ギュッと閉じた
眼の奥の熱
ジワジワと
脳裡に浸みゆく
からだの寒さを
毛布でくるみ
落ちてきそうな
天井を見つめる
六十兆個の細胞を
生かすも
殺すも
....
(以下英語で)
「カスタマー・サービスです」
「あの、レ・ミゼラブルの上映スケジュールを知りたいのですけど…」
「それでしたらウェブサイトで調べて下さい」
「さっき調べたのですが、 ....
大根は嫌いだと言う言葉が冬休みの合言葉だった
小高い丘が連なる様な古墳群の一角に施設はある
お世辞にも広いとは言えない畑の早朝は
しもやけやあかぎれの手指足指をからかって
まる ....
赤いウミウシの模様であった
デパートの包装紙
それで母はちゃっちゃかと洋服の型紙を作る
かつて何かを包んだものの匂いがしていた
ヒトガタに切った人形が
夢のなかでトモダチになるように
....
君からもらった
クッション
誕生日だったか
クリスマスだったか
君が僕にくれた
唯一のもの
くっついて
はなれて
またくっついた
またはなれた
それから僕は
....
子猫のしゃっくりを右手で引っ掴み
やあらホイ!
ドックフードを食べ残した犬をポチと名付ける
....
商工会館が閉鎖された街に
バナナ売りの声が響く
ゼラチン質の船に乗って
目の見えなくなった犬は
遥か遠洋へと向かう
たて笛の隣にある空き地に
僕と彼女は小さな家を建てた
悲しみ、とい ....
生温いラブソング
みたいな雨が
無骨な傘を叩く
手頃なセンチメンタル
みたいな歌が
鳥肌にまといつく
南風に押されるままに
よろよろ歩き出す
曖昧な記憶
傷つけたこと ....
チャイムが風みたいだから
白いチョークに掴まっていた
答えなさい
黒板を差して
先生が
おっしゃるので
包帯のようです
そう、言ったら
みんな笑っていた ....
愛してるよ
愛してるよ
愛してるよ
愛してるよ
愛してるよ
愛してるよ
....
夜、ベッドの中で
妻はいつもより濡れている
ぎゅっと抱きしめると
ぼくの腕の中で
あっけなく崩れていった
豆腐だった
水切りが足りないことに
どうして今まで
気づいて ....
ねぇねぇ ちょっと どこ見てるのよ
ねぇねぇ ほら わかっているのよ
世の中で一番だなんて 思っている訳じゃないけど
あなたがいったんじゃない 信じさせてよ
愛してると言われただけじ ....
曇り空に 晴れろとも言わず されど
曇り空に 気分連れて行かれそう だなんて
よかよか 曇り空でよかよか よかばってん
受話器がはずれた ズーズー音
もう掃除も洗濯も終えたんですー
....
ひとは別にペンを持たなくても
そのひとだけの生は小説である
ひとは別に筆を持たなくても
そのひとだけの生は絵画である
それは確かに歳月の流れのなかで
忘れられてゆくものかも知れないけ ....
やっぱり寂しいんだようと言って最後の最後でわたしが泣くと
うわーーこいつ泣いたよきめえ
といつもの調子でみんな笑った
それからいつもみたいにじゃあねと言って
それぞれ走り出したばかりの市バスに ....
心やさしき ひとよ
心強き ひとよ
人々の痛みがわかりすぎるから
その胸を絶えず悩ませ
希望を
明日を
指し示してくれている
勇気ある ひとよ
真のリーダーたる ひ ....
あるいて
くたびれて
たちどまって
ふかれて
めをとじて
ゆるして
なんて
やわらかいんだろう
ぼくがし ....
ニュースにおわれて
おいかけて
ここまで
はしってきたけれど
ふりむけばまだ
あるとしんじている
あのまちをまだ
このめでみていない
ニュースでみた
さまざま ....
ごちゃごちゃ言うてんと手え動かせよと
何度言われても私の頭は
すぐにどこかへ行ってしまう
脳内 口腔内 上空ははれて
痛みまで感じる三月の空
目の前のことでなく
この先へ続く仕事
一 ....
飛びたてるまでの道のりや
速さやあるいは時間というものは
みんな違うのは当然で
途中で滑ってころんでも
飛行機みたいなものじゃないから
僕らの翼は折れたりしない
力学や精密機械のよ ....
好きな出来事は ブログに書いてみる
嫌いな出来事は 茶色の小瓶にコルクをする
思い出したいのに 書かれた筈のバックナンバーが見つからない
思い出したくないのに 小瓶は割られてこぼれたまま
....
ACのコマーシャルが
テレビから消えてもぼくらは
忘れてはならないのだ
いのちが助かる
いのちだけが助かる
ぼくらができることとは
義援金を今後もつづけることだ ....
できることをする
誰がどうだとか
誰がどうしたとか
どうでもよいこと
それどころではなく
今
できることをする
雪が降る
音のない洞窟に
音楽を幻視する作業員たち
雪が降る
味の素みたいだ
時がゆっくりと崩れている
時が蝕まれることだけを数えている
これ以上なにかき ....
線路には
行くか、戻るか、停まるしかなかった
生きたい
生きて欲しいし生きてて欲しいのだ
死んだら
停まるしかなくなってしまう気がする
見せつけてやろうぜ
....
うらぎりの雲がうかぶ
青空のした
ぼくは
ぼくを問いただしていた
オマエハ ナニヲ シテイルノカ
と。
おおきな地異が
おおきな波が
きみから
大 ....
ここが有名な現代詩フォーラム/そんなとこでオナニーしてどうなる
どれを読んでもつまんねえのばかりで/そんなのにポイント入れる馬鹿みてぇ
どうせ理解なんてされないラップ詩/他は気持ちの悪い文章ばっか ....
海図を捨てて
自分の力で宝を探そう
無謀なんて言わせればいい
誰も乗りたがらない舟で
麗しきエデンに行こう
無謀なんて言わせればいい
航海はしない奴ほど後悔する
涙で濁って 視界 ....
からっぽの心にトクトクいれる
もっといれなきゃ優しくなれない
からからからの心のままじゃ
とげとげしすぎて痛くなる
甘くてあたたかなまるで愛のよな
飲み物いれる自分にも
あなたに届けら ....
トントントントン
包丁の音がする
君は手際よくテーブルの上に出来あがった料理を並べていく
いめぇじの世界で
ダンスを踊る人たちが
手を繋いでは千切れて
あら、忘 ....
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