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男はそれからかなしいくらいに震えて灯りをけした。
蝶々はどこで死ぬのだろう
鳥の眠りは浅いそうだ
凍りついたまばたきに春が来ないことはわかっていたが
それでも男はここにいたかった
みんな眠ってしまった
わたしは静かな夜を履いて
よく乾いた死骸をひろいあつめる
時間、音、大型ラジオ
そういうものたちを

きっとある
この夜の留め具になる死骸が
みればすぐに ....
夜、檸檬は乾いた
ソーダはふにゃふにゃにすきとおって
青ごしに見た君は
僕のかたちにくり抜かれている
夜が
街のかたちに染まるように

いったいどれくらいのなみだが流れたろう
街角 ....
ことし一番の冷え込みでした、と滑舌のわるい男が喋っている。昨日と明日の気温や服装について話つづける。雲が、保存のわるい油絵みたいにばりばりにひびわれてそこから橙色がのぞいていて、電気を点けていない .... あなたの夜が空を飛んでいる。平らかなあなたにふさわしい藍色のなかをひかりの流れるように。ねそべるかたちに匂いが残り、重みが残り、この部屋には、あなた以外の何もかもがある。

何がここにあっただろう ....
言いたいことがあったような気がする
けれど
あなたは熱すぎて

言葉を持っていたような気がする
でも
つかうにはどれも遠すぎて

死を思っていたような気がする
けれど
あな ....
くちぶえみたいな夜が煮詰まったら
朝やけは痛いくらい赤くなる
はじめて手がみを書いたときに赤くなった
鉛筆を握る指よりももっと

わたしももっと赤くなればよかった
みさかいなくはしたな ....
0時まえのまちに青く沈んでいるからだたち
空を落とすよりも
忘れることがむずかしいかな
ひときわ白く可哀そうに光っているのにむかって口づけしても
ますます白が青ざめるばかりで
今日がおわ ....
夜が明けたら
指をむすぼう

悪気のない月明りが
影をつくっている

永遠 という言葉を知っている
それでじゅうぶん
一生 口にすることはなくても
たとえ 夜が明けなくても
 ....
世界は
そうではないもの で
埋めつくされて

わたしは 青緑を食んでいた
ひとびとがそれぞれに
大切なものを忘れゆくように
あなたがほんとうに
あなたなら
IDを脱いで
そよそよするビルを三角にして
意味とかを味にして
眠い椅子たちをこうばしく並べて
もしあなたがほんとうにあなたなら
これ以上ないくら ....
どれほどうら返しても
あなたはみつからない
すみずみまでひらいても

どうしてかいつもこんなふうに
ひとりでみることになる
足もきれいにしてきたのに
道路はいつも
ほかのだれかを運 ....
そしてそれが来て、
わたしたちの手は離れる

(あかるいもの
 くらいもの
 つめたいもの
 あついもの
 動いているもの、
 動いていないもの)

あなたの耳たぶに
甘い水 ....
ちかちか鳴る信号を無視して走っていた
向こう岸で恋人たちがまっている
わたしの心臓を四等分するために

海は干上がって
愛ばかりがのこった
だからこんなに走っても
満たされること ....
もうすっかり書くべきこともなくなって、秋です。日向には夏の死骸みたいな光、日陰にははらはらした予感。眠たい身体を持ち上げると、それでもまだ風が通ります。
やっぱりわたしには時間というものがよくわ ....
ねむたい気持は目の奥らへんからやってきて、あたまをぼんやり後ろの方にひっぱるので、わたしはそのときちょっと上向きの、おかしな人でしょう。指や手もとに注目すると、近いのと遠いのがいっぺんにあるのです .... ねじれた女は
男のかたちをして
朝の歩道に
放りだされている

季節はたしかにうつろいだが
ことばはひとつも増えず
減らずに
雪融けるような角度のなか
ゆっくりと腐りはじめる
 ....
天使の絵をくれた
女の子は
七年たって
三度堕胎を経験している
嫌いな子の
上履きをなげすてたあの子は
ふたり目の女の子を妊娠している
あかい眼鏡をかけていたあの子とか
いつも違う ....
きみはあまり泣かなくなった
うたもうたわなくなった
ほほえむ時間が増えた
笑いごえをあげなくなった
花はすべてドライ・フラワーにしてしまった
部屋からひとつずつ色が消え
そしてすこしず ....
しわをつけたたんぱく質
に管をとおして、
ビデオを返しにいくあいだに
血をすわせる
わたしでもなく、
だれかでもない、
しょざいない命にたちむかう
そんなことができるかどうか

