紙に押した自分の指紋で
迷路をしなければならない
広い会場のような所にわたし
そして試験監督みたいな格好をした人
二人だけで向かい合って着席している
何度やっても
わたしの指紋 ....
のびをしたら
雲に手が触れたので
そのまま引きちぎってみた
それはいつかのきみの
涙が蒸発したものだって
知ってた
でなきゃ
あんなに高い雲に
のびをしたくらいで
この小さな ....
さいしょにたべたのだれ?
さいごにたべたのなに?
ぼくをぼくあつかいする、ひとびとはてなれてる。
すとろべりーはすきじゃないといったらおこられる。うそはよくないと。
だからぼくはおれん ....
刃をもって地図を刻んでみる
道を失った時はいつもこうする
するとそこに印しは現れ
私はようやく安心する
悩みなどない
刻まれて山となった老廃物のベッドで眠る
それは悩みではなく
夢
....
ガラパゴス諸島に行かなくてはならない。
彼が生きている間に。
彼はきっと、清潔なゲージの中でキャベツを食べている。
その眼が私を映してくれる間に、私は彼に会いに行かねばならない。
聞か ....
さびついた さびしい夕暮れの街並み
今日の仕事に疲れきって
しびれたこの胸の奥の
音色に重なり合う
そっと心を開いて 家路を辿る
「おかえり」の顔に会えるなら
悪くはないね
....
言葉足らずの季節がやってきて
降り注ぐ涙も白い息を吐く
部屋の暖炉で暖まっていたのは
自分一人だけ
棚に飾ってある詩集が
染みで黄ばんでいくのにも気がつかず
突然起きた表層 ....
学習ノートの裏表紙
鉛筆手書きの宝島
包装紙の海図を持って
君はダンディ、僕 博士
太っちょガバチョを従えて
駄菓子屋で買った黄粉飴
カバンに入れて粉だらけ
黄粉に塗れた三人の
宝探し ....
やあ!久しぶり!!
いつ以来かな?5年ぶり?とか??
アナタがATMキャッシュディスペンサーから
恥ずかしそうに出てくるのを見てしまって
思わず、僕も目をそらしたよ!
家を出た ....
歩道橋が夜を迎える。
道の基点から、夕雲は暗雲へと変わる。
歩道橋は震えていた。
頑なな心に、歩道橋の震えは伝わる。
おはようが
はいる
からだ
透明な壁
両手のひらをつけたら
冷たい冬の風が伝わってきて
内側と外側の隔たりを感じた
両手のひらを胸にあてたら
どうしても届かないところにあって
淋しくなるほど困った
夜になって窓を見 ....
皿洗い何のその
料理も何のその
買い物何のその
洗濯物何のその
勉強何のその
講義何のその
相談何のその
散歩何のその
頑張っている僕がいる
頑張って生きている
頑張って老 ....
おひさまの光
たくさん 浴びて
今年もまた
たんぽぽの花が咲くよ
あげるものが何もなくて
慌てて摘んだ たんぽぽの花
最後にあたしがあげたもの
ねぇ
今年もたんぽぽが咲 ....
たしか死んだはずの父が
逆上がりをしている
たしかに死んだはずなのに
まるで昨日のことのように見える
うまくできないのだろう
年老いたからだでは
それでも負けず嫌いの父に
も ....
正直に生きるなんて
そんな恐ろしいことできないよ
正直になんてずっと
幼いころからできなかったよ
右といえば左であったし
上といえば下であったし
どちらでもいいといえば
はっきりしな ....
彼の名は確か太郎といった
そうではないかもしれない
宏だったかもしれない
武だったかもしれない
なんにせよ
平凡でいい名前だった
そんな気がする
彼は足が速かった
かけっこをすれば ....
私たちは
許すことも
憎むことも
忘れるほどの雪をみる
抗いきれない風に
ぜんぶ持っていかれて
あきらめにも似た
今を得るけれど
私たちは
もう一度 もう一度と鳴く鳥の声をき ....
青空に顔を向けて
無邪気に咲いた早朝
陽射しが眩しすぎて
不甲斐なく萎んだ午後
無力を思い知って
力なく項垂れた黄昏
もう夢なんか見ないと
突っ伏して泣いた真夜中
花が落ち ....
昨日さがし
今朝、起き抜けに
自分は右左が分からず
(ほんとに)
今朝、目覚めたとき
自分は表裏が分からず
自分の仕事が何なのか
すっかり惚けてしまって
濁った頭の中を
....
哀しむことができること自体
充分な贅沢なんだ
涙が流せるなんて
乾き切ってしまえばそれすら出来ずに
哀しみに身を浸して
今日は涙の海に沈もう
古代の骨達は声を上げることもせず
唯待っ ....
爪を切る
快い音が響くたびに
日常の縁から否応なく
寸断されていく記憶
苛立ちの16ビートのリズムを
机の上に刻み続けた爪
つまらない照れ隠しに
痒くもない頭を掻いた爪
....
自分がいつか死んでしまうだろうと
団地のベンチで電話をかけたときから
あれで
あれだから
女の子から
こんにちわと声をかけられたので
かのじょになってくださいと
いう
かんせい ....
はじめてふたりで話したとき
きみは敬語をつかっていた
アドバイスが出来たのか忘れたけど
はじめてプレゼントをもらったとき
それはハンカチーフだった
どこにしまったかは忘れ ....
真っ白な紙をたくさん束ねた
大きな自由帳をもらった
どんな色を使ってもいいけれど
必ず自分で決めなさいと言われた
罫線もマス目も何もない
分厚い自由帳をもらった
どこへ持っていって ....
人見知りなミツバチは
花の蜜を集められない
花が可愛過ぎるから
真っ赤になって
『また今度』
ふっと香る花の香り
気になりながらも
知らんぷり
恥ずかしがりの照れ屋さん
....
ゆったりと時は流れ
幸せを噛み締める。
満たされた思い。
安心する。
分かってくれる人がいる
共感する。
互いの事を沢山知る。
聞いてくれる。
昼寝をして
仕事して
勉強し ....
部屋にぽつんと一人
歩き始めるための外出をするには
外の空気は不当に暑い。
アスファルトの上で血液が沸騰する
サニーサイドアップをアスファルトで、
だが、外出のための条件は整った。
....
{画像=080522023223.jpg}
五月十七日は土曜日でした。
窓から外を見るぼく。
向かい合うアパートの窓に、
立っているぼくの姿が映っている。
身体を揺すり、
ヘッドホンに独り ....
恋かそうじゃないかって
いったい誰が決めるんだろう
ただの気になるひと から
好きなひと に変わるのはいつなんだろう
恋したのなんてずいぶん昔で
なんだかもう 忘れてしまってる
....
1 2 3 4 5 6 7 8 9