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美しい花にそっぽを向かれると
ぼくは自らが蝿だと気づきます
柔らかい蕾に包まれて
花の囁きを聞く日を
ずっと夢見ながら
周りを飛んでは見るが
こちらに微笑む気配は
いっこ ....
呼吸を忘れたら
水の中で生まれたんだと
七色の目をした
君が笑う
砂糖菓子のような
甘い声で
私をいともたやすく
漂う
いつでも
ここがどこか
私が何者か
それす ....
午後からは雨がやんだ
小鳥のさえずりを聴き
その翼を懐かしく思う
雨上がりの空に架かる
あの虹の向こう側には
僕の両親が住んでいる
会いに行く途中の道で
水たまりで溺れる魚が ....
あなたが海に沈めたノートを
魚のままで取りにゆこう
強い水と光のために
泣いていることがわからなかった夏が閉じ
ノートを手にとるころには
手足があり
波音はなく
....
「カワイイネ」
今日も買い手は5枚の諭吉(かみきれ)で
私から春を奪う
幾重にも重なった諭吉に
「苦シイ」と書いては投げつけた
帰る家なんてない
ラララ、ラララララ ....
小さな塵が蒸気を集めて
やがて雨になっておちてくるように
僕の小さな悲しみを
あなたが優しくくるんでくれるから
ほら
こんな簡単に泣けるのを
僕は雨のせいにしている
今日も一日誰とも話さずに終わってしまう
仕事柄何十本もの電話をこなし
お昼には職場の友だちとランチなんかしたけど
それで誰かと話したってことにはならない
パソコンの電源落として
机のまわ ....
砂を
体中の空いてる
穴に詰めていく
埋め立てた人工の砂浜の
ほつれたぬいぐるみが
さみしそうに息をしている
「あなたのコドモを産むよ」
と笑い
雨上がりの
草いきれで肺一杯にして
....
カニクリームコロッケを投げるのはやめてください
わたしのマンションの玄関ドアーに向かって
カニクリームコロッケを投げるのはやめてください
わたしの自家用車のボンネットあるいは窓ガラスに
カニク ....
無機質な玄関で
蝉が震えていた
柔らかく透明な
命の中心を捕まえて
僕は木の根元で蝉を放した
けれどその木に蝉は止まらず
僕の掌を蹴って飛び立った
まるで七日間の全てを振り絞るよ ....
水を降りていく
やましいことなど
何ひとつない
深夜、もういない父の
容態が急変した気がして
親戚を探しに出かける
栞のように
水槽が鳴ってる
1、引力をコントロールする装置をつくる というか発見する 自分の中から
2、つまりこのように現実が見えているということは 一体自分はどんなものを世界に見たい と思っているのだろうかということを自 ....
蜂の巣が近いらしい
家の裏山の方へ行くと
飛んでいる蜂と ぶつかりそうになり
私も蜂もあわててよける
洗濯棒の近くの花の中で
仕事中の蜂も時折いるけれど
そっと ぱたぱた 洗濯物をかけ ....
悲しみのない日に生まれたかった
ばらとミルクの甘い匂いだけがする午後に
僕は君とだけ生まれたかった
いまとなっては好きも嫌いも愛してるも
言わなくなって 指先だけで触れて
僕 ....
今夜の献立
・夕焼けと向日葵の背中の煮物
・虹のフライ
・蝉と夏休みの子供の声の和え物
・打水のおつゆ
ごちそうさまでした、と
流しに綺麗な皿が
水に浸さ ....
流れるプール
もう何周目かわからない
浮き輪に乗っかって
ぷかぷかスイスイ
ゆらゆらぐるぐる
上を見れば
塗っちゃったみたいにはじからはじまで青い
自分の流れていくのと逆に雲が流 ....
世界で最も美しいのは4度なのだそうだ
黄金比について熱心に研究しているという友人が
居酒屋で生ビールを飲みながら言っていた
モナリザの微笑みを温度で表せという問いに
4度と答えた人が統計の半数 ....
うすい皮膚の上を滑っている
絹でもない、びろうどでもない
貝殻のような爪を口に含み
撓るでもない翻るでもない
針金の孔雀睫を擦りながら
まだ開かない、まだ開かない、
桃のような頬を膨ら ....
細い金属質の陽射しが
容赦なく肩に、腕に、
きりきりと刺さって
サンダルの真下に濃い影が宿る
忘れかけた思い出は
向日葵の未成熟な種子に包まれ
あの夏
深く青かった空は
年 ....
あした、
涙がかわいたら
海を迎えに行きましょう
果てのみえない
かなしみの
ひと粒として
あらわれましょう
雨が降っても良いのです
風が吹いても良いのです
....
・
めざめたら
体中が赤の水玉だらけになっていた
なんだか痒くて仕方がない
そのうえ頭皮にまで広がってるらしく
頭をかきむしらないといられない
体中かきむしっていたら
いつしかわたし ....
コカインとか大麻とか覚醒剤とかが
古くて腐っている
かつては良質だったもの
俺は友人たちと友人のように接することでコミュニケイトした
セックスをいつかしようとしていた友達がすきだった
....
暇つぶしに読んでいた夫の漫画本に
ヒミツが挟まっていた
それはちょうど主人公が
携帯電話のメールを確認している場面で
お札と同じくらいの紙切れだった
(本当のお札だったら良かったのにな)
....
花の都
水の都
霧の都
東の都
東京を愛することと、孤独を愛するということは
同一である
という意見に賛同しない
猫を愛することと、孤独を愛するということは
同一である
という意 ....
あれから2週間が経ったっていうのに
なぜいまも頭が膨れ上がってるのか
理由は自分でもわかっていて
そのうちのひとつは、トーキョー 打ち上げの席でもと子さんが話してた電車話が
私の旅路にふりかか ....
冷蔵庫の中を
クジラが泳ぐ
今日は朝から
ジュースが飲めない
つけあわせの菜っ葉は
鮮やかに茹で上がり
わたしは指と指の間を
紙のようなもので
切ってしまった
....
080729
川中島で、
目を覚ませ!
合い言葉は、胡瓜。
3回ほど繰り返して
黒い男が闇に消える
カラスのような目付きをした ....
気づいたときには、わたしが
わたしという輪郭に 縫いしろを足して
日常から切りとられていた
景色はいつも、ひどく透明なので
ふりかえっても もう
戻るべき箇所を、確かめることができない ....
吾子
あなたは ひのひかりを
いっぱいにうけた ほうせきを
おおきな はっぱのうえに みつけましたね
あなたのめは ほうせきよりも
きらきらと かがやいていました
あなたの ....
気が狂っている
音声で表示されていく地図たち
がひろがってみんなしねばいい
信号待ちから動き始めた列を追っかけてくろくながくブレーキの
ながくのびながらまっすぐ中央分離帯にむかってく痕 ....
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