青いサーカス
石瀬琳々

目覚めているのは心だけだろうか
雨が降っていた あなたのように
見知らぬ顔でドアをひらいて
涙で濡れたその頬に触れる


  息ができないの
  あなたでなければ、


雨の降る窓を、白い雫がたたくガラスの向こう
誰かの名前を呼び続けている
いとしいと恋しいと数えきれない言葉で


わたしの心はブランコのように揺れ惑う
あなたと恋しさのあいだを行ったり来たり
まるで言葉をおぼえて唇にのせてあそぶよう
あるいは水の中の淡いくちづけに似てくるしい


目覚めているのは心だけだろうか
もうひとりのあなた 手のひらを重ね合う
触れてはすぐに消えゆくぬくもりが
いつしか心を蝕んでゆく


  お願いはなさないで
  あなたの指を探し永遠の旅をするわたし、


そして見つめ合って夢見る、青いサーカス
雨が降っている 愛のように今も



自由詩 青いサーカス Copyright 石瀬琳々 2012-05-24 13:29:03
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