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きっとめをつむっているうちに
文字はしずかに
みみのよこを抜けて
みずうみのように
空の低い
やさしい墓地のように
まっさらにひろがってゆく だろう
とうめいなかいだんが ....
昨夜が溢れてしまって
まだ所々
ぬれている床
こけのむすまで と歌うきみは
君の代わりにと
あかい手で雑巾をしぼり
はなびらの舞う冬の景色に
ほおった
あしあとをくずして
きみの ....
「ふくらはぎはね タイムカプセルなんだよ」
そう言った時
掠れた声で
おもしろそうに
わたしのゆるやかな足をなぞるゆびは
日ざしに透けて
どうしようもない昨日とまざり
まるで た ....
{引用=からだ
すこし熱くして
あなたは
立っていました}
だらしのない
ゆびさきがふれた
ちいさなしぐさで あふれてゆく浴場
朝が来て
また
あさのくる ....
さいきん
私をみつけます
なまいきで
じょうだんみたいな手足で
おもたいランドセルをゆらしてる
あなた
胸のまんなかのスイッチは
押したら たぶん
おたがいへんな音が出る
だ ....
あなたはよく熱を出して
自分できづかないでいるので
いつも僕は
こっそりとあなたのひたいをひやす
あなたがきづかないままで
また
まっしろな
あのベランダに 立てるように
....
さんざめき、少しずつきえてゆくあなたの目に映るとうめいなちずをてのひらでよむ。ほほにながれるなまえをさがすように、丁寧なしぐさで紐を解く。なまぬるい、あめ、がらすにぶつかるたび、視界をぬらしてゆく。な ....
彼女は
朝の遠いこのまちの
ちいさな刷毛で色をさしてゆく、群青
そらをぬりこくって笑う
その背中に
にじんでゆく夕焼け空を想起しました
けれどもうぜんぶ しずんでしまったから
....
その布の上にはきらきらしたかたまりが
透けながらならんでいて
あたしはときどき つまんで くちにいれます
がっこうからかえると また
本のあいだからピアノがはいだし ....
三月から
止まったままの針さきを
ゆっくりとまわして合わせた
雨の朝に目を覚ませば
あなたは
まだ
白くあわたつ
菫のような朝
からだにおさまらない もじ
柔らかな葉が ....
あっさりとひねりあげては
なぐって
またひろいあげる
泣いていました、ずっと
どうしようもなく 名づけられてしまったものを
青いねえ
たっちゃんは確か そう言ったので ....
あなたのみみたぶのゆめをみて
そのあとにあたしは
みしらぬ土地にいた
花の咲かない土壌にまみれた
春の匂いのする かわら
あなたはかぜをひいたといって
うすくらいへやで
ゆるやか ....
ささやくようにはいりこんだ季節は
坂の向こうで風をふくみ
かがやいている
いつも背中に手をふれ
たしかめながら
もうずいぶん歩いて
彼女の手には ひまわりが一輪咲 ....
日に満ちた電車はそっと風になり火照ったほほをすりよせてゆく
夏に包まれた海の底の席で車掌が居眠りしつづけている
唇のはしからはじまる熱気にもあたたかないばら胸に ....
えりちゃんのにおいがして
雨がすこしふった
きれいなえりちゃんはふきげんで
ようふくの襟を
ひんまげて
おとうさんはとかげを撫でて
まどを
すこし開ける
えりちゃんの隣に ....
春は きえた
ゆうだちの匂いがやわらかなあわになり
すこしずつ
あたしのつまさきと
乾きかけたしゃつに へばりついて
いもうとのうたうはなうた
おとなりからひびく いたりあ ....
からだの曲線にそって
あなたは
かんたんなじゅもんなのだと指を折った
てのひらをそっとひらいて
りゆうもなさそうにわらった時
すこしだけ
えんえんとつづいてゆく
朝の風景を おもいだして ....