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{ルビ蟷螂=かまきり}の貼りつく道の女かな
戸に立ってウクレレ弾いている菫
石鹸玉ウクレレ弾いて眠りけり
朝寝してウクレレ弾いて日暮れかな
ウクレレと珈琲のある日永かな
雨の日もウクレレ弾いている菫
墓の無い終わりを告げる水の羽
{ルビ弥生=やよい}より流れ落ちたる{ルビ卯月=うづき}かな
とどまらずただこぼれゆく冬の雲
傷を抱 ....
蝋梅の溶けゆくさまは蝋に似ず
春眠や豪華三本立ての夢
啓蟄や朝日を浴びて我眠る
流し雛流さず焼きぬ空に舞へ
この土はまだ生きてをり下萌ゆる
龍天に上る日を違へはせぬか
....
アネモネの恋の痛みが風に散り
着飾って並んで見てるチューリップ
蒲公英の綿毛に乗って空へ行こう
隠れてもわかっているよ沈丁花
青スミレ君に捧げるサムシング・ ....
九度二分を踏みつけてゆく夜半の猫
引汐を 追って沖まで 春の海
{ルビ石鹸=しゃぼん}玉 私の知らない 窓のそと
朝まだき春の焚火のやはらかく
四十雀日雀春田の修飾符
曾祖父は清水一家や忘れ汐
春の海見やり枯木に火を点ける
野火猛る猛れども焼き尽くさずに
焚火して未だ青春の語を背負ふ ....
日の透くる椿の花の別れかな
見下ろせば煙ぶる郡上の冬支度
円空の冬の刻みや千の腕
宿の湯にゆるゆる流れ枯葉舟
捨て城の冬帽ふたり憩う石
堂の夕裏山燃えて冬紅葉
名を忘れ鴉にもらう夜明けかな
戸惑えど戸惑えどただつづく道
灰と種そのどちらにもなれぬ我
けだものに寄り添いて笑む夜風かな
終わりへ ....
淡き恋月を浮かべし君の瞳に
離れてもなお離れ得ぬ漠鬼かな
つむる目にひとつこぼれるななかまど
つむる目の光のなかを去りゆく背
己れから己れあふれる獅子頭
さ ....
あけぼのの空に手を振る枯れ桜
光る目とちいさなおててでおとそ飲む
境内でおしくらまんじゅう五円投げ
しめなわのみかんを取って吹き抜けろ
朝帰りコンビニ明かりが目に痛い
北 ....
白鳥のくび憂鬱な長さなり
一九九五年一二月二六日
手袋を脱げばやさしき少女の手
一九九五年一二月二六日
意地悪を言ひたくなるの冬の薔薇
一九九五年一二月二六日
古たぬき
冬の我が身を
苦しめん
黒犬が冬連れて来る稲光
落武者とロボット深夜感電死
君緩めるなかれスピード!スピード!
落ちてゆく背骨を走る重低音
手裏剣の尖ったところで指を切る
海 ....
E線の震え鳥肌一人の夜
水たまり鳩の屍骸の燃える音
朝焼けの重い銀色2号線
街路樹に木っ端微塵のメルセデス
これも毒あれもまた毒グミキャンディ
青 ....
ささやかな月見に添えて萩の花
追憶の星をかたどる紫苑かな
金木犀夕暮れ色の香り漂う
青空に背筋伸ばして吾木香
秋桜や乙女心にそっと揺れ
地に落ちて褪せ ....