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きみは、ぼくの、愛の痛み
そして誰も知らない言葉だった


忘れたことのない言葉だった でももう遠い
舌の上に転がしても 口にすることさえ遙かで


雪が降る、雪が降る、ぼくのさびしい ....
雨が降っている、と 長い髪を翻して駆けていった


レティシア 君を探して見知らぬ夢をさまよっている
あれは君だったの 夢のなかでそっとくちづけをかわした


誰もいない図書室で本をひら ....
やがて九月、と声が耳もとをかすめてゆく
窓辺にはレースのカーテンがひるがえり
夏の少年が静かに微笑む


君はどこからか来て何も言わずに去って行った
知らない言葉だけがわたしをさみしくさせ ....
いつかわすれたうたが
君のくちびるにのぼったら
一艘の舟がこぎだすだろう
夕陽の海へ 雲のかなたへ


 (そして、振り返ることもなく)


いつかわすれたうたが
君のなみだにかわ ....
昼下がりの
うすむらさきに藤がひかる
森で
少女は見知らぬ少女と出会った


目を閉じて 見知らぬひとと
わたしの森を過ぎてゆく
風、


心臓の音だけが聞こえるでしょう
唇と ....
春の海はまぼろし
蜃気楼の楼閣さえ彼方に浮かんでいる
わたしを呼んでいるように


遠い海鳥
緩慢な波
割れた貝殻
ただ砂にうずもれて


あの子のか細い肩甲骨はもうさびしくなか ....
青い扉の向こうに
雪原が広がっている
かすかなノイズ
そのなかに紛れるように
一頭の白い馬
あれはあなたが放した淋しい夢だ


指で触れて
夢だと知りながら
その長い首を抱きしめる ....
雪の瞳に映るのは
軽やかな窓
音もなく降る白い彼方の光


   ひとつの塔に夜明けが訪れた
   沈黙はただ安らぎであるかのように
   いつか鳴る(それは予感めいた)鐘の響きを待って ....
あの子は障子に射す光を見ていた
目の窓に映るきらきらの光はなぜか心を
胸のおくをきゅんと痛くするの
涙が目の窓にもり上がって
よけいにかなしみというものが近づいてくる


かなしみはうつ ....
透明なものがたりがあった
ひとあし、ふたあし、訪ねていくように
波が岸辺に打ち寄せて


貝殻を拾って、耳に寄せても
波音は聴こえない
わたしの耳には
あなたの潮騒ばかりが渦巻いている ....
 (雫がすべってはこぼれてゆく
  夜だ わたしだけの夜がはじまる)


眠れぬ森の月が落ちて神話になった
満ちては欠けて欠けては満ちてゆくもの
星はまばたきのなかに流れてゆく


 ....
だれもしらない庭にだれもしらないあなた
わたしたちは夢をみた
はつ夏のひかりのなかで
あれはあなたの花
ジャスミンのむせる匂いに
秘密めいたあそび くちびるの感触をおぼえた


だれも ....
夜明けの森を夢見た わたしの閉じたまぶたは
光によってひらかれる あなたの白い
春のような指さきで


わたしのためにあなたは生きていた
わたしが悲しいときははらはらと涙を流した
嬉し ....
ある日窓から花を投げた
あのひとが受け取ってくちびるに寄せてから
あのひとが好きになった 恋をした
みずいろの花 むらさきの花 そしてあかい花
あのひとはすべて受け取ってそっと胸にしまった
 ....
 (雪降る時間 あのひとの指がきらりとひかる、
  わたしはくもりガラスの向こう側で)


あのひとを思うと 白い雪が降って、
わたしの肩にも髪にも舞い落ちる
そしてわたしは あのひとで ....
ね、といって目を閉じた
静かにその翼を閉じるように
ね、あなたの見る夢のなかに
白い鳥、翼をひろげて飛んでいった
その羽ばたきがかすか、耳もとにくちづける


ね、あなたは今も孤独なのだ ....
十月、黄昏
やさしい人の涙を僕は知らない
誰か呼んでいる (猫の仔のようにか細く)
振り向けば街をすり抜けいつかの風が吹く
頬に触れる、あのなつかしい指先で


   がまぶしくて目を閉 ....
あの月をおぼえている
かつて輝いた太陽を知っている
その手に触れたものも
触れ得なかったものもぜんぶ


それは、
緑陰にそっと揺れていた
真昼のしんとした光を浴びて
それは、
あ ....
雨のなかの馬
時間さえ檻のなかに閉じ込められる
そっと名前を呼んだ
季節が過ぎて青いさびしさが満ちてくる


後ろさえ振り向かず駆けていこうとする
雫のビーズをまき散らす夢よ
どうか名 ....
山鳩の遠く鳴く朝
僕は旅に出る
心は遠く動いている
窓の向こう
あの坂を下った道に


