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不器量な手だから
なぞれない象徴があった
見届けられない背中だから
言葉に出来ない痣があった
哀しみは木偶人形の口笛
哀しくて哀しくて歌が漏れる
そうやって辿り着いた音階は
成層圏で ....
苔生した岩が目覚めの胸を押し潰す
浅瀬では精霊の呼び声がまだ響いているので
安らかに泉に潜り込む
カーテンの隙間から立ち昇る朝が角度を傾け
夢の泡を貫いてくる
惜しみながら深部を反転したのち ....
左耳が嗤ってる そんな時は
真鍮の針を心臓に突き刺して
鼓動の波で全身を海にする
皮膚という皮膚に群がる蟻が
感情の熱で蒸し焼きになるまで
ただ立ち尽くして真理の老木を{ルビ凝視=みつめ}て ....
微笑みを恐れて泣くなど愚かなこと
胸腔を吹きすさぶつむじ風は微熱をうばい
からころと鳴る胃が律動を求める
乾燥した真昼の道は
縄に括られた首を一心に手繰り
点々と続く血の跡を浮き上がらせ ....
あなたの眼差しを入り口にして抱かれる
薄青色の抱擁はとても温かい
奥へと進めば進むほど
現世は力強い鼓動の音に打ち消され
忘我の境地へと潜り込む
何も食べず、何も必要としなくていい
あ ....
混み合った雑踏を、お腹を庇いながらゆっくりと進む
おくるみに包まれた雛の存在に人々が気付いたら
群集は我先にと手を伸ばすだろう
雛は知を持たず、それでいて神秘に通じる鍵を持つので
その血は ....