雀始巣
すずめはじめてすくう


佐藤さんちの玄関の
パンジーの寄せ植えから
オハヨウを拾い上げて

鈴木さんちのベランダの
古い室外機の裏側から
サビシイを探し出して

 ....
 丘から見える遠い園生は純白に染まり、
 私の吐息と重なって淡く輝いている。
 手前に見えるロココ調の建築物はそれ自体が見事な絵画のように
 緑一色の額縁で装飾されている。

 丘の上に ....
苦しくてたまらない
ぼくにできることは
詩を書くことだけだ
ひやりとした現実
夢のまどろみのなかで
考察を繰り返すしかない

詩を殴り書きするしかない
こころにメスを入れる
存在の耐 ....
かなしみが河いっぱいにあふれて
よろこびも一緒にいる

まるで流し絵のように一緒にゆるやかに
色をなしてゆくもう痛みもない河畔に

ちょっと嘘つきでよゆうのない自分が居て
漢字変換ではも ....
卒業式の日に
飼っていたホオジロにリボンをつけて
冷たい空に放してやった
冬の鳥だから
冬の山へ帰してやったよ
せんせいの声も
ピアニカのドミソも
みんな憶えていたいけど
ばいばい
 ....
双子用バギーカー来る花吹雪 書かねばならない事
を 探して
言葉の海を泳いでいました
今の私に書ける事 
を 尋ねて
言葉の風に吹かれていました

波はさざめいて
私を弄び
風は追いつけない速さで
私を通過し ....
さいしょは辞書を食べるのがいいとおもったの
すべてがなにかということと
言葉の味と、紙のにおい

うそだよ、とか、そんなものないよ
とか
それか、
ほんとうにすべては正しいのだ とい ....
彼女はときどき
始まりの海を思い出して
自分の手足をしげしげと見つめる

かつてはヒレだった器官を
もう水かきもない指先を
指輪をはめた指を

海の底にやすんでいた
はるかな祖先があ ....
時間、を米や茶に変えて
そして口から胎内へ、を
繰り返すことで
老いるを体現している


思考の配管、が
複雑な地図を要するに至ることを
経験と呼ぶなら
あまりにも不合理 ....
窮屈に気がついて私は朦朧としていた

近くから心地よいざわめきがきこえ

かすかに薫る暖かさが全身に広がっていく

春がおでましかと重たい瞼をひらいた
山口くんが木になった
あれは小学生の頃だった
木にも命があると
彼は言った

山口くんの木は
どんどん空に伸びて
校庭の
イチョウの木よりも高くなった
あれから彼に会っていない
 ....
桃始笑
ももはじめてさく


コートを脱いだら
沈黙していた鎖骨が
独り語りを始める

ポケットから出た
あてどない指先が
止まり木を探している

音符を思い出した
爪先 ....
土手の手つかずの雪が老いて
カラスがなにやら啄んでいる

穏やかな冷気に衣服の戸惑い

惜しめば儚く望めば遠く声は
なにも残さないただ揺らした

言葉が追う死者を追うように

セー ....
おなかの小魚はときどき小ちゃな声で鳴くたいせつな奴だ

電子ジャーの独り言を翻訳しながら夜が明ける

痛みっていつも友達だったなこれからもよろしくな

僕の休日は病院に奪われてディスカウン ....
           160109

カードをかざしてください
ドアは開いて中に入れます
マイナンバーカードをかざすのだ
持参しなかった方は
残念ながら、お入りになれませんので
至急カー ....
くぐるのか
こえるのか
あたりまえに
たのしげに
なわの向こうへ
消えてしまった

きっと時代や風にも乗れるのでしょう
できない者にはいつまでも不思議

なわは蛇のようにうねり
 ....
過去も未来も無く
ただ美しいと思った

さよならの
指先を咬む

ひずみ
野良が挨拶しているよ

疲れた毛を励まして
露出した皮膚を隠し
道の真ん中を
人々の営みの中を
堂々と
野生の威厳を振り撒き
声ひとつたてず
冷たい日差しを歩いているよ

こそこ ....
とびっきりの笑顔ひとつください
おいくらでしょうか?

こころの痛みを鎮めるお薬ひとつください
どこかにありますか?

