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ここは泥棒市場
通称キャットストリート
骨董を売る店が連なる
ここで売っているものは
どことなく胡散臭く
まがいものの匂いがする
モノガタリには事欠かない
溥儀が紫禁城でコオ ....
海岸沿いをレンタカーで走った
波しぶきが空にあがってゆくのが見える
それが雲になって風を待ちかまえている
すべての雲が
そんなメカニズムでできている訳ではない
でも二 ....
向き合った途端、一瞬たじろいでしまった
あまりにも真っ直ぐに見つめられて
ファインダー越しに覗いた
淡いピンクの大輪
千重咲きの奥に守られている花芯は
何か語りた気に
唇をうすくほ ....
小川のような楽譜を背泳ぎして
フルートを手にする君
瞳を閉じた音色は
君の夢をまさぐって青い湖に案内する
歌詞はそこで一隻のボート
僕は向かう方向に背を向けて
ひたすら歌いながら漕ぐ
....
似たものばかり 重なる油絵の厚み
偏ってゆくけれど 分野を分けたくない
乾く前に重ね塗る 皮膚呼吸に気がつく
似たものばかり 増えて 要約に飽きる
バランスの軸だけで 死角を生き反 ....
目指したわけではないけれど
二十と数年先の世界
タイムマシーンの誤作動です
大きな変化はありません
山も近所も十五の頃に見た景色
父が老け母も老け
兄弟は皆家を出て
もやしのような僕 ....
恋には形があるからさ
だから、つくれるしさ
だから、こわれるしさ
泣けない
女もそこそこいくと
かわいくないのもの
ずしずしっとくるのよ
責任みたいなもんが。
あ
思い出した
仕事失敗して上司にものすごくおこられた
年くってからの言葉が
ささる ....
なああんた どぶろくって知ってるかい
おっと 聞き齧りとか 読んだとかじゃねえよ
実際に飲んだり 作ったりしたかって 意味だ
知る 本当の意味でどうか そう質問してるんだ
そう ....
ぬかるみに寝そべって見たお月さまは
丸いというより少しいびつな形に見えた
生涯の伴侶と決めた人を差し置いて
愛する人を想う気持ちに似ている
いびつ
こ ....
毎日の駅舎の
プラットフォームの屋根の
「頭上注意」のとある一区画から
いつも落ちて来ていたハトたちの声
優しく鳴き交わしていた声
くるっくー
でぽー
けれども今日は駅舎の
プ ....
サイダー缶を傾けて
中身を地面に溢しながら
私に話しかける骨
アップル炭酸は
低いところへ流れますが
プライドは高い場所に
流れるのです
この剣を差し上げましょう
8万ゴールド ....
閉鎖傾向の鞘の中。
無数の土産屋の陳列列島(劣等)。
身なりの時計は
知らず知らずのうちに
どこかと
だれかと
みんなと
かたこと
たわごと
ままごと
「と」ととっとと同期しや ....
文字を生むのがこわいから
ころころころがす
丸くなるよに
あなたが私を
斜めにみるから
ほんとうなんか
みせないって決めた
文字のつぶて投げて
怒ってみたら
悲しそうになった ....
笑ってください。
泣いてください。
貴女はそれで
いっぱいになります。
笑えば笑うほど
心は広がっていき。
泣けば泣くほど
広がった心は満たされていきます。
笑うのがプラス ....
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この世の中には
幕間に控えて居る役者は
いっぱいいて
人が羨む役を貰えるかは
まことに運次第なのだと思う
人は与えられた役の ....
犬の眼をじっと見つめていると
黒々としたその瞳から
哀しみだけが
滲んでくる
犬は
なぜ自分が犬であるかを
きっと知っている
遠い昔
野生を
人間の為に捨てた存在
自由よりも不 ....
まぶたを 閉じれば 海は すぐそこ
関門海峡の潮の音
あっちのほうが長門そどな
長門には 鯨さんのお墓があるそどな
おおけな鯨のちいさな墓に 南無阿弥陀仏を奉じると
波をみな飲み込んでき ....
さて、正面には
丸い机
中央の
銀皿にもられた
艶やかな葡萄と
止まったままの砂時計
どこからか
聞こえてくる通奏低音が
生きものたちの
瞼に影を落として、
りりり、と
電話 ....
ひらり おちる
消しゴムのかす
えんぴつを研いだ時の
木の破片
真っ白なノートに書きなぐった
たくさんの言葉たちが
笑う 泣く 笑う
書いては消した 小さな唄
ちっ ....
{画像=120514020301.jpg}
幼い日
五月五日
かしわもちが右手の親指にからみつく
ふわふわした髪
大きな耳
口元に大きなえくぼがあった
一瞬の喜び
木の床に ....
車椅子の母の髪をカットした
チョキチョキ ハサミで切りそろえる
黒い髪より 白髪の方が多くなったね
わたしは 母が年を取って授かった
上には 年の離れた兄弟たちがいて
望まれないまま ....
わしは実は ふたごだったと聞かされた日
そして わしのふたごの兄貴だった人は生後まもなく死んだのだと聞かされた日
ねぇちゃんと グリコを分けて食べるように わたされた
ねぇちゃんに 言うた
「 ....
君は右手の人差し指を空に挿し
微笑みながら僕を睨む
一行の眼差し
二行目の僕は
圧倒されて黙り込んでしまった
覚えてないの
私のこと
怒りの女神は叫ぶ
私の名を思い出しなさ ....
風呂屋の開店時間まで、風呂屋前の縁台で2人の爺さんが将棋を指す。
ひとりは白髪、ひとりはハゲ頭。
ときどき子供が「将棋教えて!」とやってくる。
爺さんたちは子供のレベルに合わせた詰将棋の問題 ....
【命の島】
瀬戸内の生温かい風の中
虫篭を編む
白いビニール製のストローを器用に組み立てて
円錐状の虫篭を編む
昔は 葦だので編んだらしい
ストローの語源は ワラだと言う ....
きみは暫々それは知ってると言う
きみは暫々これは知ってると言う
きみが博識だということを
ぼくは否定する気はない
でもきみが饒舌に語る話を聞いていると
何か絵画のない額縁だけを聞いて ....
朝日はね
特に良く晴れた日の朝日はね
そりゃあもう別嬪さんで
たったひとりで見ていると
もったいないような
独り占めできてうれしいような
不思議だね おれは
新しい朝と結婚したくなっちま ....
牽かれていく二すじの偏光
孤独な少年の手なぐさみ
自転車にまだ補助輪があったころ
ぼくは愛されていたかしら
いなかったかしら
初夏の予感が初めて来たとき
駅前通りに二匹の妖精 ....
そこに
握り締めていたものが
怒りだったのか
憎しみだったのか
恐れだったのか
あるいは優しさだったのか
まるで思い出せない
たとえ
プライドの端を踏んづけられても
握らない ....
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