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貴金属コーナーに群がる高校生は
鼻で笑えたけど
たくさんの買い物袋を両手にさげて信号を待っている中年夫婦を
バスの中から見た時
手袋をはいていない手も
雪の上での足踏みも
会話からもれ ....
二人のため
お互いのため、だなんて
ついから私まで
あなたになったの?
粘土をこねて
造り出した私を
心の中で
飼っているのかしら
いい加減に
ひとり遊びはやめて
私を ....
壊れたブローチのような蝶を
ふくらませた両手のひらの中で
大切に飼っている
飛び去ることも
息絶えることも
考えもせずに
目にした
耳にした
手にいれた何もかもは
変わら ....
その一瞬の沈黙で
都合のいいことを考えている
ひょっとしてあなた何か 言い出ださないかしら
瞳をのぞくのが好き
それですこし困って微笑うしぐさを見るのが
たまらなく好き
どうし ....
世界のどこかで絶えず雨が降る
今日は誰のため
泣くわけにいかず 喉を震わせ
こらえ続ける誰かのため
すべてを知っている空が
鏡になって泣くのだ
そして私は
傘をさす
....
私は鍵を差し出したのだ
百円ライターでも取ってやったかのように
もののついでに渡すことで
完全に情を断ち切ってしまおうと
あなたは鍵を受け取ったのだ
コンビニで釣り銭でも受け ....
写真を破っても
ネガを捨てることができない
自分を苦しませ
かなしませながら
それに取りすがるようにして
生きてゆく癖があるらしい