嘘つきは目を見ればわかるなんて嘘だ
「きみなんかきらいだ」
「あなたなんてきらいよ」と言い合ったとき
僕らは目を閉じたまま
真実を確かめ合ったじゃないか
君はとろけるくらいの未熟さで
むきだしな僕を包んでくれる
その優しい色は
あざやかでなめらかな感触
デミグラスソースの中に沈みそうになっても
小さな浮島のように寄り添って
深い味を奏で ....
暑いから上着を脱ぎたいのと言って
見た目よりも重たいカバンを僕にわたす
君は少し地面から浮いたような身軽さで
肩を揺らして笑っている
僕が冗談をとばすたびに
うまいね!うまいね!と言う君は
カバ ....
私は後悔するだろうと思って
その言葉を言った
私は後悔するだろうと思って
煙草に火を点ける
煙に誘惑されて
あなたも不機嫌そうに
煙草に火を点ける
あなたはいつも
私の予想を超 ....
とにかく 走る 走る この大きな大通りを 前へ 前へ たまに通りすがりの人の顔を しっかりと確認しながら その人が今どんなスキがあるか想像しながら とにかく 走る 誰もこちらを見ようとしていない 誰も ....
はずむように近づいてくる
あなたの息は白くない
コートは着てこなかったよ
と言って肩をすくめる姿は
想像よりも少し小さく見える
はじめましてとはじめましてがぶつかって
どういたしま ....
仄暗い公園のベンチで
みかんの皮を食べろと言われている老人が
喜んでと言って頬張っていたのは新聞紙
これでいいですかとにこにこしながら
鳩の目で少年たちを睨みつける
ぽおっぽっぽっぽ ぽ ....
一匹の獣と、一匹の蟻がいる。
獣は死んでいた。
蟻が、乾いた瞳の上をあるく。
雨が降りだして
蟻は、獣の闇に融け
獣は、はじめて涙をながした。
ちべたい ちべたい 水の底から
お空をつかもうとする
でも、おいらは手足が短いから、うんと伸ばしても届かない。
でも、いつか、絶対につかむんだ。
必死につかもうとして、ど ....
部屋にひかりが入ってきていた
あなたはひかりに手をかざし
くるっと
包む様にまるめて
飴を作ってくれたね
びっくりしちゃったけど
どうぞ、って渡されたから
どきん ....
永遠なんて
存在しないなんて
確かめもしないでさ
つまり永遠って何なんだ?
僕にとっての永遠は
時間の進行方向とは真逆に蓄積される広大な時間感覚だよ
つまり時がたつほど増加する ....
疑問符をつけてはいけません
押し付けてはいけません
まずい状況では
さらに状況が悪化することがあります
何かをねだるときに使うと
見透かされたときに危険です
正直、あまり使 ....
空が白けて
窓にしがみつき
指先で書いた文字も
ただの水滴
さくっと
逆立った地面から
突き出た衝動のような
脆い僕だから
結晶を解いても
蒸発してしまうだけだってね
わか ....
昔はやった多機能筆箱、○○戦隊シリーズ
押すと、えんぴつが飛び出す仕掛けがあったり
小さすぎる消しゴム収納があったり
あぁ 電卓の電池は切れている
いろいろいじくっていたら
まだ押し ....
登校拒否をしようとしたのに
何年も前に卒業していたことを思い出した
しかたないので出社拒否をしようとしたら
数ヶ月前に退職していたことを思い出した
やけになって生きることを拒否しようと ....
あなたの名前を何度も呼んでいるうちに
気づいてしまいました
あなたと僕が結婚したら
同じイニシャルになるのだと
ペンギンは夜に飛ぶ
黒い背中を空にむけ
今宵の星座をうつしたら
かわいい翼をぱたつかせ
一瞬の風をつかまえる
とんがり頭は羅針盤
短い足をきれいにそろえ
星間軌道を飛びま ....
1
通りかかったカマキリに
僕以外の卵は食べられた
奇跡的なこの誕生を
誰が祝ってくれただろう
2
ある日道路を這っていたら
目の前で仲間が鳥に食べられた
姿か ....
眩しいわけでもないのに目をあけていられない
そこかしこに散らかった僕が目障りなんだ
未来はまったく見えないのに過去はあたりまえに僕を睨んで
今にぶらさがっている僕は次につかむ手がかりを探して ....
キスのやり方なんて忘れてた
なのに君は僕の気持ちも聞かずに
その潤んだ瞳で見つめて
何の前置きもなく小さな唇を
その潤んだ瞳を閉じることなく
ためらいもせずに何度も
そういう僕も目 ....
あなたは
一匹の子猫をみつけた
木枯らしの吹いた夜
寒さに震え、怯えている
「よしよし」
「いい子だ」
「こっちにおいで」
警戒をしながらも
あなたの優しい声と
安心できる匂 ....
恋の雑草を切ってみよう
無駄なものに違いは無いから
けたたましく鳴く蝉の声
夕立を示す雲
君の差し入れの レモンジュース
すっぱいからね、と言ってた君の声
あぁ 僕は全部を ....
なにかしら
いくぶん
こころおけない
ところがあって
たとえば
たのみごとを
したときのような
あじけなさが
かのじょに
つげなければ
いつまでも
ふらふらしているよ ....
薄くなってきたと言われないよう葉っぱを増やす
本気で光合成にチャレンジする
見つめられても赤くならない
暖かくなるまで耐える
3センチくらい伸びる
病気を治す
仲間 ....
「 」が欲しい
「 」がすべてだ
あぁ 僕には
「 」が足りない
もっともっと
「 」で埋め尽くされたい
でも
「 」って何だろう
しばらく考えて
....
もう今年も終わろうとする日に
めずらしく大粒の雪が降るなんて
もう薄っすらと雪化粧をはじめてる
ぺたぺた点描画
世界を白く塗りつぶします
そう言えば今年も大変だったな
この ....
眩しくて君が見れない
近寄りたい私の手、を伸ばす
精一杯の指に届いたのは かすめる君の後光
その光りを浴びることで
君が君で居続けて
私が私で居続けて
ただそれだけのこと
そこに居 ....
私の父はある日
「お前の頭は大丈夫か?」と言いました。
私は
「別に普通だよ」と返しました。
詩に埋もれて生きている私を、父は心配してくれているのです。
私だってたまに自分がキチガイ ....
おぼろ月夜にみる夢を
語るくちびるくれた人
色なき世界に沈みゆく
くちびるが探す静かな面影
別にいいんだよ
元々こうゆう目つきなんだから
言いたいことを言おうや
顔色なんて気にしないでさ
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