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暮れの空に 巨きな曇が
ひとつ浮かんで動かない
街を隔てる径のむこうに
家より高い鉄の樹がある
街へ 光へ
到くもの 到かぬもの
降りそそぐ 機械の星
花の星
....
湯のなかで痛む指
数えても終わらない曇の流れ
冷たさを呑むこと
手のひらの空をかき混ぜること
双つの明るい星
火と火の生きもの
森の目 岩の目がひらき
ふたたび静 ....
背に花の生えた猫が
午後の雨を待っている
二つに分かれた坂道の
曇に近い方を歩いてゆく
休み休み進むのは
花が重いからかもしれない
午後に夜にひとつ咲き
朝に昼に ....
見えない夜の身代わりに
川は蒼く蒼くなり
金いろの径を従えて
海へ海へ落ちてゆく
けだものは居る
けだものは居ない
曇の十字
光の前の小さな羽
隙間 ....
窓の内を飛ぶ鳥が
ますます大きく ますます遅く
重なる紋を浴びながら
粉の光を泳いでゆく
触れることなく覆う雨
横へ横へすぎる雷鳴
見え隠れする鳥たちの
波ばかり ....
雨と晴れをくりかえし
建物はまた高くなる
いつのまにか空は細く
うたは縦に縦に流れ
震えと響きははざまを覆い
異なる風の種が降る
いつか道の涙から
小さくひらくかたちが現われ ....