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君はどこに行っていたのと
神話が問いかける
ここまで
ずいぶんと時間をかけて
きたのに
ほんのちょっとの不在で
だいなしにしたね、と
....
円形のものだけを集めるの
手当たり次第
だって終わりがないでしょ
新しいものだって
古いものだって
すべて円形
それで充分
そうして輪っかの上
いるだけで
何も必要ないでしょ
....
{引用=領域を徐々に侵してゆく不均一な煙のような
その渇きは}
意識の最も深い階層に砂の粒はあふれ
ああかつてのそこはなんであったか
今を放浪する怪物の名は私の三分の一足らず
どうして気 ....
あなたの部屋にどういうわけか
一本の木が生えてくるでしょう
勘違いしてはいけません
それを自分の一部なのだと
脈を通わせてはいけません
それがたとえ同じ血をひくものだとしても
それ ....
今日の夕食は、牛のステーキだった
レアにしろ、ミディアムにしろ
それはもう食べ物にしか見えなかった
それはほんの少し、葡萄畑の匂いがした
僕達は一瞬だけ、目一杯の緑
風を感じてしまったのだ
....
{引用=もし、もしいつか自分が子供を持つことになるのであれば
まずはじめに、土を踏ませてやりたい}
親鳥のもとを離れ旋回する羽は
ふわりふわりと人の波に襲われ
海は、海はまだかと
空は、 ....
椅子ひとつ文句をつける君の横で 黙って揺れる二足の私
かげろうの人、その人は
ある日には草原で笛を吹く羊飼いだった
ある日には西の国の白髭の王様だった
かげろうの人、その人は
ある日には一日じゅう涙を流す未亡人だった
ある日には一日じゅう戯 ....
最後のひと粒まで絞り出したと思っていた
種袋の中から再び種はとめどなく溢れて
私の足下を濡らします
蔓はのびて再び身体はとらわれ
私は動脈をあずけ蕾をひらくことに専念します
この柔らかい ....
綺麗を飾ればコサージュのような言葉
オーガンジーにシフォン、ローズの多重層
華やかなだけならば、脈がなくても事足りる
赤褐色の壁の向こうへハンマーを打ちつけて
さあ腹の底から泣いてみなさい ....
一列の線を生身の地平線がひく
彼らの背後に太陽は沈みゆく
弧を描かぬ兵士達の垂直な銃剣
眠ったままの銃口は朱雲をうつす
悲しみにむかうあなた達よ
惚けてしまった私は胸の渦巻きを知らない
柱 ....
伝書鳩がやってきて、クルックと一言
窓辺でギターを弾かないでください
そこから落ちるなんてもってのほか
宙に浮く、それは林檎の役目でしょう
風に揺られて雨に打たれて
ある時ぽとりと落ちる ....
からん、と通る 落ちる
瓶の口の正円 艶やかな曲線の裸体を抜けて
からん、と{ルビ生=な}る
手足の生えた魂のような両手をひろげて
隙間なく横たわる 底
から見える瓶の口の正円
の正体は ....
{引用=決して君には映らないのに
何故君は私に映るのだろう}
林檎の皮を剥こうとも君ほどの素顔はない
時の奥にみる廃虚のように
冬の底に横たわるマグマのように
不謹慎ながら、なんて君の炎 ....
星の数だけ浮かんだそれぞれ孤独なロダンと
それぞれ頭の中で試されるモダニズム
泣きべそをかいた子供が唯一カギを持つこの城で
誰も知らない自分だけの
誰も知らない自分だけの
宇宙へと旅立ちます ....
路面電車から降りた羊飼いのみる夢
葡萄酒はとっくに尽きて月が出てる
錬金術師は金色のイングリッシュハーバーを
一杯の砂漠の水と共に ほんの少しの干し葡萄を
小さな箱で あい色の ....
人知れず錆びていく駅の鉄の柱達
開線当初の嬉々とした輝きは
今や夕暮れに溶け込んであまりにも静か
僕らを囲むすべてが知られることのない歴史を持ち寄って
今日を構築してる
遡ればほとんどの ....
サングリア
サングリア
サングリア
三対一の割合で男の空気は無いに等しい
隔てたテーブルがまるで川のようだ
反対岸の草陰から覗いているような
そんな気分になる
女達は曝け ....
私がまだシロツメクサの繁る果てしない部屋の中で
喉は泉のように潤い
すべてが書かれている事すら知らなかった頃
とても小さな幸運を探す可能性を秘めていた私の朝
名誉でも報酬でもない景色が窓枠の内 ....
{引用=しにがみ達は安堵の笑みをもって軽やかに表面を撫でてゆく
次第に露になってゆくその裸体がすべて明らかになった時
私達は知ることをやめるだろう}
無知に臆病なライオン達が双眼鏡をもって立 ....
僕が林檎をかじっているこの世界は
銀色の象の胃袋の中にあって
銀色の象が星を喰う世界は
英語を話す蛇の海馬のあたりに浮かんでる
英語を話す蛇が
日本語を解読しようとする世界は
すべてが ....
線路の上の林檎のような
男と女の営み
線路の上の林檎のような
私の心臓
絶頂はそろそろかたかたと
思わせぶりにやってくる
線路が震えるだろう
それは林檎に向けて必ずやってくる ....
星を喰う獅子が落ち
彼方燃える夕刻に
寄る辺ない足取りは
今にも崩れそうな橋を想定した
白線を辿る
鼻歌が頭蓋に響いては
鞄を持って耳から逃げてゆく
使い物にならない両手で耳を塞ぐと ....
{引用=死して尚も取引される彼
死を回避しながらも墓石に値をつける詐欺師の群れ
安らかな終焉にまだ続きがあったなら
それでも彼は穏やかに旅立っただろうか}
シャーマン達が今日も街中で炎を焚 ....
コン コン と叩けば
コン コン と骨の音がする
君は何処? と問えば
私は此処 と返ってくる
部屋はまるで君の肺のように
さりげなく わざとらしく
君の空気に満ちている ....
ひどく疲れた時ほど
眠るのが怖い
このまま孤独の名前を
受け継いでしまうんじゃないか、と
そのまま全てが書きかけのまま
止まってしまうようで
帰りに知らない店に足を向けて
名前もわか ....
{引用=まだ、私の夢に虚無は訪れていない}
スロウで駆けてくる
馬の筋肉の躍動が
私の夢を横切る
霧のように潤ったこの部屋で
枯れたダリアが
二、三枚の葉を落とす
紙風船のよ ....
{引用=私達はそれぞれの製造番号を握り
はじかれる弾のように一列に並び
火力と素材を試されるべく
黒塗りの砲台へと歩一歩
天国と地獄は人間そのもの
私達は高層の屋上から
空が燃えるのを眺め ....
数千億の水の龍が
大地に嫁ぐ音で
安らかに{ルビ微睡=まどろ}む
頭蓋の裏窓から眺めるよ
天よりただその為に落ちる
水の龍達よ
すまない
君らを救えないが
私は救われた
頭蓋の裏 ....
で、ひとつ終わりを迎えたところでまだまだ私は生きています。
終わりをひとつ終えたって、そんなものですね。
こんどこそ本当の終わりだ、って時に
気づいてみたらまた新しい自分だったりして ....
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