すべてのおすすめ
一度切りの湾曲をとうに終え
錆び果てたガードレールは死んだように安堵している
その影に紛れた舗道の一部は黒々と陥没し消滅している


その上空を傷付ける有刺鉄線、私ではな ....
ビルディングの肩はとうに壊れていて
投げ損ねられた昼がアスファルトで砕け続ける
どれが致命傷なのかわからないくらいの夜が始まる
黒々と割れたビルディングの窓は
誰かの死に愕然としたまま死ん ....
しとり
しとり
肩が
ひとつ浴び終えた白い固形石鹸のように、しとり
うな垂れる夜だ
秋の、


始めから用途のない石鹸水の
最後まで澄めない、白濁
いつまでも済めない、 ....
古い倉庫、砂埃に覆われたコンクリートの床は
汚れた床とは二度と呼ばれることはなく
砂埃ごと床として在って
鉄パイプの配置もダンボールの配置も
いつしか放置に変わって


私は ....
人の指と
繋がり忘れた指に
連なる透明巾着の紐は食い込まず
わたし
一寸金魚の軽さを恨んだ
水の純でわたしを責めた


駆け出すしかなかった、ある夏の夜
透明巾着の、同じ ....
夏の玉蜀黍畑が夏に朽ち
私は鼓動を探ってうずくまった
途方も無い大気の、余りの光、余りの熱
玉蜀黍の呼吸には錆びて乾いた砂が混じり始め
焦がれるように焦げながら体躯は空に触れた
 ....
書物の陳列の疲労の飽和した本棚は
朝方には回復を諦め軋みもしなかった
テーブルクロスのうつ伏せた脱力の背にある
アルコールの抜け殻の横倒しの唇は投げ遣りに香った
そっと、突き倒した ....
指、で押す
蝉のお腹の柔らかさのことを
私はぼんやり考えている


お腹、を
開いた人は
仰向けになり空の方角へ開いている


光、の直進は
結局ことごとく挫折し ....
夜から朝の為に空いたボトル押し退けたら
ふらふらの激しさが昼の為のコップ倒した


テーブル掛けの端で
黄色い花柄、千切れ
そこから床へ滴るも
滴るも、美しい麦茶
息の要ら ....
夕立でもぎ取れた蝉が
丁度今乾き切りました
私はアスファルトに足を揃えました
腹をかえし対の肢を合わせたその亡骸は
無音の言祝ぎでした


夕立のあと再び燃えていた日は、結局 ....
ある窓があって
その窓は生まれつき北向きなのに、あちら側では
目を開いたまま湛えられた池の水面が光になり
崩れそうに傾きながら何かを守る強い屋根瓦が光になり
駐車場に並ぶ誰もいない ....
最後の人が飛び降りたまま
裏返ったブランコの鎖が歪に静止している
翌日になれば元に戻される、それだけのこと
わたしは、もうずっと公園にいない
だから知らない


ブランコ ....
手のひらに握り締めた
生まれつきひび割れた蝉のひび割れた雲母
手のひらの中のその震えと光とを
唯一手に負える夏の単位として感じていた


けれど、もしも
手のひらの中の光など単な ....
青ざめた夜に
チック、音


青ざめた夜にチックが走る
そして、音のある鬱
青ざめた夜にチックが走る、そして
音のある鬱


を、雷光が
ヒステリックに笑う、雷光が
 ....
耳たぶが
熱い


空調装置にたしなめられた
浅いシーツのような室内の夜には
昼間に溜め入れた太陽の
滴りそうに赤い耳たぶ一滴で
ベッドが太陽の海になってしまうのを
防ぐ ....
街路樹の木漏れ日の
軽い暗号から、単なる錯乱への
変質
街路樹の木漏れ日の
軽い暗号から、単なる錯乱への
変質



染み込まない
土瀝青


指の隙間から覗く ....
下方を流れる
動けないアスファルトを
凝視している
夏の衣服の軽率な体で、出来うる限り
常に重力のことを忘れず
下方を流れる、動けないアスファルトを
凝視している


歩く私 ....
声帯で
黙殺された孤独は
肺に
積もったようでした


声帯で黙殺された孤独は肺に積もったようでした
そして、やがては
床板に屈した体を
どうしても規則的に置いてゆく呼気に乗 ....
窓枠から遠く、鴉の発音から
鴉の翼が発生して
西の方角、地平線に降ってゆく
黒い花火があったとしたら
こんな風に
ゆっくり悲しいのだろう


