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柔らかにけぶる
薄紅の桜が散って
山はもう
青一色のパレット
あぜ道の黄が
私の目を焼いて
畑の菜の花は
もう直視に耐えない眩しさだ
圧倒される
やさしさのカケラもない季節
....
「あの海は何色ですか」
「鉛色」
「かもめの羽のような色です」
「あの空は何色ですか」
「真珠色」
「冷たい霧を重ねた色です」
うまく呼吸ができなくなったので
洗面器に水を張り
そっと顔をつけてみた
しばらくすれば
耳の後ろのえらがひらいて
さぞかし快適な呼吸ができるだろう
そうして
顔を上げた後は
も ....
チクタクと時計の針が刻む音音もないまま積もった想い
夢を見て泣いて目覚めた{ルビ朝=あした}は遠く気づいてしまう母も老いると
竹の葉に埋もれて眠る秋の午後「もういいかい?」のこだまは遠く
....
一晩経って
目が覚めたら
秋だった
もこもこと高く積み上げられていた入道雲は
とんぼがけをされたらしく
薄く平らくなっていたし
カキ氷のシロップみたいな色をしていた空は
いつも間にや ....