すべてのおすすめ
耳鳴りよとおい世界の渦巻よ花降りやまぬ春は まだか
吐瀉物もわたしだったということを忘れてしまいそうになる朝だ
動脈のあたりに鴫がたっていて今年最後の日曜日、はれ
ひとつずつやりたい ....
・国語
休み時間 机の上に伏せられた教科書はみな鳥のかたちで
「死」という字を習い17年経つが何故か未だにうまく書けない
・算数
「算数は嫌いなんだよ数式の突起みてると痒く ....
「と」でなく「に」だと気づいた片道のきみを疎んで揺れる{ルビ鬣=たてがみ}
月光と言語をすり替え降雪に名前をつけて笑っていたが
ひとがみなひとりでは生きられぬならわたしはひとでなく ....
「ナオトいる?昨日もらったシャンプーさ、髪合わなくて剃髪したの」
血塗れになっても奏で続けるのファしか出せないピンクのミシン
にんにくを割ってでてきたひよこたち ....
剃髪に立ち会った日の陽の光 淡く結んだらせんのつづき
葉脈にミシンをかける神様は季節のすきまは縫い合わせない
にんにくで追い払うんだ君のこと季節外れの桜の匂い
....
早朝に剃刀を買うコンビニで 剃髪用です 袋いいです
昼下がり主婦がミシンを踏む音は 人を撃ち抜く練習に似て
夕暮れが鼻血のような色してた 鉄のにおいが漂って、冬
....
動物園の絵はいつも雨が降ってるあなたと行ったあの日から
手を繋いで坂道を駆け上ったね下る時に負けぬ速度で
母と二人ハンバーグをつくる夕日よりもきれいだったひき肉
....
漫画の登場人物のようには成れないよ彼らにはみんな全員全員全員夢があるから
何かを極めること何かに責任を持つこと僕らには分からない言語を使うこと
どの能力も平均程度にあること ....
乾かないTシャツ残して出かけたら今日はいちども猫に逢えない
セーターの襟首ざっと引き上げて毛糸の匂いの世界にいるよ
パジャマから追い出されてる春だからはだかんぼうで抱き ....
コンセントから漏電した原色の((わすれないで))はフィクションとなり
凝固剤の足りない夜の水槽で泳ぎも歩きもできない会話
壁 ....
書くことがないと書くなよ書き方がわからんのだと認めなさいよ
手癖足癖なくて七癖悪い癖癖毛と巻毛は違うよキミィ
掘り下げる気なんかないね彫り上げるつもりはあるよゲージュツ家だもん
語る ....
草市に うみほほづきを購いて
海の味する遠き幼日
朝ごとにくぐもり啼ける鳩の声
故里に啼く森を想えり
西陽射す路に日課の水をまく
秋めきし風に虹たてながら
白白と待宵月は行き来 ....
海岸線沿って定規で空を引く色鉛筆で画け得ぬ青
深く深い場所まで熱せられていくオーバーヒート前の打ち水
おしなべて心を乱す約束と雲の行方をだれも知らない
....