がりりと土壁を引っかいた
鎌の刃先の
あの放物線が消せない
おまえの山を見たい
祖父は
赤土をこねて
小さな山をつくった
夏へと秋へと
ゆらゆらと山をのぼる
黄蝶のよ ....
カーテンを閉ざしていても
朝の光が私を射しつらぬく
身体にまとわりつく夢の片々と
汗くさいパジャマを脱ぎ捨てよう
熱い味噌汁 炊き立てのご飯
納豆にはネギをたっぷりと
毎朝 ....
桜の花びらが痛い
速度で
桜吹雪のなかを私は走った
青い湖を抜け
アスファルトの細道を
オフロードバイク
のアクセル吹かし
(鱶ではないが
....
私たちの胎のいたみ(をいたみ
喪が藻を(藻が喪を(語る白眉から
踊る女が生じ離れてゆく*
海亀の(産卵(散乱
胎のいたみ(をいたみ
はげしく狂った(女のマスカラ
眉も(引かずに(波 ....
泣いているこどもは
湯気が立っていて
かわいい匂いがする
抱き締めて
頭に鼻をくっつけて
くんくん嗅ぐよ
産まれたてのときは
わたしの内臓の匂いがした
今も少し
する
....
きゃらめる 5
よる
1
なにもみえない
から
こわいんじゃない
なにもみえる
はずがない
から
こわいんだ
....
おぎゃあ
一字一句間違わないように強要された私のからだに
それとなく触れるだけであなたは最前列から並べら
れた裸体ばかり順番に、顔だけは別にするようです
....
私は一個の惑星だ
光と影の半球として
世界は存在する全ての事実で構成される
私は闇に浮かぶ
激しく疾走しながら静寂に
世界は存在しない全ての事象に包まれている
私は海底に埋もれた貝 ....
太陽は権力の匂いがする
スピキュール、フレア、黒点、がひろがる
すべすべした君の肌から黒いレモンが香る。
君は喪服でフランス人形みたいに愛くるしくて
黒いレモンのペンダントをしていた
泣 ....
ゼンマイが伸びきったまま
うんともすんとも言わなくなったので
しばらく休みます
ぽっぽぅ
ばらしてみたら
戻らなくなってしまいました
とりあえず
歯車の掃除でもしながら
....
(ここをのりづけ)
嫌悪 殺意 嫉妬 偽善 妄想 懐疑
不幸 迫害 貧困 孤独 疎外 恐慌
ーーーーたにおりーーーー
廃棄場所は各自治体の指示に従って下さい。
※本品はリ ....
俺がまだ子供の頃
あんたの息子達と仲がよくて
近所の子供達とも一緒になって
よく遊んだものさ
ある日、俺はあんたの家で
いつもの連中と一緒に
お化け屋敷を作ったんだ
窓をふさいで、部屋を ....
--フォン・ギエルケ
不協和音
von-Gierke病
深夜、
僕は、
娘の病名を、韻律のように
繰り返し繰り返し繰り返す
--von-Gierke
フォン・ギエルケ
....
眠ることは死に近い、君よ
僕の腕の中、泣き腫らした目をして、しゃくりあげる赤子
蒸し暑い夜のありふれた、それでいて、不吉なくらい真摯で痛々しい、寝ぐずり
君は運命にあらがうように手足を突っ張り地 ....
コップの縁にとまったガラス細工の鳥が
思い出したように身体を傾けて
水を飲む様を演じる
赤い液体が体内を巡る
海のようだ
わたしの中に溜まった水が
満ち引きをくり返しながら
すこ ....