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愛をください、と果てしない緑の淵からため息がこぼれた。誰に聞かせるつもりもなく、ただ朝露の澄んだ輝きの中に溶けて砕けていけばよかった。崩れた愛でも壊れた愛でも屈折した愛でも、それが愛である限りここに定 ....  詩の中に生活を持ち込むことを嫌う人は一定数いる。さらに、詩によって人生に直接触れることを嫌う人もまた一定数いる。詩は此岸の出来事を扱うものではなく、彼岸へと飛翔していくものだ、そう考える人は ....            ――D.K.へ

あなたは穏やかな光の輪を、都市の人々の瞳の裏側から見つけ出しては、一つ一つ連ねて一冊の純粋な本を作った。始まりも終わりもない劇のクライマックスで、錯綜し ....
こんな暑さを生み出すなんて
太陽はとんでもない偽物だ
それだけではなく
空も海もすべて偽物で
言うまでもなく
実は私も偽者である
では本物は一体どこに?
偽者の私の本物はどこ ....
体だけではない
体をめぐる血液も
体を覆う衣服も
方向から自由になったのだ
方向でないもの
例えば香りや手触りのようなもの
途端に私は対象になり
香りを発し誰かに触れられるも ....
つい涙が出てしまうのは、思い出が夕立のように降って来たとき。思い出が大地を少しずつ削り、大地の裂け目からやがて泉を探り当ててしまうとき。孤独の泉、傷心の泉、夕立は私ですら忘れていたような泉をつ .... 真っ赤な花が白い雪でくすんでいる
赤が赤になる前に白がそれを遮り
白が白になる前に赤がそれを遮った
花と雪とが小さな組合を作り
花が風景を焼き過ぎるのを雪が消火し
雪が風景と睦み ....
       ――K.A.へ


僕たちが出会ったのは、僕たちが調和して更に大きな調和に至るための、必然的な雨降りのようなものだった。眼差しと言葉と語り合いと、全て君は瞬間的で、全て君は ....
夜の街路で、街灯もない道を私はさまよっていた。正義はいつでも鋼鉄でできている。それは鋼鉄の壁かもしれないし、鋼鉄の刃かもしれない。私は自らの著作の記述で異教徒を激怒させ、異教徒に追われてい .... あなたの手に私の手を重ねると
それは既にあなたの手ではない
あなたは電燈のように存在の消燈を繰り返し
さらには鳥たちのように存在の集散を繰り返す
私はあなたを燈らせあなたを集めよう ....
 中村梨々の詩集『たくさんの窓から手を振る』(ふらんす堂)を読んでいると、奇妙な点に気付く。この詩集には「青春」が存在しないのではないか、と。子どもと大人の視点では書かれているが、若者の視点が不思議と .... ふるさとはこの国の中心でも周縁でもなかった。中心や周縁という区分、正常や異常という区分、そういうものが消滅する場所がふるさとであった。そこには無数の人々によってじかに生きられた地図が、それ .... 私の絶望は何かの病巣のようであって、その病巣はたえず再生産しながら増え続けている。確かに若い頃、万策に窮して絶望の源の方まで落ちていったことはたびたびあった。だが私は結局絶望を燃やし切るこ ....  詩を書く人たちは様々だ。だが、一部の詩人たちは何を書いても金太郎飴であり、そこに詩人独自の書法は見えこそすれ、詩の世界の深まりや人間洞察の深まり、思想の強度が見いだせないことがよくある。確かにそうい .... 人々が果実のように生っている
呼ぶ声が開く匂いの輝きに
寄り添うように開きだす応える声
こんなにも血が発酵した生き者同士
互いの表皮には場違いな分電盤が
静かに接続されている
 ....
人の波を組織していく厳密な力学
かつて敵として対峙していた大きな炎
俺はあんたの姿を瞳の中に閉じ込めることができず
あんたは人との軋轢や制度との不適合を介して
俺の冴え渡った体に凍 ....
 峯澤典子の詩集『ひかりの途上で』(七月堂)を読んだ人は、大方がその美しさに感嘆したことだろう。だが、ここで言う「美しさ」とはいったいどのようなところから発生しているのだろうか。

闇にまぎれかか ....
初めて現代詩を読んだのは、柏駅のビルにある書店で現代詩手帖を立ち読みしたときだった。当時私は19歳で、漠然と沢山の出会いを受け身で待っている孤独な少年だった。だが現代詩は私のそのような欠落を埋 .... 獣が聖者の顔つきで説法を垂れていた同じ日に 聖者は次々と法を破った 聖人も悪人もどちらも倫理の極限に達した人 極限において正邪は区別がなくなる 遵守すべき法はなく 法は自ら作り出すものとなる 社会の被 ....  批評というものが、何か新しいものを創造する表現であるとするならば、私の書くものは批評ではない。私の書くものは、作品と理論とがかみ合ったところで互いがどのように相互融解するかであって、そこに登場す .... 1.現代詩をめぐる状況

