すべてのおすすめ
たったひとしずくの水が
いったいどこからうまれてきたのか
だれもしらない
じぶんというほんしつに
たどりつけないように
しっているのは
ただここに
あるということだけ
それはじゅうぶん ....
この風を知っている
そんな気がするのは
夏を生き延びた生き物たちすべてが
その手をつないでいるからかもしれない
地球のどこかで生まれて
地球を何億回も旅をして
悲しみの涙を流す人のほほ ....
虫の音は過去から届くメッセージ紐解きながら浅い夢みる
つかめばするりと逃げてゆくとかげのしっぽに似た夜だ
まだら雲見ている猫の背中にもまだら雲がひとつぽっかり
朝起きて歯医者の予約を ....
おそらくもう夏は行ってしまったのに
夕刻になると
埋葬されない蝉がうたう
取り残されるということは
ひとつぶの砂のような心地
苦いさみしさだろう
――さいごの一匹になりたくないのです
生 ....
左手にヘアアイロン、右手にスマホ。高校生の娘は朝の忙しい時にも、そんな習慣を欠かさない。前髪がそんなに重要なのか、ラインでどんな大切なメッセージがあるのか、聞きたいところだが、朝から言い合いたくない ....
夏のあいだ僕らは
危うさと確かさの波間で
無数のクリックを繰り返し
細胞分裂にいそしみ
新学期をむかえるころ
あたらしい僕らになった
けれど
ちっぽけなこの教室の
ひなたと本の匂いとザ ....
かつて まつげに
マッチ三本載せてみせた
少女は
そこへ
小さな蒲萄を
たわわに実らせたという
おとぎ話は
完結してからのほうが
むしろ真実だったりする
まばたきのたびに
....
かなしみのほうに
かたむいていく白い朝は
つかみそこなった
ひなたちが
さかみちを
ころがりおちてゆく
いきさきは
とおい御国か
秋という字の
右耳に
火がともっている
....
酒の自動販売機の前で
近所のおじさんは
ワンカップのボタンを押す
がたたん
おじさんは
しゃがみこむ
しばらくして
立ち上がったおじさんの手にあるのは
完全に飲み干され
....
わたしたちが集めていたのは
瓶ビールのふただった
父の晩酌のたびにそれは
どちらかの手に入る
栓抜きでこじ開けられた痕は
同じ方向にひしゃげて
それは何かを証明するように
ひとつ ....
やや黄味を帯びつつ光る宝石が恋しい海を呼んでます、ほら
台風のあとの野原の美しさ触れればくずれ珠の水々
絹糸でつながれた白玉の一番端にわたしをくくる
宝石箱のいくつかはイミテーション ....
あみ戸をほんの少しだけ開けておく。
すかさず外にいる犬がやってきて、
そのすきまのそばで入りたそうにしている。
すきまを少し広げる。
あたまがひっかかる。
犬はあきらめる。
ネコなら手で開 ....
発火する手前で
なんとか世界は持ちこたえている
そんな暑さだ
空へのばした緑の手は
もはや力なく横たわり
おそらく
何もつかめないまま
花さえ咲かすことのないまま
明日には
残骸 ....
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)と広島交響楽団が共演するクラッシックコンサートに行く。
「平和の夕べ」と名付けられたそれには、ほぼ空席はなかったが、二階席中央ぽっかり二列だけに誰も座っていないところが ....
神様が作った骨の成り立ちを考えれば
猫背であることはとても自然な成り行きであるのだけど
猫背である自分をウインドウ越しにうっかり見てしまえば
あんまり素敵じゃなくて
ちょっとだけ無理をして背中 ....
空想と現実を行き来する
冷蔵庫を開けるまでは
卵は空想の産物であり
白い宇宙船であったりするけれど
取り出して目玉焼きを作る段になれば
さっそくそれはフライパンの{ルビ最中=さなか}で現 ....
たった三日でもわたしをあなたのテーブルに飾ってくれてありがとう
消毒臭くて清潔な水は、もちろん雨よりも美味しくはなかったけれど
あのまま樹にいたとしてもどのみち無残に滅びていく事にかわりない
....
平面の布に
針を刺していく
そうして出来た
糸の道を引くと
操られるように
現れる
立体の波は
少女の真新しい綿のスカートの裾を
縁取って踊った
風、曲面のゆらぎ
影とひかり
....
一瞬で
りんごもにんじんも正論も砕かれ攪拌されてどろどろのジュースになるみたいな
彼女だけの鋭いミキサーのすいっちは日常のいたるところで押されるのだった
あるいは一瞬で
女子なのにおおかみ ....
あなたにうがいを教えたことはないけれど
あなたはうがいを体得していた
言葉で教えられるよりも
見て覚えることのほうが
きっと何倍も簡単なんだと思う
それでもあなたが
うがいってなんなの ....
世界に雨が降ることは予定されていて
辺境のここは狭く
すでに飽和状態であったから
昨日の水を
留め置くことなく
昨日の水、を
手放している
どこへ向かうのか
誰も知らない
ゆくえ ....
