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「たとえば」
と、あなたは話しはじめる
私は耳を傾ける
「僕は大トロが食べられない
脂身の繊維の切れ目が、傷口みたいに見えるから
僕は小学生のころ、肌が弱くて肩の皮膚がよく裂けて ....
夜が朝日に殺されていく
彼女は悲しさを手放したりしない
夜が終わって朝がくることを
毎朝しっかりと悲しむのだ
彼女は毛布にくるまって
テレビの天気予報を見ている
(きょうはおひるま ....
テーブルに置かれた
あなたの両手を見ていた
細ながく 筋張った指
私からいちばん見えやすいように
そこに置かれている
わざとじゃないのかもしれないけれど
少なくとも そう感じる
いつもそ ....
森を歩いている
もちろん君といっしょだ
姿は見えなくても
しっかりと手は繋いでいる
この森に来るのは何回目だろうか
岩の転がる広場への道のりも
もうなんとなく覚えている
緑の濃い匂いのす ....