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静かな失望が黒色の気泡を上空へと沈めるころ
空席に向かって話かけるひとがいる
ちいさな声で とぎれ とぎれ
隣の空席に一生懸命 生きるための説明をしている
いずこの街にも聞こえて ....
毎朝 電車に乗って仕事に行く
ある朝 いつものように電車に乗り込み周りを
見てみると(私は常に立っている)
座席の一番端にひとりの精悍な顔つきの企業戦士といった
雰囲気の中年が座っていて
....
月みみ
うさぎが みみを たてに ふった
ので きのう よる
月へいった
10万坪の土地を 出世払いで 貰った
ぺこちゃん人形 倒すくらい なら
ただで ....
おじいさんに ばらの枝を もらった
「土に挿しといたら 根が生えて
やがて花が咲くよ」
と言われた
素直に 土に挿して 水をやった
春になったら ....
車で4時間 炎天の墓苑 「おかあさん来たよ」
祝す事なき 日々なれど 景色移り 木々の色 鮮やか
雨音の 皮膚に落ち ただひとりの人 想われる
甲羅を脱げない亀でよい 脱皮の空に泣く蝉よりも
ワンパタンアニメ アンパンマンの歌詞で泣く
「ソーラーで回ってるのよ」 ショーケースのガラスに映るひと
太陽直下屋上の熱風 吹き返せ吹き上げろ 空調屋外機の孤独
残されたものは何時だって 地を這う 雑草の草いきれ
古本「遠き落日」 まんが喫茶にて読む 一生の歯車の中
捨てられた ゴミ袋 ....