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夏になると
土の倉庫から
たくさんの野菜を運び出し
ざるの中へと入れてゆく
気をつけていないと
すぐにいっぱいになる
山の水道で洗い流し
地下の水道で冷やす
この星の夏は
宇宙の台所 ....
見えているものは
ただ単に
見えているだけであって
見るものを
見ていないのかもしれない
見えているものから
見えるものを見えたとき
初めて見えるのだと思う
目を開けなくても
見 ....
風は吹くだけではなく
時には歌い
時には光る
風は夢を見させてくれる
水も流れるだけではなく
時には跳ね
時には踊る
水も夢を描かせてくれる
雲も浮いているだけではなく
時に ....
ずっと昔
何人もの人が一緒になって
ようやく一日かかって
つくれたものを
今は半日以下で
いやもっと短い時間で
しかもたった一人で
つくれてしまう
けれども
ずっと昔から
忙しさは ....
ほとんど静かになった学食で
友人三人で
明日はピクニックに出かけよう
そんな話になった
大学から駅まで行く途中
夕焼けが綺麗だった
次の日は
朝から大粒の雨が降っていた
「どうする ....
橋は現在と未来に
まっすぐに架けられていた
虹を見下ろしながら
自分を越えてゆける
時の橋がある
ただし
その橋を渡るには
一人一つの道を歩いてゆかなければ
その橋に着くことができない ....
夏の土は掘り返された
今まで誰もにも見られなかった
その暗黒が
ついに地上の光に照らされ
盛られた土たちは
ふうっと息をついた
初めて受けるその眩しさに
知らない世界を知る
こんなにも ....
手にしたペンが
ここを握れと言っている
真っ白い紙が
これを書けと騒いでいる
すべての物が語りだす
物と心は離れない
物にも目や口や耳がある
その魂を描くとき
それは物語となる
物は ....
裸足になって詩を読もう
どこか不思議と
目に入ってくる言葉が
そのまま受け入れられる
気持ちがこもった
言葉なのだから
肩を張らずに
裸足のままで
そのまま読めばいい
純粋な ....
風は夢を見ている
ゆらゆらと揺れながら
青い空の夢を
気持ちよく描いている
風は夢を見ている
ふらふらと漂いながら
緑の森の夢を
心地よく遊んでいる
風は夢の中で
自分が風に ....
昨日もまた
日めくりの暦が一枚消え
昨日を生きた言葉たちが
静かに眠る
昨日一番生きた言葉は
土の道だった
でこぼことした
それでいて不安定な小石の上を
靴底に刺さるかのような痛み ....
昨日もまた
日めくりの暦が一枚消え
昨日を生きた
言葉たちが静かに眠る
昨日一番生きた言葉は
虹だった
雨が止む間際の
ほんのわずかな時間だけ
光の芸術は空へ浮かび
心に架かる
....
真っ白な紙の中に
何でもない文字が
単純に並んでいる
けれども
そこには
見えないものが見え
聞こえないものが聞こえ
何かを訴えて
人の心を響かせる
真っ白な紙の中で
言葉は響いて ....
空が咲いています
ふわふわ咲いています
何もかも時が止まったように
やわらかく咲いています
山が沈んでいます
その中を鳥が泳いでいます
人が逆さまになって
咲いている空を見ながら
手を ....
言葉には翼があるのです
人の心の中を翔け抜けてゆく
翼をもっているのです
言葉によって
その飛び方もまちまちで
小鳥のように
翼をせわしく羽ばたかせるもの
大きな鳥のように
空高く翼を ....
農夫だった祖父は
ある日
自分の土地に
油田があることを見つけ
大金持ちになった
父は働く必要がなくなり
暇さえあれば
世界を飛び回り
グローバル
という言葉が口癖になった
世 ....
雨上がりの食パンは
暗い部屋の中で
その白さが大きく目立つ
外が明るくなるよりも
少しだけ早く
明るさの存在を示してくれる
そのやわらかさを見ていると
午後はどこに出かけようかと
なん ....
乾電池は夢を見ていた
水の上をぷかぷかと
浮きながら流れてゆく夢だった
ただ水の力だけで動くことが
不思議に思った
乾電池にとって
何かを動かすには
電気しかないと思っていた
夢の中で ....
ある学習塾の学生講師は理想に燃えていた
自分の抱いた教育を実践しようと
会社で用意した教材は一切使わない
会社に残り家でも考え
時には大学の講義も放棄して
自分で作成したプリントを配っては
....
ある日突然
街から空が飛んでいってしまった
青い空は街の向こうへと
逃げていってしまった
残されたこの場所は
街から出される煙で
空をつくっていった
灰色の空はきれいな灰色だが
それは ....
宇宙は本当に広いのだろうか
もしも宇宙に終わりがあるのなら
星の数に限りがあるのなら
宇宙は狭いのかもしれない
果てしなく続いて
終わりのない空間に
広いという言葉は似合うのだろうか
広 ....
ぼくは今
2つの分かれ道の前に立っている
1つは愛へ
1つは恋へ
愛は永遠に咲き続ける一つの花
大切な思いを種にして
かたく咲き結ばれる
恋は儚くうつりゆく一瞬の花
焦がれ ....
神が振ったダイスが
地上に落ちる
この地の運命は決まったのだ
ある者は喜び
ある者はうなだれて涙を落とす
ダイスに従って
轟音とともに風が吹き
幾つもの稲妻の光と音が響き渡る
地は震え ....
いい天気だからというわけでもなく
財布も携帯電話を持たずに
外に出てしまった
どこか冒険だ
いろいろな店の中に入る
ドアーが開く度に
店員が自分に気がつく度に
ていねいな挨拶をしてくる
....
コーヒーカップの中に
スカートをはいたライオンがこっちを睨んでいた
動物図鑑を投げ入れたら
羊の写真でセーターを編み始めているので
砂糖を入れてスプーンでかき回した
匂いを嗅ぐと春の草が漂っ ....
自分は自分なのに
自分のことは知らなくて
他人と比べて
ようやくおぼろげな自分が
浮いている
他人は他人なのに
他人のことは気になって
自分と比べて
すぐにうらやましい相手が
現 ....
赤
これは色ではなく
文字です
そしてそれは
人によって色が違う
ある人はペンキの赤を思い浮かべ
ある人は流れ出る血を思い浮かべるかもしれない
もしもここに
私が思っている赤を画像 ....
おいおい
もう座るのかい?
さっき歩き始めたばかりじゃないか
歩いているだけだぜ
走ってなんかいないんだぜ
上り坂もなかったぞ
第一
ここは道の上だぞ
座るとこじゃないだろ
普段 ....
たとえその花が
どんなに綺麗であったとしても
どんなにあなたが好きであったとしても
だれもが知っている
だれもが持っている
どこにでもある花では
だれもあなたらしさが見出せない
人は ....
僕の力では
雨を止ませることは
できないけれど
心の雨は
僕の力で晴らすもの
夢を持てば
心に虹が架かる
僕の力では
風を吹かせることは
できないけれど
心の風は
僕の力で流 ....
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