風が梢をさやがせて
あれは空に向かって高鳴る心臓
緑の葉が一枚 また一枚
流されてゆく
風 ....
{ルビ弓弦=ゆづる}が啼いている
火と風の言葉で
戦いはもう終わったと
あのひとはもう帰って来ないと


裸足で駆けてゆく濡れた樹下闇
白い裳裾を引きずりながら
胸には冷たい雫が流れ込 ....
風が吹いたなら バラード
君のまつ毛に触れた歌を
そして君の唇からこぼれた吐息が
空になって雲になっていつか
明日へと届く (耳をすませている)
風が吹いたなら バラード
君の頬にそっと触 ....
かなしくてないているのか
さびしくてないているのか
雲の切れ間に青空
風に小さな羽根をふるわせて


うれしくてないているのか
いとしくてないているのか
透きとおった雪が流れて
目の ....
鳥が啼いてゆく
いつか、いつか、いつか、
赤い夕陽がしたたり落ちて
心を焦がす イタイホドニ


{引用=近づけばまた遠ざかり
遠ざかるとまた近づく
蜃気楼 日々は}

そしてまた ....
君の、夜明けの口唇に
葡萄の粒を含ませる朝
旅立つための翼をいだく
わたしの翼は白いだろうか
それとも燃えて血がにじんで赤く


葡萄の房に朝の雫がこぼれ
風が喜びを歌うとき


 ....
読みかけの本を閉じて結んだ髪をほどく
夜は音もなくすべってゆくベルベット
やわらかに{ルビ項=うなじ}にまとわりつき


わたしは旅に出る 夜の時間に分け入り
夢の中で出会ったあなたに会い ....
あの人は風だった
緑の髪をなびかせ瞳の奥に、あれは
夜明けの光をたたえて 水のようにやわらかい
あの人は風だった
わたしを見つめて笑う 流れる雲を空を映して


あの人は草だった
やさ ....
雨、雨、雨、やさしく閉じて透き通る春の惑いの Aquarium の


ふるえては芽生えるおもいこの胸のうすきガラスを風のララバイ


よんでいる心を奪い冬の鳥はるか Голос 遠くへど ....
目覚めているのは心だけだろうか
雨が降っていた あなたのように
見知らぬ顔でドアをひらいて
涙で濡れたその頬に触れる


  息ができないの
  あなたでなければ、


雨の降る窓 ....
潮騒がさわいでいる
白い手のひらを翻しながら


あなたが光を浴びて笑う海辺です
わたしがまぶしそうに昼の月を探す
あなたが風に吹かれてたたずむ海辺です
わたしが泣きだしそうに砂に貝を拾 ....
殿上 童さんの石瀬琳々さんおすすめリスト(38)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
雪が降る、一月に言葉は- 石瀬琳々自由詩5*16-1-27
レティシア_青い花を探して- 石瀬琳々自由詩10*15-11-27
九月の少年- 石瀬琳々自由詩9*15-9-15
いつかわすれたうたが- 石瀬琳々自由詩5*15-7-22
藤のからまる森で- 石瀬琳々自由詩12*15-5-21
春の海の変容- 石瀬琳々自由詩12*15-4-22
白い馬(あるいは青い扉)- 石瀬琳々自由詩16*15-2-19
雪の瞳に映るのは- 石瀬琳々自由詩9*15-1-21
十一月のきつね- 石瀬琳々自由詩13*14-11-21
球体の海- 石瀬琳々自由詩6*14-8-26
眠れぬ森の- 石瀬琳々自由詩5*14-7-23
だれもしらない庭で- 石瀬琳々自由詩14*14-5-27
アグネシュカ_夜明けの森- 石瀬琳々自由詩10*14-4-23
花ぬすびと- 石瀬琳々自由詩12*14-2-19
手のひらの花、そしてあのひとの雪- 石瀬琳々自由詩9*14-1-22
白い鳥、飛んでいった- 石瀬琳々自由詩12*13-11-20
十月、黄昏- 石瀬琳々自由詩7*13-10-23
緑のおもいで- 石瀬琳々自由詩7*13-8-21
雨のなかの馬- 石瀬琳々自由詩18*13-7-18
山鳩の遠く鳴く朝- 石瀬琳々自由詩12*13-5-22
馬酔木のうた- 石瀬琳々自由詩6*13-4-24
バラード- 石瀬琳々自由詩6*13-2-20
冬の小鳥- 石瀬琳々自由詩11*13-1-23
いつか、- 石瀬琳々自由詩10*12-11-21
朝の葡萄- 石瀬琳々自由詩9*12-10-18
瓶詰の夜- 石瀬琳々自由詩9*12-8-23
緑の人- 石瀬琳々自由詩16*12-7-19
プリズム- 石瀬琳々短歌8*12-6-14
青いサーカス- 石瀬琳々自由詩9*12-5-24
海辺にて- 石瀬琳々自由詩9*12-4-12

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