この世という巨きな檻で 
誰もがひとつの「非常口」を探している 
それぞれの足首に鎖でつながれた 
鉛の玉を、引き摺りながら 

背後から迫る炎の手の、一歩先を 
脇目も振らずまっしぐらに ....
 
はだかの枝先が夜風に揺れると
闇に詩が浮かんだ
霜のように輝く月に向けて
誰にも読むことのできない言葉で
木々は詩をうたった
 
白鷺のつがいは
しずかに羽をふるわせて
銀色のせ ....
丸投げされた洗濯物に埋もれている
わたしたちの日常の色というもの

どんどこどんどこ
どんどこ、まざりあう

洗濯かごいっぱいで
家族団欒としているよう

わたしの目尻がほんのり
 ....
{引用=銀色の月を砕いた細雪
虚飾の街にも、しんしんと
上野発カシオペアはふるさとゆき
すれちがう旅人のなつかしいアクセント


耳の奥では遠い遠い子守唄
かあさんの声、 ....
海岸に
たくさんの鏡が並び
かなしみの海から帰る人々を
心に写している

私たちは
あなたと同じ
かなしみがわかるのだと
言葉にして語っている
ほんとうは
正反対の姿で ....
高層ビルを
見上げながら
家路につく
街は高さを失いながら
広がっていき
やがて私は
空を見上げている
今日も日が沈む
路地を曲がり
その先に辿り着くと
温かい光が灯る ....
高すぎる温度は猫舌には無理そう
少し飲みやすくなるまで
数分間の画家になってみる

キャラメル色の狭いキャンバスだから
そう大層なものは描けないけど

白いらせん 溶けて
甘いらせん  ....
{引用=


  ? 白い虹の風景


{画像=10071 ....
君はうんざりするような春の幻の中で
僕が捨てた声を拾い上げながらずっと微笑んでいる
揺らぐことのない穏やかさに
敵わない何かを感じて僕はうなだれてしまう

秋 ....
僕は君という詩が好きだけど 
僕は君の望んだ詩になれずに 
やがて別れの季節は、訪れる。 

なにをどうしようと 
足掻いても 
誰のせいというでもなく 
仕方のない、ことがある。 
 ....
恋人はまぶしい午後の光に
パウダースノーとなって朽ちた
彼女を運んで行った同じ風が
僕の窓際にサルビアの香りを連れてきた

季節がめぐって僕は知らない場所に行き着いて
生活はいつの間にか地 ....
うつむきかげんに
歩いた
切れ長の目の女の
くびれを考えながら
かつてここに
めくらの女と男が住んだ
アパートがあったと
町の豆腐売りが
教えてくれた
そうだ
どんなところにも
 ....
子供等が
影踏み遊びに興じている
こんな遊び
いまでもするのだというかすかな驚き
無心に ときに真剣になって
人間をではなくて
影を踏む
という行為
(大人は心の中にまでも踏み込んでく ....
{引用=
ひだまりにいる幽霊は追憶
見つめているのは幸福の面影
黄金に香る金木犀の花

抜ける青空
ひだまりにいる幽霊は憧憬
秋の透明な輪郭の中に浮かびあがって

冬の始まりの風が
 ....
苛烈な冬霜を生き延びた蕾が
ほんの僅かな春の光に
ほころびかけ

薫る

花びらは

柔らかく

春の日のあたたかな風に
散りそうに揺れる。

もう一度
深く地中に眠るため ....
 明かりの灯らない平屋のバラックが何処迄も続く闇の濃淡の、草海原にも似た街並みの成れの果てを、たたんととん、たたんととん、二両編成の電気鉄道は往く。心寂しい律動が鼓動に同調し、寂しさに胸が絞り上げられ .... おれんじ色の船にのって

ぼく砂漠へ行くの

降りしきる流星群を見つけたら

きみに長い長い手紙をかく

それからポストを探して

三千年の旅をする
籠の中の小鳥が声高に鳴く
開け放たれた窓からそよぐ風に喜んで
庭先で君はひとり楽しげに
プランターのおじぎ草を突いていた
鼻腔を突くのは蒸せた花の香り
ざざざと風は水路を走る
千切られ ....
 