 現代詩の読者は減っている。団塊の世代のある詩人と話したとき、「私の若い頃は詩が若者たちの普通の話題に上がってきたが、いまはそんなことはないだろう。」と話していた。現代詩 ....
ミツバチの午後 井坂洋子

恋人に会いにいくときは
緑樹の濃い反射がほしい
幾重にも層をつくる
日射しのプールの水面下
顔をあげると
ミツバチの唸りが耳もとをかすめる

肉体(からだ ....
 血が流れた、青髭の家で、――屠殺場で、――円形競技場で。(「大洪水のあと」ランボー、宇佐美斉訳、『イリュミナシオン』所収)

 文章には流れがあります。それは、時系列に沿ったストーリーの流れであ ....
青いてのひらから立ち昇った 赤い煙と黄色い灰 今日一日は紫の雨が降る予報 誰かを呼ぶ声がする それだけが存在する人のいない社会で 色は色同士響きあい 次々と異なる色を生んでゆく 黄金の岩肌が銀色の葉を ....  詩は言語を用いる作品であるが、その伝達においては概念的コミュニケーションよりはイメージコミュニケーションの果たす役割が大きい。もちろん、論理的に明快である詩もあるし、感情が明快に伝わってくる .... 分析された青空に立つ波としての分割された雲の層
植物たちのひしめき合いから放たれてくる芳醇な気体
俺たち岩だらけの登山道を隊列を作って歩き
すべての壁は初めから存在しなかった
標高と共 ....
過去は単なる時間ではなくて 様々な色彩と匂いによって彩られた巨大なオブジェです 大事な過去捨てたい過去 どんな過去とも付き合っていかねばならず まるで世間の人間模様のようです ひとつだけ棘だらけの過去 .... この声は誰にも届かないと この手は誰にも触れないと 極力理解することで自分を守ろうとした だが声は増幅して多数の人々へと届き 手にはいつの間にか無数の糸が絡まり 僕はそれを十分感じていたが それでもこ .... 散歩者たちが、特に詮索するのでもなく、歩行の余興のように視界の端にとらえておく果樹園。それは、少し中に入ればわかるが、空間を切り開き、うねるようにして迷宮を作り出している、風の身体によって隅々まで踏み .... 私は実家の南にある野菜畑で産まれた。私は幾重にも重なった肉の皮の中で、羊水に浸されながら、地下にへその緒を差し込んで、水分や養分を吸い上げて少しずつ成長した。その肉塊が十分熟したとき、肉の皮は一枚、ま ....
ゴースト(無月野青馬)さんの葉leafさんおすすめリスト(44)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
- 葉leaf自由詩116-2-13
社会の中に生きる者として詩を書く- 葉leaf散文(批評 ...515-10-12
報告- 葉leaf自由詩215-7-24
夏日- 葉leaf自由詩415-7-21
休養- 葉leaf自由詩415-7-6
- 葉leaf自由詩315-2-20
花と雪- 葉leaf自由詩4+15-2-5
未愛- 葉leaf自由詩115-1-28
- 葉leaf自由詩515-1-24
隔たる人- 葉leaf自由詩315-1-11
中村梨々詩集『たくさんの窓から手を振る』について- 葉leaf散文(批評 ...215-1-3
異邦人- 葉leaf自由詩314-11-22
燃焼- 葉leaf自由詩414-6-29
詩の文脈化- 葉leaf散文(批評 ...814-4-5
分電盤- 葉leaf自由詩814-4-5
再会- 葉leaf自由詩514-3-24
峯澤典子詩集『ひかりの途上で』について- 葉leaf散文(批評 ...3*14-3-19
- 葉leaf自由詩514-3-10
twitter- 葉leaf自由詩214-2-26
私の批評- 葉leaf散文(批評 ...3+14-2-4
詩を救うための音楽——榎本櫻湖『増殖する眼球にまたがって』- 葉leaf散文(批評 ...7+13-12-21
詩の構造について_詩と向き合う- 葉leaf散文(批評 ...813-11-26
列挙する能力_詩と向き合う- 葉leaf散文(批評 ...613-11-26
twitter- 葉leaf自由詩213-11-2
たなかあきみつ詩集『イナシュヴェ』について- 葉leaf散文(批評 ...713-10-26
- 葉leaf自由詩513-10-15
twitter- 葉leaf自由詩313-10-1
twitter- 葉leaf自由詩513-6-17
果樹園- 葉leaf自由詩513-5-24
- 葉leaf自由詩713-5-24

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