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虫だ
まるで
飛散する影みたい
なにかが 高架橋から
手を差し伸べる
亡霊の
薄水色の
枯れた枝だ
ピントのずれた
ミズドリの
滞空する世界
その小さ ....
真っ暗に点す
山霧の薄い鞠
電信柱を包み
無味な綿実を育む
粛々と夜を描けるなら
草露に浮かぶ涙も
からかえるのに
緑の看板が ぽつぽつと
糸を引く
小さ ....
薄ぃ暗い夜道ぁぁ濃密な夜霧
畝をとろかす二つの雲が太郎
工場と樫の森と琥珀とこぶし
ちっちゃく気高く可愛らしい
七分ざくらで雪の香り 艸
夜道は月明かりの妖しい仲間
水の浮いた田んぼ ....
煙突の上に煙突が乗っかって
綺麗な空だ
黒い空だ
人を憎むな
人を憎むな
こぼれ落ちる星がひとつ
ファミレスの窓がふたつ
天井が壊れ
フィルムの中で踊っている
くるりくる ....
ふるい塗料で
世のなかに
送電線は雨や 風
紙粘土の鉄塔が
削り取られ
魚のように
崩れそうに
土草ミズ艸
田んぼ道の
泥濘む足元に
横たえられてら
目の前の ....
文字もなく
舌根支える力もない
8両編成があんな赤い帯だったか
そんな些細な疑問が突っつく
みんな枯れ
上空三百メートル
黄砂のまんなか
あるのは火の警告灯だけ
衝突す ....
あんなに強い西日なのに
青空がしろい
硝子の影が枯れ枝をくわえて
排ガスにはたかれた欠片が歩道に転がる
少しずつ少しずつ
細いものから音も色もころしてゆく
風は大きく旋回している
....
ほら
真っ黒な風が
掃き付け壁みたいな傷と
戯れてるぞ
雑木林の真上で渦巻くものは
ボイラーから沸き立つ煙だろ
煤塵の腹のしたで
桜色に染まる三日月も
呼吸器の音色も まっ白い ....
わたしは
冷たい座席に沈み込む帰途を選んだ
柩のような匂いが
鼻腔を撫でるもんだから
からからだ
青黒い窓を見つめると
スポーツカーをきいきい啄む
鴉の檻から搾り出た森が
....
その甘い息は
果実酒のギラギラだ
彼が毟りとって囲ったのが端緒
いま花壇に菌糸が潤む
涙も渇かぬ世界で白く荒い肌
舌で這いずる俺は犬のよう
餌ある限り死なないっての
米屋と倉庫の並びから
黒松のある石段までやってきた
市営バスの
卵色のソーダ水が
窓の中で揺らめいてる
並んだ頭はみんな後ろ向き
漬け物屋の側面広告にネコがいる
二夜の灯りを懐か ....
排煙を吸い込んだら空は少しむらさき
雨粒が落ちてきて
埋め立て地をバスは大きく旋回する
木場を眼下にカラスの姿を借りる
ぎらっと赤い橋の手前
白い橋の薄暗い輪郭に
3つの傘が揺れる
....
波打つガラス戸
挟み込まれた
部屋のあかりは冷たく
お月様 お月様
おいしそうに
格子なか
藍に塗り込まれ
隅の架線のふらつき加減
バタタと言っては
どこかに消える
原付の ....
橋脚から電車へと流れる塵
蘇我行き
小さな標識は高速湾岸線
撓んだ架線の下に4つのとぼけた窓
行政書士の事務所だとわかる
やがて昼間の蛍光灯から左の英会話へ
手のひらには
ずっと ....
重たく静かな黒松の壁
その右隣
荒れた土地には白い蔵がひとつ
町はだいぶ朽ちたが
彼はしぶとい
ビードロはヤニの味がするだろう
シャワーのような換気扇の音は
たとえばトラックや軽自動 ....
まっくろな海食べたら
ちいさな島は大きな背中
涙に沿って走ろ
ハロゲンの輪っか
僕は対岸の
町あかりの一つ
ビーチボールが萎んでぐずった
もうそれすら
無いんだね
おなかがす ....
切通しの森より
艶やかな靄の衣で
じっとり舐め尽くす
貫通扉を抜け出して
男がひとり
つったってる
細長い腕
コーデュロイに合わせた色の鞄で
絵描きと名乗る
白樺のコート ....
単線の川を何本も越えて
夏も冬も残滓などという
あやしい斑点に化ける
枕の肌木に叩きつけるのは
雨粒より緩やかに傾斜した海
星なんて数駅も前から消え失せて
今は小指の先に宿る鈴蘭よ ....
トンネルは夜だって明るいんだ
今も人差し指の冷たい腹、小指の爪
それだけで優しく窓を見つめてる
溢れたトラスの風切る姿が
薄暗い雑音に変わり
蕩々と水田へ軋んだ碁盤も
景色から剥がれ耳 ....
溶けた琥珀が持つ日差しの輪郭は
枯れるまで4年かかった
ひび割れ
すっかりプラスチックのような風合いで
昼の駐車場に薄い影をもたらす
車も看板も、大きなビルも
割とありふれていて
....
その眠気で東京へ向かう事になる
絨毯の水郷
利根の先は銚子の方まで消えていて
墨の筆でゆらゆらと戯れる
幾重もの電線は
枯れた田に馴染まない小狡い美しさ
鉄道橋が格子の両腕目一杯に浮か ....
その部屋は森の中にある
白いアルベルベッロを思う
しとやかな蔵
水たまりを避け
ガラスの食堂を潜ってしまえば
水面への口笛を湛えた淵が
鳥が浮かぶ
きっとそのうち
梅雨の濃 ....
小野川を降る雨は
枝垂れを揺らし輪を投げる
粗目の軌跡で
暖簾を揺らしたのは
赤い尾灯の軽トラで
川沿い駆ける影も虚しい
この寒さは何なのだろう
傘立てには二輪
マティスのよう ....
今日は少しだけ風が強いから
雨雲が喜んでる
爪跡も霞む窓に河川敷
水飴のように頼りない陰り
偶に鳴る鉄橋の響きなんて
すうっと遠い
音色の小さな一隅で
ゆっくり短針が捉える様
....
昼の3時の仏間の広さに
蜘蛛の煙が溺れてる
橙で
とてもきれい
畳と繋がる線の香
ゆっくり膝が曲がったら
崩れた鼻腔で灰を呑むよ
外をごらん
四音の空色たゆたって
枯れ枝 ....