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青く薄い ひかりの午後
静かに生徒が佇む五月の日
気の早い蝿がふたつ
窓を開いた机にたち止まる
ひき出しの奥には 忘れられた手紙があると
放課後、静寂にのぞきこめば
それはたしかに彼の ....
送り火は遠い波濤にまっ先に消えた
竹飾りは猫と仔犬が昼の間
じゃれついた裏通りからの角ではためく
塗炭屋根を透いて夕凪の水平線が現れる頃
精霊流しは
漕ぎ手にまかせ不知火を渡る
町 ....
電熱器を横に食す
ことし最後のみかん
そのたくさんの房
ひとつひとつがいのちで
手につくつめたい湿りがちの
粉のようなものもいのちで
すじもいのち
黒くて
安塗りの
ディスカウントセ ....
空がきれいに映った窓の拭き手
命綱に繋ぐ彼が空を拭く手
見上げるのはあんまり小さい
動かす腕の振り幅
すべての空を拭き終えるには
ビルさえ朽ち残らない
しずくひとつ零しても
....