥軽茶自由詩15*13-4-2
春風- 灰泥軽茶自由詩5*13-3-27
雲の流れ- 灰泥軽茶自由詩5*13-3-23
春の囁き- 灰泥軽茶自由詩7*13-3-22
駅のホームと立ち食いそば屋- 灰泥軽茶自由詩18*13-3-19
昭和式おっちゃん- 灰泥軽茶自由詩7*13-3-13
豆腐夫婦- 灰泥軽茶自由詩5*13-3-8
里芋にっころ- 灰泥軽茶自由詩8*13-2-15
もげた螺旋階段- 灰泥軽茶自由詩10*13-1-4
綿埃- 灰泥軽茶自由詩6*12-11-18
カラスの死体- 灰泥軽茶自由詩9*12-10-3
たりたち- 灰泥軽茶自由詩9*12-9-22
レジおばちゃん- 灰泥軽茶自由詩9*12-9-15
スピスパスパパ- 灰泥軽茶自由詩6*12-9-14
お爺さんはお爺さん- 灰泥軽茶自由詩8*12-5-4
雨に濡れた文庫本- 灰泥軽茶自由詩20*12-4-12
耳毛ふさふさ- 灰泥軽茶自由詩10*12-3-26
黒いマントのカラスたち- 灰泥軽茶自由詩12*12-3-12
頬膨らませ- 灰泥軽茶自由詩6*12-2-16
日記を捨てる- 灰泥軽茶自由詩10*12-2-12

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