この手の中の窓枠を忘れず
この手 ....
身体を懸け
窓硝子が投じくる色彩鈍角と
眼球につきものの悲痛鋭角との
区別が付かず
ずきん、瞑りました
それでなおさら
難解な幾何学を閉じ込めてしまった眼を
白く、拭き取 ....
壁、壁、壁、の、コンクリート、の
暗澹へ、暗澹へ、暗澹へ
投身する風の、その跡形を独占する為
すぐさま雨が投身する
同時に見えるも僅差のあるそれらの自決を
私は、右目と左目で悼む ....
梳き櫛の息の根をわたし止めて
泣く姿、の、無音部分
を拭った指、の
薄命部分、月に透かせば
血潮は青ざめるばかりで
発光もせず


黒髪、の
窒息密度で、黙ったままの ....
夜で潤んだ廊下のタイルに
こぼれていた非常口の灯りは



それなのに
何からも 何処からも
匂いの消えた夜だった


緑色に 浸りたい
そんな気がしていたのは
 ....
細く開けたより扉より覗き視る、眼球
にとっての、夏
そこから、差し込む昼の筋が
はっきりと割る、私


半分でいいから、どうか、連れて行ってちょうだい
とは、一言も言えぬうちに昼 ....
風を
包んだ
雨の羽の
横たわりゆく地にて
しめやかになった夏を
やわらかになったアスファルトを
踏む


その
私の
リズムの
ひとつひとつに含まれた 私の
しめや ....
角膜の表面にて
夏の日は湿った瞬きだらけになり
結局はわたし目蓋でその色彩を瞑り流します
そう、悲しい映写幕として
角膜は常時日陰です


鼓膜の表面にて
夏の波動は痒みに酷似 ....
泡立たず
飛散した
夏の光の下
沸騰前のアスファルト
その沈黙、の蒸れ上がり
その、陽炎


提げた虫籠の中
音から立つ
蝉の
匂い
それを
汗を分泌して拒み ....
敷布団への埋没から
起き上がり損ねた体に
小さく開いた口腔、にて
夏って発音が粘つく


天井あたりの酸素眺めながら
吸気は低位置で間に合わせてしまうの
天井に届かない ....
手の甲を
濡れ遅れた微熱にあてがう
初夏だなんて
初夏、だなんて


密度を増しゆく空や緑を背景にしても尚明るく
誇るように明るく無数の二の腕が溢れていて
その無邪気さ、罪は無いけれど ....
濃度を増した緑 の根元
アスファルトには 日陰がある
かつて人だった空間には
かつて花束だったものが 積もっている


湿度に黒ずんだ日陰 の隣
アスファルトには 日向がある ....
砂木さんのA道化さんおすすめリスト(150)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
あるカーブで- A道化自由詩3204-10-8
秋のカルテ- A道化自由詩1004-9-29
布地の下- A道化自由詩504-9-14
愛称倉庫- A道化自由詩704-9-10
金魚薄弱- A道化自由詩504-8-26
玉蜀黍砂漠- A道化自由詩504-8-20
爪の気配- A道化自由詩304-8-17
遠隔作用- A道化自由詩9*04-8-5
残酷生活- A道化自由詩404-7-31
忘刻- A道化自由詩1304-7-28
何処にでもある窓- A道化自由詩404-7-16
公園にいない- A道化自由詩1804-7-16
手に負えない夏- A道化自由詩1004-7-13
ヒステリック- A道化自由詩704-7-11
海と耳たぶ- A道化自由詩1104-7-5
偏愛する土瀝青- A道化自由詩404-7-2
喪失訓練- A道化自由詩604-6-30
雨降り回帰- A道化自由詩504-6-26
鴉火- A道化自由詩804-6-24
幾何学夏模様- A道化自由詩404-6-23
風雨心中- A道化自由詩404-6-22
黒虫- A道化自由詩604-6-19
非常口- A道化自由詩404-6-16
黒い顔- A道化自由詩404-6-13
踏む- A道化自由詩504-6-13
逆流癖- A道化自由詩504-6-13
夏災報知器- A道化自由詩504-6-8
呼吸狂- A道化自由詩404-5-30
溢れる二の腕- A道化自由詩504-5-30
容器の中の夏- A道化自由詩1104-5-18

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する