曇りのない青空のもと
もうお気に入りの傘も要らないと
言ってくれ ....
            151130
バブル景気の頃はと
中年の男が懐かしげに回顧する
逆輸入車なんて、国内では買えないバイクを
すぐ近くの国に輸出して、直ぐさま国内に戻して
外車として売り ....
もういいじゃん
バッグが空
よごれてきたけど
樽も空
ついさっき出荷されたのたちが
残していった空気をぜんぶ肺に詰めて
それで忘れないってことにできたらどんなに素敵だろう

なんど ....
小さな町は大きな街に憧れて 
いつも大きな街の姿をテレビで見ていた

小さな町は大きな街が大好きだったけど
大きな街に行くと自分がいかに 
小さな町であるか知ってしまうことを恐れて  ....
人の営みの狭間を縫って
悠久の経を信条とした河に
明かりの灯った小さな神輿が流れ
そのひとつひとつに
幼子が蹲っている
世界の何たるかを知らず
それでこそそべてを悟ったような面持ちで
も ....
正確には
キンタマ王子連続保険金誘拐強姦殺人人肉食死体遺棄脅迫事件です
頭のキンタマ王子は、彼の周辺人物が被害者になっていること
キンタマ王子に事件発生時のアリバイがないことなどから
名付けら ....
気怠い午後だ。

こんな凪いだ白昼夢に溺れそうな空気には
ジムノペディがよく似合うのだろう。


 神々の祭典だ
と、
教わったのだろうか。
 アンブローシアは、
不老不死の実 ....
天気予報を見ると、日本のどこかに雪のマークがついている。ツンとした空気の真ん中で、息を吐く。するとその音が思いのほか大きくて驚く。あったかい毛布を肩にかけ、音楽を聴く。ロックを。できるだけ明るいロック ....             151126
稚内から
26時中
わからないから
浮かない顔して
雪虫を眺めてた
あれは15歳の時だった
ナンバー87はと問われ
78ならば受信用5極真空管
 ....
魂の境を越えた交わりだった
わたしたちは一羽の大きな鳥になって
暁に輝く大河の遥か上空を
風を切り 大きく弧を描きながら
深く埋もれたまま錆びて膨れた散弾
思考に敷かれた玩具の電車の閉鎖回路 ....
肉体だけが失われた
魂だけになった人々のすむ世界は
遠くて
案外近い、のではないか

たとえば
風の吹いてくる方角に向かい立ち
乾いてゆく眼球の映す景色が
そのまばたきのたびに
一枚 ....
オイタルさんのおすすめリスト(600)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
雀始巣- nonya自由詩18*16-3-19
片想い- ヒヤシン ...自由詩11*16-3-19
まどろみのなかの詩- fujisawanori ...自由詩316-3-18
be_happy- 梅昆布茶自由詩1516-3-17
みんな空へ帰っていく- yo-yo自由詩10*16-3-17
双子用バギーカー来る花吹雪- 北大路京 ...俳句216-3-16
メモ- Lucy自由詩15*16-3-16
辞書- はるな自由詩416-3-13
指輪- ケルリ自由詩316-3-13
鉢植え、の彼女。- うわの空 ...自由詩216-3-12
多年草・春- hiro自由詩216-3-12
山口くんの木- yo-yo自由詩8*16-3-12
桃始笑- nonya自由詩17*16-3-10
春葬列- ただのみ ...自由詩19*16-3-9
とっても素敵な世界へ- 梅昆布茶短歌15*16-3-7
かざしことば- あおば自由詩11*16-1-9
なわとびあそび- ただのみ ...自由詩20*15-12-19
アウローラ- レモン自由詩17*15-12-15
野良のさよなら- 宣井龍人自由詩24*15-12-12
priceless- 梅昆布茶自由詩19*15-12-1
雲をこねて、波を泡だてる- あおば自由詩7*15-11-30
裏地のないスカート- はるな自由詩715-11-30
狼煙- 為平 澪自由詩11*15-11-30
シンクロニシティ- 由木名緒 ...自由詩1415-11-29
キンタマ王子、連続強姦殺人人肉食事件- 花形新次自由詩115-11-28
余韻- レモン自由詩16*15-11-27
20分の儀式- ユッカ自由詩1115-11-26
ニロクジチュウ、ウカナイ- あおば自由詩9*15-11-26
一瞬確かにわたしたちは- ただのみ ...自由詩16*15-11-25
薄暮の街で- そらの珊 ...自由詩19*15-11-25

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