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「 抵抗することに疲れた 」 
そう言い遺してある友は 
自ら世を去った 

思い通りにならない日々の 
不自由な鎖を巻いたまま僕は 
しばらく横になっていた 

ランプの灯りの下 
 ....
カメラのレンズの向こう側 

(フラッシュの光る瞬間) 

やがてすべての人々は 
家族も友も恋人も-------- 
昔のままに時間を止めた 
一枚の写真に納まり 
見知らぬ未来の誰 ....
傷口をいじれば 
いつまでたっても治らない 
そう知りながら 
この手は気づくと触れている 

もう忘れていたあの日の傷跡を 
いじり過ぎた浅黒い影が  
遠い過去の空白に 
うっすら ....
車に跳ねられ
長時間の手術を終えた後 
息子が横たわるベッドの傍らで 
涙を堪えながら母は 
布団の脇にこぼれた手を 
握りしめる 

消灯時間を過ぎた夜更けにも 
闘いの後の休息に瞳 ....
はらを空かせたわたしに 
どこか似ている
ひもじい声で細々となく 
小さい虫 

草の茂みから 
一匹 
ぴょんと跳び出した 

こんなわたしでも 
まだ跳べるような 
気がした ....
最近夜になるといつも 
何処からか聞こえてくる 
密かなピアノの旋律に 
耳をすます 

モーツァルトの指は今夜も 
鍵盤の上を滑らかに踊る 

自分という役を演じることが 
ことの ....
わたしの影は揺れながら
誰も知らない夜道を歩く
永遠に追いつかない 
「 一人前 」に向かって 
目の前を通りすぎた車の
マフラーから昇った煙が 
ふわりと散って消えた 

道路をわたるぼくも 
人生という夢を通りすぎる 
ひとりの煙にすぎない 
喫茶店で読む 
本を閉じて 
顔を上げると 

昨日の散歩中 
ふたり並んで覗く 
川の水面の鴨達に 
袋から餌を蒔いていた 
夫と車椅子の妻が
僕の前の席に座り 
テーブルに置か ....
恋人を亡くし 
自らのこころを立て直そうと  
遠い旅先で 
免許取得の合宿に入った君は 
今日初めてのハンドルを握った 

仕事から帰った僕は 
君のブログの日記を読む 

「ギア ....
 今日の仕事帰り、電車を降りた後に歩道橋で立ち止ま
り、数日前にこの世を去った君のことを考えていると、 
静かな雨が降り始めた。昨夜のBen’sCafeでそ
の知らせを聞いてから、僕はその事実を ....
旅先の古い駅舎の木椅子に座り 
彼はなにかを待っている 

別段何があるでもなく 
時折若い学生達の賑わいに 
花壇の菊の幾輪はゆれ 

特別おどろくこともなく 
杖の老婆はゆっくり横 ....
目の前にいる誰かを 
幸せにできぬ自分など 
無くなってしまえばいい 

わたしの消えたところに 
もっと優れた人が現れて 
そこは{ルビ日向=ひなた}になるだろう 
気まぐれな
夏の恋に傷ついた
氷の心

{ルビ尖=とが}った氷が
音も無く溶けゆく 
晩夏の宵 

やがて
秋の虫の音は 
一人きりの夜に
無数の鈴を
鳴らすだろう 


 ....
風音さんの服部 剛さんおすすめリスト(14)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
太陽の瞳_- 服部 剛自由詩408-5-20
献花_- 服部 剛自由詩408-5-12
無名のひと_- 服部 剛自由詩508-5-2
Maria_- 服部 剛自由詩7*08-4-21
虫の知らせ_- 服部 剛自由詩308-3-14
明日の台本_- 服部 剛自由詩508-3-4
四行詩_- 服部 剛自由詩708-3-4
煙のひと_- 服部 剛自由詩208-3-3
夫婦の食卓_- 服部 剛自由詩408-2-24
声援_- 服部 剛自由詩14*08-2-21
批評祭参加作品_■_詩友への手紙_〜この世を去った友へ〜_- 服部 剛散文(批評 ...108-1-28
枕木の音_- 服部 剛自由詩507-10-29
(_無題_)_- 服部 剛自由詩5*07-9-11
夜ノ鈴音- 服部 剛自由詩4*07-8-31

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