ちょこっとのきっかけで
けんかになった
ぼくは
ありったけのわるぐちをいった
ばか
おたんこなす
よわむし
げじげじ
ぷいっとそっぽをむいて
いえにかえった
ひとり ....
改札口にて
お待ち申し上げております
行き先を
詮索したりはいたしません
どうぞ
ご安心を
あなたがここを
通過してゆく事実のみ
確かめさせて頂きたいのです ....
僕のお母さんからは ロケットが出るんだ
小さい頃 そう歌ってた記憶がよみがえって来たんだ
作詞も 作曲も 全部僕で
ずっとずっと、歌ってた気がする
僕のお母さんからは ロケットが出 ....
三匹のすもも
好かれて切ないすねすもも。
好けば嬉しやつややかすもも。
好きでうるおうおぼこのすもも。
それ、いちにのさん
恋で潰れた割れすももおっう
恋であ ....
タクシー未満の部屋を
間借りすると
運転手がいません
タクシー未満の部屋なので
運転手未満の僕がいます
それから線路のように
どこまでも間延びした
顔の恋人
そのために僕は ....
秋の色や形に
よく似た人と走る
最初にゴールした僕がふり返ると
その人は手を振って笑っている
もう一度ふり返ると
跡形も無い
一等の賞品に
砕け散ったコップをもらった
....
秋の夕暮れに
夕日がふたつ
赤く熟した
太陽と
柿の実と
風に揺られて
見分けがついた
少しだけ、冷たい風が吹いてきたのは
とても遠い場所からだった
人はいなくなる、ということが出来るらしい
世界はいつも通りに明るくて
僕らは同じように電車に乗り込む
乗り継ぎ駅で世界が追い ....
悲しいと言って
君が釣り糸に噛み付くから
僕はまた一つ疑似餌をつける
ショップに並べられた僕らの履歴書は
いつも濡れていて
釣り上げてしまったものを未来と呼んでも
誰も咎めはし ....
わたしは みにくい獣だ
鋭利な刃物を知っている
(わたしの爪はいつも)
鋭利な言葉を知っている
(やわらかな皮膚だけを)
鋭利な視線を知っている
(傷つける)
みよう ....
呼んでる
わたしは はんぶんだけの さいぼうだけれど
くらくて とくんとうごく かべのへや
まってる
淋しいと 引っ込むみたい
雨が浸みると 歩くのいやいやって するみたい
満ち潮
....
――静かな風が吹き始めます。
感情は涙のように滴り、
バラの花びらが、
ぼくらをどこか知らない遠くへと招く。
ようやくちいさな春がやってきた。
ようやくちいさな春はやってきて ....
信じられるか
信じられないか
からだで
はかってみる
そうやって
信じられないものを
よりわけて
あつめて
袋につめこんで
燃やす
そしたら
また
もういっかい
....
彼女という人は
詩人とかそういう類の人みたいで
ときどき僕を近所のファミレスに呼び出しては
伏目勝ちにちょっと小難しいことをしゃべり
左手に持ったフォークでグリーンサラダにやつあたりし ....
嘘なんてポッキーに塗るチョコ味のクランチくらい美味しく食べる
飢えすぎて死にそうになり貯めといた嘘を食べたらその場で死んだ
笑ってよ、嘘だと分かる二秒前、嘘だと分かることに笑っ ....
H
\
ながれるべきものたち ながれ
そよぐべきものたち そよぎ
ひかるべきものたち ひかり
うたうべきものたち うたい
H
\
....
なき母に 「帰りが遅い」と こぼす父
飛び込み台の上に立つ女
もちろん服は着ている
回送の飛行船が夕方のまぶたをなぞれば
陽は瞑ってシジミ売り屋が喘ぐ
学生は皆帰ってしまって
校庭には
スクールバンド部のトランペットと ....
ねぇ見て 不思議よね
こんなにちっちゃいのに
ちゃんと爪もあるのよ と
満ち足りた母親の顔で彼女は
小さなこぶしをを開いて見せる
アキアカネが飛び交う夕暮れに
生まれたから 茜
はい ....
パーティーは散々だった
おやすみ、のあいさつの方角へと
だいだい色のシロップが
ゆっくりと流れて
しだいに
粘性を増してゆく、
夜の
水の底で ゆうべ、まき散らされて
わたし ....
どこからかまた盗賊が来て
盗んでいった
かまぼこ板だけなら良かった
かまぼこまで盗まれたら
僕ら家族はかまぼこを食べられない
子供たちは泥棒さんが来た、と大はしゃぎし
とりわけ下の子は ....
モノを置かないでください
と張り紙のあるところに
モノを置いた
そんな些細なことがきっかけで
そんな些細なことの積み重ねだったのだろう
「いつもの」
そう修飾された朝は
あっ ....
つまり詩というものが
人類を語るためのものならば
骨髄の中に
血液の中に
どさくさに紛れて
流れているお猿さんを
見つけるためのものならば
女は詩を作り得ない
女は女である ....
カルピス:
本を読み本を読み怒る窓辺の真夏かな
かくすためだけの
キャミソールに飽きて
このごろは いつも
はだかで過ごしている
夏はまだ
わたしの腰の高さで停滞している
午後4時をすぎると
夕凪に 夏がとけてゆく
....
心臓を 下さい
何処かに置き忘れたのです
シナプスを飛ばして 過去の駅
遺失物預かりの四角い顔は
どうして揺れることがないのでしょう
同情して下さい なんて
云えないのだけれど
....
さんざめき、少しずつきえてゆくあなたの目に映るとうめいなちずをてのひらでよむ。ほほにながれるなまえをさがすように、丁寧なしぐさで紐を解く。なまぬるい、あめ、がらすにぶつかるたび、視界をぬらしてゆく。な ....
水瓶は水を
湛えたまま夜空を
平然と飲んでいる。
少年は身を
踊らせて蛇口を
ひねり自らの水瓶座を
満たそうと考える。
蛇口は夜を
錆びさせた年月を
経て少年を
飲んだ鉄の ....
秋の空 深呼吸にも 味がある
あしもとから吸い上げたあしたの記憶が
葉脈をつたって
四肢に達し
やがて、蒸発してゆく
芽生えを待つからだに
クロスする
光合成の日々
涸れているのは喉なんかじゃなく
わたしの ....
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