 
ひさしぶりに
裏庭を見ていた

貝殻や
魚の死骸が
たくさん漂着していた

いつのまに
海が来ていたのだろう
命はまだ
こんなにも
満ちているのに

干潮の砂浜を ....
欄干のすぐそばでゆれていた緑の長い葉を
頭上でちぎって歩くと
いつの間にか橋は終わっていて
下り始めるその道のはじめに
モリヤ商店はたっていました

コーラを買ったり
買わない店の奥の暗 ....
厚く



熱の積層する
太陽の谷間で


流水を浴びたいと


切望の淵



地虫は揚力を手に入れて

夏の途中、



蒸す草いきれは陰を追い



木々の葉をひるがえす

風もなく

 ....
ひそかな風にあおられて
梢の葉裏がひるがえる
なぜなのだろう なぜかしら
瞳の奥がかすんでくるのは


指先をのばしても
風はすり抜けるばかりで


あなたは黙って
傍らの草をむ ....
ふと見下ろした煉瓦の上に 
蝸牛の子供が一匹 
二本の細い触角で 
何かを探るように、這っている 

少しの間、僕は思いに耽り 
ふたたび見下ろした 
小さい渦巻はさっきより 
確かに ....
雨の夜のアスファルトでは
光も熱帯魚みたいに濡れている
迫り来てよぎり過ぎ去り遠退く
赤い、黄色い、無数の鱗が目に入って
濡れるしかなかった視線が水性インクとなって
雨の夜に、明るい ....
東の山でテロルがあった
火のないところに煙がたった
晩秋の寒さの中ですぐに鎮火したが
不審火は続く
人気のないところからも自然発火する

空は雲を重ねて黒く笑った
風は目を光らせて時を伺 ....
二十四時間操業の工場で
一年前と同じスケジュールを働いた
一年前が二年前でも
三年前でも五年前でも
十年前でも同じであり

今日は雨が降っている
傘の影
右と左
交互に前に出る
汚 ....
電気を消した暗い部屋で 
月明かりの射す窓に向かって 
扇風機よ 
お前はやけに 
凛とまっすぐ立ってるなぁ 

夜風にふくらむカーテンと 
何かを話しているようだ 
 
 
愛について考えると
わたしは道になっている

頭のてっぺんから
つま先まで
世界のあらゆる道になって
人々がわたしの上を歩いている

あなたが歩きだすのを
ずっと待ってい ....
 
 
わたしの家にある
不思議な窓が
開閉を繰り返すと
屋根の背中を
見覚えのある川が
流れている

見分けのつかない一日の
傍にある一筋に
長い影を落とし
少年は一つしかな ....
見下ろすと わたくしに所属するのは
ただぼつぼつとした腹だ

テンキー

布団を背負う
じゅうたんを背負う
フローリングを背負う
芝生を背負う
自ら有する全ての接地面から垂直に作用 ....
寅午さんのおすすめリスト(262)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
非常口_- 服部 剛自由詩610-3-24
名もなきお前のための- ma_non_tropp ...自由詩210-2-23
母鬼- 窓枠自由詩7*10-2-1
Sonnet_菜の花- 夏嶋 真 ...携帯写真+ ...23*10-1-27
黙祷- 小川 葉自由詩510-1-18
家路- 小川 葉自由詩510-1-11
休息- 風恋誦自由詩210-1-3
白い虹の彼方から- まどろむ ...自由詩9*10-1-2
だからといってそれが冷めてしまうまでここでこうしているわけに ...- ホロウ・ ...自由詩6*10-1-2
空の背骨_- 服部 剛自由詩609-12-14
教室に向かって歩いていく- 瀬崎 虎 ...自由詩409-12-5
冬の日- ばんざわ ...自由詩2*09-11-15
影踏み- Kazu.自由詩1*09-11-13
ひだまりにいる幽霊- リーフレ ...自由詩309-11-10
百合- ゆびのお ...自由詩109-11-9
夜船- 古月自由詩209-10-24
流星群- yo-yo自由詩5*09-10-22
サラテリ- ゆえづ自由詩7*09-10-5
秋の裏庭- 小川 葉自由詩1009-8-27
きつねの辻- オイタル自由詩5*09-8-21
夏の戸陰- オリーヴ携帯写真+ ...2309-8-9
夏の庭- 石瀬琳々自由詩8*09-8-5
台風0号_- 服部 剛自由詩7*09-7-29
魚類の夜- A道化自由詩1009-7-28
小説『石川少女』- オイタル自由詩4*09-7-20
存在と不在とそのあいだ- 餅月兎自由詩509-7-18
扇風機_- 服部 剛自由詩509-7-11
ひらめき- 小川 葉自由詩509-5-10
- 小川 葉自由詩209-5-9
計算上の仰向- ぬいとり ...自由詩1*09-4-19

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