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泉屋のクッキー缶の中に
アルバムに入れていない古い写真が一枚
モノクロームの色あせた写真には
小さな自分と親父が写っている。
庭の小さな葡萄棚の下
ふざけているのか本気なのか
親父に髪 ....
季節外れの神社に
十歳の僕と親父が歩いてゆく
親父は何もしゃべらない
僕も黙ってついて行く
参道の階段には銀杏の葉
黄色い黄色い石の道
段々を上って一息入れる
親父の肺は一つしかない。
....
大空に向かって
だが曇天で
少しだけの希望を
轟音と煙と
ブースターの炎とともに
一瞬 見せて
消えていった
そのあとも
地上での歓声
喜びの涙
肩を抱き合う成功者たち
....
山腹から漂い降りる朝靄に
竹林に朝靄が
風に漂う朝靄の中
溌剌とし
凜とした景色を観る
竹林に偲べば
風に漂う朝靄の中
遠く霞み
曖昧な昨日を見る
竹林に及べば
風に漂 ....
生まれた家の前
坂の途中に
おそろしく大きな石の門が
その中に白い木造洋館
年老いた医者のいる医院で
診察室の窓枠は
白塗り木の窓枠
窓の外には枇杷の木が…
枇杷の葉が風に揺れて ....
花の後から雨が降る。
雨の中から花が咲く。
その後煙る雨が降る。
花に嵐の喩えでないが
さよならだけで死ぬものか。
さよならの後雨が降る。
いつまでたっても雨が降る。
梅 ....
たくさんの後悔の間から
こぼれ落ちてくる綿埃のような溜息は
やはり全部後悔だ。
黙っていると
まわりの空気が
鈍い鉛色の重みをもって
締め付けてくる。
その中で蠢いている自分は
....
やっと唄えるようになった16人が
唄った歌は
たくさんの人に向かって
中空を漂っては消え
漂っては消えてしまうので
なかなかたくさんの人たちには届かず、
僕たちはもう一度中空に向かって唄っ ....
独りぽっちの君は
屋根の上に座り
じっと膝小僧を抱えて
星空を眺めていた。
独りぽっちの君は
部屋の隅に座り
じっと膝小僧を抱えて
畳の目を眺めていた。
独りぽっちの君 ....
流れ落ちる水は
千年前の水と変わることはなく
ただ重力の思う通り
落差のあるがままに
変わらぬ風景を作っている
そんなあり得ない話を信ずる訳も無く
流れ落ちる水は
削り取った岩の ....
嘘つきたくて
小柄な爺の世迷い言
小僧よく聞けこの俺は
15の時には家出して
街から街への放浪暮らし
幾度も幾度も死にかけて
山の上から街を見て
谷の底から月を見て
たどり着いたが ....
1年ほど前から詩を書き始めた55歳の弁護士です。どうせなら芸術性のある詩が投稿されているようなところで批評された方がよいかなどと傲慢にも思い、あるサイトをのぞきました。そこに投稿されている詩もレスも ....
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