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あなたを思うのは
まだ青い霧がたちこめる夜明け前
それとも名も知れぬ花が香る陽のひかり
夜がやってくる吐息のまにまに


あなたを求めるのは
後れ毛が風に震えるようにひそかに
梢の青い ....
どこかで焚火が燃えている
誰もいないのに火の粉が爆ぜる
その色を知る事が出来ただろうか
その熱を感じる事が出来ただろうか


{引用=今しがた誰が手折ったのだろう
一輪の薔薇が土にまみれ ....
夜のドレープに裂け目が入る
夜明けが裾にそっとくちづけると
私はすべてを脱ぎ捨て
一羽の鷹になって飛んでゆく
まとわりつく冷気を翼で切りながら
あなたを求めて飛んでゆく


   私は ....
おだやかな鳩のように
私はうたたねをする
窓の外は明るい雨
静かにふっとうする時間
やがて雪になる事を予感する


読みかけの本はレイ・ブラッドベリ
夏の草いきれがむっとたちこめる
 ....
小鳥を逃がした事がある
さみしい時に啼いてくれたのに
鳥籠にいる姿がかなしくて
僕の目の届かない世界まで遠くへやって
今もふとすると胸うちで啼いている
傷ついたその折れた翼で


   ....
心さえも{ルビ滞=とどこお}る
いつのまにか
何もかも凍てついて
時が止まったかのように
白い霜に閉ざされる朝
私の指さきも
じんと凍えはじめる


指に触れた薔薇の花よ
霜に降り ....
ものがたりをしよう
こんな淋しい夜更けには
ものがたりをしよう


青いペアグラスは粉々にくだけ
私の心は深く傷ついた
銀のスプーンを強く噛んで
一人ドアを閉じ貝になる
永遠などない ....
桔梗の匂いです
ほんのりぼかした地平線は
花のうねりが続いています
その上をすべる
乳白色 あおい月
輪郭はまだうすい


   夜はさらさら
   風はさやさや


月は花の ....
窓を大きく開け放ち
男はそのままの姿勢で倒れこんだ
夜風にカーテンがゆれるだけの
ささやかな部屋
カーテンの色はミントブルーで
男の好きな色なのだった
思い出の中で静かにゆれている
今も ....
鋭利な湖面をすべってゆく
一艘の小舟
私は黒布で目隠しされたまま
なすすべもなく横たわっている
風 感じるのはすべて風
重い水をかきわけて
舟はゆるやかに進む


盲目の私の世界に響 ....
誰も知らないその庭に咲く薔薇
朝一番の雨に濡れた赤い薔薇を求めて
僕はたどり着いた 足をひきずりながら
かぐわしいその香りを嗅げば幸せになると
ただひとつの愛を得られるとずっと信じていた

 ....
こんな夜、
一人浅い夢から目覚めて
窓外を揺れる葉擦れのざわめきに
わずかに明るむ緩やかな月光に
胸に満ちて来る何ものか
心を澄ますと潮騒の響きに似て
耐えきれなくなる 抑えきれなくなる
 ....
頰杖でまどろむ窓辺何もかも
    透き通ってゆく水晶夜にて


草のゆめ針の夢またむらさきの
    時のうつろい夜は傾き


果敢ないと花びら時に散るならば
    ....
渡 ひろこさんの石瀬琳々さんおすすめリスト(13)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ナイチンゲール- 石瀬琳々自由詩9*10-10-13
焚火- 石瀬琳々自由詩5*09-4-22
五月の鷹- 石瀬琳々自由詩16*08-5-20
おだやかな鳩のように- 石瀬琳々自由詩9*08-1-16
Loneliness- 石瀬琳々自由詩22*08-1-7
冬薔薇- 石瀬琳々自由詩8*07-12-4
ステラマリス- 石瀬琳々自由詩25*07-10-28
月は花の海を漕ぎながら- 石瀬琳々自由詩25*07-10-16
月とミントブルー- 石瀬琳々自由詩11*07-10-3
黒のみずうみ- 石瀬琳々自由詩14*07-9-14
楽園- 石瀬琳々自由詩17*07-7-26
玻璃の海から- 石瀬琳々自由詩20*07-7-13
水晶夜- 石瀬琳々短歌21*07-4-17

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