 ....
仕事場のちかくにはおおきなイベント・ホールがあるので、駅からつづく大通り(コンクリートで整備された、大きな歩道橋、その上にばかばかしく華やかにちらばる噴水とか、見せびらかすような緑)は  あ  という .... すぐにあしたになってしまう今日 は黒くて、生えている星はぬるい。あしたになったら手に入らない、それとか、夜のたべものとか。背中にはえていたのは、よろよろした壁 ・ だれもいないから、黒を白にしても .... 嘘つきとぬるい背中と一人きり


午前四時薄紅をひく窓ガラス


竜の背にしがみついては振り切られ


歪んでる海を飲んでる通り雨


ドーナツの穴を集めるアスファルト
 ....
コンビニエンスストアで売っている、ひと口でたべられるゼリーは、ふたのビニールを開けるときにぜったいになかの汁がとびでてくるので、指がべとべとになってしまう。だから夫はそれを食べない。
夫のいない ....
みつめあって
死んで
いきかえって
みつめる
なんども
おんなじに
すりへって

どうしようもなく
さびしかった
それだけで
ひとを
好くことができた

あんなに
穴 ....
朝には朝が来て
朝日が昇るだろう
ミルクは泡立てられ
電車は回転する
三角の頂点で
わたしを放り出して
もう食べられないよ、
一生許さない
ドーナツを買いに行く
嘘のない道をあるくと
からだが黒ずんでたまらない
空き缶を選別する女たちに二千円をくれてやる

銀色を左へ曲がると
すぐに目的地だ
つたの洋館も
給水塔も
とうになくなってしまった ....
ママを食べてそだちました
すこしずつ千切ってさ

さいごのひとかけらになった日
ママは,さびしいと言って
おんなじ気持ちだったから
いそいで飲み込んであげた

わたしも,(ママ,) ....
さようならを告げると
あなたは残念そうに空を畳んで
分かったよ、
と言う

分かったよ、
また明日


あれからずっと
明日が来ない
泣きながら歩いた日はひもじくて、自分の体から精子の匂いがした。
似合わない色を着て、どうしてこんなところまで来てしまったんだろうって思っていた。
花は季節によっていろいろ違う。椿とかたんぽぽと ....
ゴースト(無月野青馬)さんのはるなさんおすすめリスト(111)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
物語B- はるな自由詩413-11-23
夜の金具- はるな自由詩713-11-20
二酸化炭素- はるな自由詩1113-11-17
静かにしている- はるな散文(批評 ...313-11-14
窓、窓ガラス、そして外- はるな自由詩213-11-11
i- はるな自由詩713-11-6
くちぶえ- はるな自由詩813-11-6
発光- はるな自由詩213-11-5
- はるな自由詩413-10-29
青緑- はるな自由詩413-10-18
ID- はるな自由詩813-10-13
- はるな自由詩313-10-8
何もかものかわりに- はるな自由詩313-9-25
反射- はるな自由詩513-9-16
眠たいからだ- はるな散文(批評 ...213-9-14
91- はるな散文(批評 ...313-9-1
ゆっくりと腐りはじめる- はるな自由詩513-8-31
日曜日の雨- はるな自由詩713-8-25
ドライフラワー- はるな自由詩413-8-17
血をすわせる- はるな自由詩413-8-9
イベント・ホールのこと- はるな散文(批評 ...113-8-4
さよならのこと- はるな自由詩413-7-11
あじさいの枯れてるところで逢引- はるな川柳213-7-11
りんごのこと- はるな散文(批評 ...1013-7-2
いなくなった- はるな自由詩313-6-22
ドーナツその2- はるな自由詩413-6-15
道路- はるな自由詩613-6-15
ふくろう- はるな自由詩213-6-15
さようならを告げる- はるな自由詩213-6-13
油と身体- はるな散文(批評 ...213-6-13

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