あけおめ
小川 葉

 
かず子の外側から
年賀状が届く
地平線から地平線へ
わたしの内側へ

できるだけ
かんたんな言葉で
内側から溢れてしまうものが
零れてしまわないように
壊すことだってできたのに

年賀状ではじめて
かず子の子供を見た
あけおめとだけ
ペンで走り書きされていた

ただそれだけで
それ以上
言葉にならない気持ちが
わたしには
よくわかっていた

故郷は
あれから何ひとつ変わらない
来年もきっと
何も変わらないだろう

初詣でわたしは
掌を合わせて
何を祈ればいいのだろう
昔田んぼだったあのあたりには
新しい家が建つというのに



自由詩 あけおめ Copyright 小川 葉 2008-12-31 21:23:26
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