ひとつ 露光
木立 悟





湯のなかで痛む指
数えても終わらない曇の流れ
冷たさを呑むこと
手のひらの空をかき混ぜること


双つの明るい星
火と火の生きもの
森の目 岩の目がひらき
ふたたび静かに閉じてゆく


紅い一日が終わる前に
金属の痛みの朝が来る
白い四隅を
円くひらく手


濁るほど夜を塗り重ね
消えても消えない雪は飛ぶ
避雷針を高く掲げ
野を分けるひとつの径をゆく


目覚めないものたちが横たわり
常に静かにざわめく街
嘘に痛む背中には
羽ばかり羽ばかり生えてゆく


はざまをを視すぎて 光になる脚
左目が映らない水たまり
空のかたちを作る色から
虹と歌を取り換えてゆく



























自由詩 ひとつ 露光 Copyright 木立 悟 2016-11-24 19:27:21
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