すべてのおすすめ
自由とはどこにあるのだろう
やりたいことをやれないとき願うのが
自由なのだとしたら
自由とはいまどこにあるのだろう
やりたいことをやるのが自由なら
自由とは際限のないもの ....
机の引き出しのなか
右の白い封筒には
レポート用紙が五枚
三つ折りでたたみ込まれていて
真ん中の一枚が
初夏の居間、
線香の香りのように
鼻の奥に
ひびき
ねじれて
横たわっている ....
おとなの恋は
ちょっぴりこどもの恋がうらやましい
なんていうのは、ないしょの話
島にクジラが打ち上げられた、と
近い浜の様子を
遠いテレビが映し出していた。
スニーカーのまま砂浜を渡った。
足を取られはしないよ。
歩き方は知っているから。
....
小さな音で聞く
古い音楽のように
今日の何処かに住むような
哀しみであればいい
何より大切な光だと
思えた瞬間を
ふいっとこの手のひらに
思い出せればいい
東の ....
どこかの外れのような野原に
ひっそりとメリーゴーランドはあった
白い馬にまたがると
むかし死んだ友だちが背中を押してくれる
メリーゴーランドがきれいな音楽とともに
ゆっくりと回り ....
シスター、魔女たち
「黒い森を、見知らぬ男と女が逃げています。あれたちは、城下の者ではありません」
月光の影(シルエットだけ)
呪われし王の姿、針の雨嵐吹き荒れる棘丘に現す
....
ひとりの遊びが鏡へ沈み
逆さの冬と共に居る
指を離し
糸をからめる
雪はやみ 夜は狭まり
呼び声の奥
目をふせている
ひとつの顔
霧を曳く灯 ....
君がはらはらと はらはらと泣くから
僕はただ おろおろと おろおろとするしかない
君がほろほろと ほろほろとこぼす涙に
僕はただ ふわふわと ふわふわと夢ごこち
あやまったってゆるされ ....
サラリーマンだった父の背中は
遠くて近寄りがたかった
自営業を始めた父の背中は
なんだかわからないオジサンだった
年老いた父の背中は
丸く小さくなったが
ぐんと近づいて
いろんな ....
もう電柱の皮膚になった古いポスター
汚くて優しい町にみえる
かつて通学路だった道に ハートの落書
ブロック塀の透かしで途切れた 相合傘
あそこに住むおばさんが 恐いと駆けてく少年達
....
小さく芽吹いたポプラが
わたしの背を追い越して
空まで届かんと
生き急ぎます
ナナカマドをついばむカッコウが
雪に赤い跡を落とし
上昇気流にのって
翔けまわるのです
潰されたホ ....
目を瞑ると落下してる
驚いて目を覚まし
また目を瞑る
ふたたび落下
それを何度か繰り返し
その恐怖に慣れた頃
私はやっと
眠りにつく
夢で見た
あの青い海も
本当は ....
愛人の彼氏は中国人だ
愛人は韓国人で俺は日本人だった
三人をふくむ友人たちと
餃子パーティーをしたことがある
広島の別荘で真夏のことだった
中国人たちが餃子をつくっているあいだ
日 ....
手紙を出す用事があって
エレベーターを待ってる
扉が開く
エレベーターの中が
こんにゃくでいっぱいだったので
乗らずにに見送る
あんなに沢山のこんにゃくを積んで
あのエレベー ....
白いあなたはたちのぼりました
火葬場の空に
時間はどこででも流れるものだと
感じた棺の残骸
自分の嗚咽に一番 自分が驚きました
私はあなたを憎んでいたし
あなたと対決する日がこわか ....
お月さまみたいだ
昼間もうっすらと感じています
夜は突き刺さるように感じています
これ以上書いたら
また嫌われるようなことして
困らせるからやめるね
ここまでなら大 ....
散るために咲く花の 年々
洞庭湖の晩 暗く 俯き
薄氷の光を踏む
木立の沈黙 彩か鳥の姿まだ帰らず
君の歌声 一遇 銅琴の音 華やかなりし頃
遠く
宮廷楽人 詩酒の会
....
適切な一秒を
わたしにください
わずかに
ずれることもなく
適切な一秒をこの身にください
この目に
何かを映すなら
光か影のどちらかを
耳に何かを残すな ....
こんにゃくを買いに出かける
いつものスーパーでは売り切れだった
少し遠くのスーパーでは見つからなかった
少し遠くの別のお店では
こんにゃく以外のものならあるのですが
と残念がられ ....
叩かれた
殴られた
蹴られた
常に恐ろしい存在だった
決して逆らわなかった
母に気に入られるように
顔色を伺って生きてきた
いつもどこか緊張していた
心の底から甘えた記憶はない
....
ぼくは裸にもどります
着ているものを脱いで記号にもどります
記号は誰かに気付いてもらうために
信号になります
見つけてくれるまで発信し続けます
金属と石に惹かれる女たちは
アイスラ ....
鳴らないチャイムを待ち続け
今日も1日が過ぎて行った
明日の僕に手渡す物は
多すぎて目眩がした
足も耳も目も鼻も手も全てのパーツは
一つも合うものがなかった
中古と ....
きみという少年時代の秘境について
そこに恐れていたものなど何一つなかった
きみに吹く嵐は去り時をわきまえていたし
きみの森に虎なんかいなかった
過ち達は気前よく十字を切って
帰り道に気を ....
正直者が
墓を見ている
使い古された言葉のように
花が一輪
添えられている
祈ることが
生きることになって久しい
誰もいない部屋に
また電話してる
かなしみが ....
終わらない轍を抱えながら
時への妄想を考古していた
時は迷路に曳かれている
命や命の周辺を発掘する
それらは無機物になって
感性や知性に弄ばれていた
終わらない轍を ....
ギッタンバッタン
ギッタンバッタン
揺れる織機に糸は止め処なく流れる
機織りする貴女の家を訪ねた
白髪交じりの老眼鏡に覗くまなざしは
古代の機織の乙女と変わらぬ清楚さで
遥か遠く
白 ....
カルテに書き込まれた
真実
けれど君は
世界を愛して止まない
ならば私は
君が愛するこの世界が
壊れぬよう
言葉で
視線で
抱擁で
君に一枚の
フィルターをか ....
夏のかすれた孤独のいろは
黄色いキズだらけの女の顔
ひとりかそけき偽物の怒り
哀しみが募集されている
夜の電車が紙を震わせる
カレの家を見に行くほど
俺はイカレテい ....
暗黒の空の下には灰白色の砂が硬く積もっていた
海底は果てしなく広がっている
僕の銀色の船は今、嵐の大洋に来ている
大小のクレーターは蟹の足跡やヤドカリの巣穴のようだ
この嵐の大洋は ....
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