みずからの
水だけで
果実がジャムになる
という方角を
みつめている
わたしという誰か
くつくつと
やがて
ぐつぐつと
そうして
やがて
なにも言わなくなる
鍋だけが焦げてゆく ....
空き箱を捨てようとすると
捨てないでと
声がする
ほうら
よく見て
案外魅力的な箱でしょう
中身がなくなったからって
存在価値がなくなったって
ことじゃないのよ
むしろ
そこか ....
さっき買ったばかりの
ペチュニアの苗にあった
つぼみが
うらうらとした
ひなたの中で
もう咲きかけている
そうやって
ほどけ始めた
濃紫のはなびらは
見せかけより何倍も
ふくら ....
にぶい金色の肌が
冬の陽だまりを
そっとはねかえしている
アルミニウムの
浅い洗面器のうしろに
整列している
こどもたちの
頬はあかく
順番になれば
みないちように
そこへ温か ....
グアテマラ
無漂白フィルターの中に入れた
二人分の茶色い粉に
静かに熱湯を回しかける朝
柔らかくふくらむそれらから
好ましい香りが立ち上る
何秒かのち
珈琲がカップに透過していく
....
細い髪の毛は実にからまりやすく
しじゅう梳かしてあげないと
やけっぱちになった団子になる
しこりになったそれ
まるで永遠に解くことのできない
知恵の輪みたいで
まるで
宇宙だねと
....
ヒョウ柄のブラジャーすれば少しだけ強い女になれちゃうのです
キャミソール細い肩紐に見せかけて女の紐はほんとは太い
ふわもこが恋しい季節になりましてしーんと冷えた足のゆびさき
てぶくろ ....
美しい言葉を
うすぺらいと
思う人もいる
人の心や現実というものを
わかっちゃいないねと
笑う人もいる
そこへたどりつくまでの
流した涙を知らずに
美しい言葉を
幻想だと
突き返す ....
もうそろそろだと
祖母は言う
おかいこさんのからだが透けはじめると
そのうち糸をはきだして
楕円のおうちで
別者に生まれ変わるのだと
その不思議な虫は
一日中
桑の葉を食べている ....
りゅうのあくびさんのそらの珊瑚さんおすすめリスト
(119)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
赤い星
-
そらの珊 ...
自由詩
11*
15-9-29
夏越しの約束
-
そらの珊 ...
自由詩
14*
15-9-23
秋のあをぞら
-
そらの珊 ...
短歌
10
15-9-11
秋のゆびさき
-
そらの珊 ...
自由詩
15
15-9-9
こらえれば海路の日和あり
-
そらの珊 ...
散文(批評 ...
8
15-9-4
コピーアンドペーストエンド
-
そらの珊 ...
自由詩
23*
15-9-2
まつげに盛られたファンタジー(或いはモナリザの微笑み)
-
そらの珊 ...
自由詩
15*
15-8-31
おとづれ
-
そらの珊 ...
自由詩
16*
15-8-28
おじさんの伝説
-
そらの珊 ...
自由詩
11*
15-8-25
耳さらい
-
そらの珊 ...
自由詩
19*
15-8-23
真珠のうた
-
そらの珊 ...
短歌
9*
15-8-22
夏休みの日記より。
-
そらの珊 ...
自由詩
17*
15-8-14
炎天
-
そらの珊 ...
自由詩
19
15-8-12
「平和の夕べ」コンサート
-
そらの珊 ...
散文(批評 ...
9*
15-8-11
猫背考
-
そらの珊 ...
自由詩
19
15-7-4
リエゾン
-
そらの珊 ...
自由詩
17*
15-5-22
修羅
-
そらの珊 ...
自由詩
19*
15-5-20
五月のしつらえ
-
そらの珊 ...
自由詩
26+*
15-5-14
すいっち
-
そらの珊 ...
自由詩
17*
15-5-1
うがい
-
そらの珊 ...
自由詩
22*
15-4-19
鉢植えの土によせて_「創作工房_群青_4月の課題_土_への提 ...
-
そらの珊 ...
自由詩
16
15-4-11
ジオラマ
-
そらの珊 ...
自由詩
15*
15-4-3
こうして今日もわたしは片付けられない
-
そらの珊 ...
自由詩
16*
15-4-1
春告鳥
-
そらの珊 ...
自由詩
12*
15-3-29
消毒の時間
-
そらの珊 ...
自由詩
15*
15-3-26
世界のどこかに存在しているあなたへ
-
そらの珊 ...
自由詩
15*
15-3-9
台風を待つ朝に
-
そらの珊 ...
自由詩
16*
14-10-13
ベッドでは香水だけをつけるなど、一生縁のない日々のつれづれ
-
そらの珊 ...
短歌
19*
14-10-11
赤い月はノクターンを奏でる
-
そらの珊 ...
自由詩
17+*
14-10-10
偏愛
-
そらの珊 ...
自由詩
24
14-10-8
1
2
3
4
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