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君は踊る
薔薇を 菫を 雛菊を踊る
揚羽蝶を踊る
木洩れ日を 気ままな風を踊る
君は踊る
虹を 青ざめた夜明けを 葡萄色の黄昏を踊る
波を 湧きあがる雲を 嵐を踊る
君は踊る
....
白い八月の午さがり
目を閉じて
君の幻を見ている
水のレースにふちどられたドレスで
踊っている
きらきら
きらきら
僕の瞼の裏にも水の雫が飛んで
きらき ....
雨の季節が過ぎ
風の中から 川面から きらめく緑の梢から
いっせいに放たれてゆく
夏を奏でる音符たち
それらはゆらめき絡み合い
透明なアンセムになる
その響きに
意識を浸せば
やが ....
けれども胸は 青く傾斜してゆく 怯える意識には
透明なふりをする思惟が 蔓草のようにからみつく
窓の外では 涙のように 果実の落下がとめどなく
そのさらに遠く 地平の丘の上では 二つの白い塔が
....